葉酸摂取は双極性障害の治療に有効

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2013/09/11

 

双極性障害の治療に葉酸が有効である可能性について、米国・マサチューセッツ総合病院のJi Hyun Baek氏らがレビューを行った結果を報告した。葉酸は、気分障害の治療に最も広く用いられている栄養補助食品の1つである。Baek氏らは、葉酸の代謝について調べるとともに、双極性障害との関連およびその治療可能性について検討した。Australian & New Zealand Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。

 レビューは、2012年までに発表されたPubMedおよびCochrane Libraryにて関連論文を検索し、背景情報、作用機序、臨床試験の結果をレビューした。

得られた主な所見は以下のとおり。

・葉酸は、モノアミン合成とホモシステイン調節にとって重大なメチル化反応に関係する基本的な補因子である。
・メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素(NAD(P)H)の共通の遺伝子異型(MTHFR)による機能的欠損が、双極性障害の症状に影響を及ぼすこともありうる。
・双極性障害の治療に気分安定薬として一般的に用いられるバルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケンほか)とラモトリギン(同:ラミクタール)は、葉酸とホモシステイン代謝を潜在的に阻害する可能性がある。
・先行研究において、うつ病治療についての葉酸の有効性は一貫して支持されている。1試験では、躁病の治療における有効性が示されていた。
・生化学的な転換を必要としない葉酸製剤は、双極性障害の治療に有益となる可能性がある。
・以上のようにレビューの結果、葉酸服用は、双極性障害の治療に有効な可能性があった。また、共通の遺伝子異型MTHFRが、葉酸服用の治療効果に影響する可能性があった。葉酸製剤は、気分安定薬に関連する葉酸欠乏を潜在的に修正することが可能であり、モノアミン合成の正常化に寄与し、アウトカムを改善する可能性があった。

関連医療ニュース
日本人のうつ病予防に期待?葉酸の摂取量を増やすべき
うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」
うつ病補助療法に有効なのは?「EPA vs DHA」

(ケアネット)