境界性パーソナリティ障害患者の症状把握に期待!「BPDSI-IV」は有用か?

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/26

 

 境界性パーソナリティ障害(BPD)は、患者の機能的能力を低下させる深刻な疾患であり、医療経済的な損失が大きい。BPDの症状を短期的に評価可でき、臨床評価や治療アウトカムの研究に適用可能な、信頼性と妥当性が担保されたツールが求められている。フィンランド・オウル大学のLeppänen Virpi氏らは、境界性パーソナリティ障害患者の重症度を評価するために、BPDSI-IVが有効であるかどうかを、フィンランドにおいて初めて検討した。Nordic journal of psychiatry誌オンライン版2012年12月11日号の報告。

 フィンランドのBPD患者に対しBPDSI-IVインタビューを行い、心理学的特性を評価した。本研究は、通常治療と専門家による治療の有効性を比較した無作為化試験monocentre Oulu-BPD試験の一部である。対象は、2年間の無作為化比較試験に登録されたBPD患者71例。最近のBPD症状を評価するためにBPDS-IVを用いた。フィンランドの患者サンプルにおけるBPDSI-IVの内的整合性は、クロンバックの α係数(Cronbach's alpha coefficient)と平均I-T相関分析を用い評価した。判別の妥当性は、フィンランドのBPD患者とオランダのBPD患者、非患者群を比較することにより検討した。

 主な結果は以下のとおり。

・クロンバックの α係数は0.58~0.79であり、解離性が最も高く、関係性が最も低かった。
・9項目のうち5項目のサブスケールが許容範囲を超えていた(≧0.70)。
・平均I-T相関に関しては、9項目のうち7項目のサブスケールが許容範囲内であった(≧0.30)。
・BPDSI-IVはBPD患者の重要度や症状変化を測定するうえで、有用であると考えられる。

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