認知症患者のニーズを引き出すアプリ:神奈川県立保健福祉大学

認知症患者は進行に伴い、意思疎通が難しくなる。このような問題を解決するため、神奈川県立保健福祉大学の友利 幸之介氏らは、作業療法に当たっての作業選択意思決定支援ソフト「ADOC(Aid for Decision-making in Occupation Choice;エードック)」の活用基準を確定するため検討を行った。検討の結果、ADOCは中等度認知症患者における大切な作業を把握するのに役立つ可能性があることが示された。Disability and Rehabilitation : Assistive Technology誌オンライン版2013年12月24日号の掲載報告。
ADOCは、友利氏らが開発したiPadアプリケーションで、画面上でカードゲームをするように、日常生活上の作業が描かれた95枚のイラストを使って、患者自身が思う大切な作業とそうでない作業に振り分けてもらうことで意思を示してもらうというものである。
検討は、日本国内5つの医療施設から116例の患者を登録して行われた。作業療法士が認知症患者に、ADOCを用いてインタビューを行い、患者が思う大切な作業を確定した。主要介護者により、最も大切な作業を確定してもらい、Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いてカットオフ値を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・受信者動作特性曲線(ROC)分析の結果、ADOCを用いて大切な作業を選択可能なカットオフ値は、MMSEスコア8であることが示された。
・感度は91.0%、特異度は74.1%であり、曲線下面積(AUC)値は0.89であった。
・ADOCは、中等度認知症患者の大切な作業を引き出すのに役立つ可能がある。
・また、ADOCのリハビリテーション的意義として次のような点を列挙した。
■認知症が進行するにつれて、活動に関するニーズや要求を表明することは困難になっていく可能性がある。
■iPadアプリ「ADOC」は、体系的な目標設定プロセスを通じて意思決定の共有促進に有用であり、MMSEスコア8以上の人において最も大切な作業を選択することが可能である。
■ADOCは、中等度認知症患者の最も大切な作業を引き出すのに役立つ可能がある。
関連医療ニュース
新たなアルツハイマー病薬へ、天然アルカロイドに脚光
認知症患者へタブレットPC導入、その影響は?
てんかん治療で新たな展開、患者評価にクラウド活用
(ケアネット)
[ 最新ニュース ]

慢性C型肝炎、ソホスブビル/ダクラタスビルvs.ソホスブビル/ベルパタスビル/Lancet(2025/05/16)

obicetrapib/エゼチミブ配合剤、LDL-コレステロール低下に有効/Lancet(2025/05/16)

死亡リスクの高いPAH患者に対するアクチビンシグナル伝達阻害剤sotatercept上乗せの有効性が証明された(解説:原田和昌氏)(2025/05/16)

アトピー性皮膚炎への新規外用薬、既存薬と比較~メタ解析(2025/05/16)

CT検査による将来のがんリスク、飲酒や過体重と同程度?(2025/05/16)

アリピプラゾール持続性注射剤の治療継続に影響する要因(2025/05/16)

“スマートシャツ”で心臓病を予測(2025/05/16)

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か(2025/05/16)
[ あわせて読みたい ]
在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)
「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)
柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)
松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)
マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<上巻>(2012/12/01)
マッシー池田の神経内科快刀乱麻!<下巻>(2012/12/01)
Step By Step!初期診療アプローチ<第3巻> 【神経症候シリーズ(前編)】(2012/12/01)
Step By Step!初期診療アプローチ<第4巻> 【神経症候シリーズ(後編)】(2012/12/01)
カスガ先生の精神科入門[負けるが勝ち!]<上巻>(2012/12/01)