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2024-04-08 ~ 2024-04-14

2024/04/12

早期TN乳がん、TIL高値ほど予後良好/JAMA

ジャーナル四天王

 術前または術後補助化学療法歴のない早期トリプルネガティブ乳がん(TNBC)患者において、乳がん組織中の腫瘍浸潤リンパ球(TIL)量が高値ほど、有意に生存率が良好であることを、米国・メイヨー・クリニックのRoberto A. Leon-Ferre氏らが後ろ向きプール解析で明らかにした。乳がん組織中のTIL量と早期TNBC患者のがん再発および死亡との関連は不明であった。著者は、「今回の結果は、乳がん組織中のTIL量が早期TNBC患者の予後因子であることを示すものである」とまとめている。JAMA誌2024年4月2日号掲載の報告。

非高リスクコロナ患者、ニルマトレルビル・リトナビルvs.プラセボ/NEJM

ジャーナル四天王

 重症化リスクが高くない症候性の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)成人外来患者において、COVID-19のすべての徴候または症状の持続的な緩和までの期間は、ニルマトレルビル/リトナビルとプラセボで有意差は認められなかった。米国・ファイザーのJennifer Hammond氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照第II/III相試験「Evaluation of Protease Inhibition for COVID-19 in Standard-Risk Patients trial:EPIC-SR試験」の結果を報告した。ニルマトレルビル/リトナビルは、重症化リスクがある軽症~中等症COVID-19成人患者に対する抗ウイルス治療薬であるが、重症化リスクが標準(重症化リスク因子のないワクチン未接種者)または重症化リスク因子を1つ以上有するワクチン接種済みの外来患者における有効性は確立されていなかった。NEJM誌2024年4月4日号掲載の報告。

2型糖尿病患者に対する肥満外科手術bariatric surgeryの長期有効性が示された(解説:住谷哲氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

2型糖尿病の寛解diabetes remissionは、これまで夢物語であったが、近年は現実のものとなっている。寛解の定義は疾患により異なるが、2型糖尿病においては血糖降下薬を使用せずにHbA1c<6.5%が3ヵ月以上維持できた状態を寛解と定義している。契機となったのはDiRECT(Diabetes Remission Clinical Trial)研究で、15kg以上の減量により肥満2型糖尿病患者の86%が寛解したと報告されたことである。この報告はかなりの衝撃であり、付属論評のタイトルも”Remission of type 2 diabetes: mission not impossible”であった。

肺がん化学放射線療法の症例データベース検索システムを共同開発/富士フイルム・AZ

医療一般

 富士フイルムとアストラゼネカは、切除不能Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)の化学放射線療法(CRT)の過去症例を検索できるシステムを共同開発した。富士フイルムは、この検索機能を3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Ver7.0」にオプション機能として搭載した。SYNAPSE VINCENT Ver7.0は富士フイルムメディカルを通じて4月10日より提供を開始した。  今回開発したシステムは両社が2021年から共同で開発を進めてきた医療情報システムで、切除不能Stage III NSCLCに対するCRT症例の検索に加え、放射線治療計画の表示が可能。アストラゼネカが14の医療機関からNSCLCに対するCRT適用例1,900症例の放射線治療計画を収集し、富士フイルムがデータベース化および検索機能の開発を行った。

身長低下と動脈硬化が相関~60歳以上の日本人

医療一般

 動脈硬化と身長低下はそれぞれ心血管系疾患との関連が報告されているが、動脈硬化と身長低下の関連はこれまで明らかになっていない。今回、長崎大学の清水 悠路氏らによる後ろ向き研究で、高齢者において動脈硬化と身長低下が関連することが示された。Scientific Reports誌2024年4月2日号に掲載。  本研究は、年1回の健康診断を受けた60~89歳の2,435人を対象にした後ろ向き研究。動脈硬化は頸動脈内膜中膜厚(CIMT)が1.1mm以上とし、身長低下は年間の身長減少が最高五分位群にあることとした。

早期アルツハイマー病に対するレカネマブの費用対効果

医療一般

 2023年1月、米国FDAより軽度認知障害(MCI)またはアルツハイマー病による軽度認知症に対する治療薬としてモノクローナル抗体レカネマブが承認された。しかし、認知症に対するレカネマブの費用対効果は、不明なままである。カナダ・Memorial University of NewfoundlandのHai V. Nguyen氏らは、レカネマブの費用対効果およびアルツハイマー病の検査制度とAPOE ε4の状況によりどのように変化するかを定量化するため、本研究を実施した。Neurology誌2024年4月9日号の報告。  検査アプローチ(PET、CSF、血漿アッセイ)、治療法の選択(標準的治療、レカネマブ併用)、ターゲティング戦略(APOE ε4非キャリアまたはヘテロ接合性患者を特定するか否か)の組み合わせにより定義した7つの診断治療戦略について比較した。有効性は、クオリティ調整された生存年数により測定し、第3者および社会の観点から生涯期間にわたるコスト(2022年米国ドル)を推定した。次の5つの状態でhybrid decision tree-Markov cohort modelを構成した。(1)MCI(臨床的認知症重症度判定尺度[Clinical Dementia Rating Sum of Boxes:CDR-SB]スコア:0~4.5)、(2)軽度認知症(CDR-SBスコア:4.6~9.5)、(3)中等度認知症(CDR-SBスコア:9.6~16)、(4)高度認知症(CDR-SBスコア:16超)(5)死亡

RSウイルス感染症予防薬が乳児の入院を90%削減

医療一般

 RSウイルス感染症から赤ちゃんを守るための予防薬であるベイフォータス(一般名ニルセビマブ)の入院予防効果は90%であることが、リアルワールドデータの分析から明らかになった。これは、在胎35週以上で生まれた乳児を対象にニルセビマブの有効性を検討し、RSウイルス感染による医療処置の必要性を79%、入院の必要性を81%防ぐことを示した第3相臨床試験の結果を上回る。米疾病対策センター(CDC)の研究チームが実施したこの研究結果は、「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」に3月7日掲載された。

メニエール病は臨床症状によってサブタイプに分類可能

医療一般

 メニエール病は、特有の臨床症状を特徴とするサブタイプが混在する不均一な疾患であるという研究結果が、「The Laryngoscope」に1月6日掲載された。  英ノーフォーク・ノリッジ大学病院NHS財団トラストのJohn Phillips氏らは、メニエール病患者を対象とした観察研究において、類似する特徴やリスク因子を共有する患者をグループとして分類するクラスター分析を実施し、明確な臨床サブタイプを特定した。研究にはメニエール病と診断された患者411人が登録された。  その結果、2つの主要なクラスターが特定された。耳の感染症と診断された患者は、クラスター1に属する可能性が高かった(オッズ比0.30)。一方、両耳の耳鳴り(同11.89)、低音の耳鳴り(同21.09)、ストレスが回転性めまい発作の誘因になるとの報告(同14.94)を有する患者は、クラスター2に属する可能性が有意に高かった。また、良性発作性頭位めまい症(同13.14)、自己免疫疾患(同5.97)、うつ症状(同4.72)、片頭痛(同3.13)、薬剤アレルギー(同3.25)、花粉症(同3.12)と診断された患者も、クラスター2に属する可能性が有意に高かった。

健康問題による生産性低下の要因に男女差

医療一般

 従業員が何らかの健康問題や症状を抱えて出勤し、出勤時の生産性が低下している状態を「プレゼンティーイズム(presenteeism)」という。今回、プレゼンティーイズムと睡眠、喫煙や飲酒との関係が新たに調査され、男女間で異なる結果が得られた。飲酒ついては、女性では正の関連、男性では負の関連が見られたという。鳥取大学医学部環境予防医学分野の研究グループによる研究であり、「Journal of Occupational Health」に12月14日掲載された。  病気などで欠勤することを「アブセンティーイズム(absenteeism)」といい、健康経営の課題となっている。しかし、それと比べて、健康問題を抱えながら出勤する「プレゼンティーイズム」の方が、従業員の生産性の低下(健康関連コスト)は大きいことが報告されている。その重要性が増していることから著者らは、プレゼンティーイズムと主観的な睡眠の質、喫煙、飲酒との関連について、男女差に着目して横断研究を行った。

2024/04/11

病院・施設の除菌対策、MDRO保菌や感染症入院が低下/JAMA

ジャーナル四天王

 地域内で協力して行った、病院の患者(接触感染予防で入院した患者に限定)と長期介護施設入居者に対するクロルヘキシジン浴(清拭・シャワーを含む)とヨードホール消毒薬の経鼻投与の除菌対策(universal decolonization)により、多剤耐性菌(MDRO)の保菌者割合、感染症の発生率、感染関連の入院率、入院関連費用および入院死亡率が低下したことが示された。米国・カリフォルニア大学アーバイン校のGabrielle M. Gussin氏らが、地域内35ヵ所の施設で行った医療の質向上研究の結果を報告した。MDROによる感染症は、罹患率、死亡率、入院の長期化および費用の増大と関連している。地域介入によって、MDRO保菌および関連する感染症の軽減が図られる可能性が示唆されていた。JAMA誌オンライン版2024年4月1日号掲載の報告。

HER2+早期乳がん、PET pCR例の化学療法は省略可?(PHERGain)/Lancet

ジャーナル四天王

 HER2陽性の早期乳がん患者において、18F-FDGを用いたPET検査に基づく病理学的完全奏効(pCR)を評価指標とする、化学療法を追加しないトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法でのde-escalation戦略は、3年無浸潤疾患生存(iDFS)率に優れることが示された。スペイン・International Breast Cancer CenterのJose Manuel Perez-Garcia氏らが、第II相の無作為化非盲検試験「PHERGain試験」の結果を報告した。PHERGain試験は、HER2陽性の早期乳がん患者において、化学療法を追加しないトラスツズマブ+ペルツズマブ併用療法での治療の実現可能性、安全性、有効性を評価するための試験。結果を踏まえて著者は、「この戦略により、HER2陽性の早期乳がん患者の約3分の1が、化学療法を安全に省略可能であることが示された」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年4月3日号掲載の報告。

超加工食品の安全性を十分に吟味することなく、利便性・時短性を優先するのは危険!―(解説:島田俊夫氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

超加工食品は現代社会において利便性・時短性の面から今や世界中で重宝される食品となっています。しかしながら、利便性が高くても健康被害が増える食品であれば逆に寿命の短縮につながる可能性が高く、食の安全性を吟味することは必要・不可欠です。超加工食品の過剰摂取(食品の10%を超えると危険が増大)は生活習慣病(心血管病/がん/糖尿病/肺疾患)、認知症、うつ病、短命(早死)、肥満らを引き起こす可能性大といわれています。

マルチキナーゼ阻害薬・スニチニブの水平展開-難治性褐色細胞腫への応用 PhaseII試験が、Lancet誌に掲載されました!?(解説:石上友章氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

 この論文は、進行性の転移性褐色細胞腫とパラガングリオーマの患者を対象にした初の無作為化比較試験の結果を報告している。この分野では以前に無作為化比較試験が行われたことがなく、スニチニブの有用性に関する臨床前および初期臨床データが示され、スニチニブの安全性と有効性を評価することを目的としている。スニチニブは、いわゆるマルチキナーゼ阻害薬であり、本邦ではスーテントの商品名で、イマチニブ抵抗性の消化管間質腫瘍、根治切除不能または転移性の腎細胞がん、膵神経内分泌腫瘍の適応を取得している。

「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」13年ぶりの改訂/日本循環器学会

医療一般

 日本循環器学会、日本心臓病学会、日本小児循環器学会の合同ガイドライン『心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン』が、2011年以来の13年ぶりの改訂となった。3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会で、本ガイドラインの合同研究班班長である今井 靖氏(自治医科大学 臨床薬理学部門・循環器内科学部門 教授)が、ガイドライン改訂の要点を解説した。  本ガイドラインは2006年に初版が刊行され、2011年に改訂版が公表された。当時、遺伝子解析の大半は研究の範疇に属し、ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針に沿って実施されていた。その後、2021年の「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」により、他の医学系研究指針と統合され、ヒト遺伝子情報が他の医学・生命科学の情報と同列に扱われるようになった。さらに最近では、診療として実施される遺伝学的検査が大幅に増加しており、がんなどの他の診療分野での遺伝学的検査の普及と並行し循環器疾患においても今後さらに適応が増加することは必至と考えられる。今回の改訂はこれらの状況を踏まえて行われた。

認知機能の低下抑制、マルチビタミンvs.カカオ抽出物

医療一般

 市販のマルチビタミン・ミネラルサプリメント(商品名:Centrum Silver、以下「マルチビタミン」)の連日摂取が高齢者の認知機能に与える影響を詳細に調査したCOSMOS-Clinic試験の結果、マルチビタミンを摂取した群では、プラセボとしてカカオ抽出物(フラバノール500mg/日)を摂取した群よりも2年後のエピソード記憶が有意に良好で、サブスタディのメタ解析でも全体的な認知機能とエピソード記憶が有意に良好であったことを、米国・Massachusetts General HospitalのChirag M. Vyas氏らが明らかにした。The American Journal of Clinical Nutrition誌2024年3月号掲載の報告。

経口と長時間作用型注射剤抗精神病薬の有用性~ネットワークメタ解析

医療一般

 長時間作用型注射剤(LAI)抗精神病薬は、主に統合失調症の再発予防に期待して使用されるが、状況によっては急性期治療にも役立つ場合がある。ドイツ・ミュンヘン工科大学のDongfang Wang氏らは、急性期統合失調症成人患者に焦点を当て、ランダム化比較試験(RCT)のシステマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2024年3月14日号の報告。  対象薬剤は、リスペリドン、パリペリドン、アリピプラゾール、オランザピンおよびプラセボであり、経口剤またはLAIとして用いられた。17のその他の有効性および忍容性アウトカムにより補完し、全体的な症状に関するデータを統合した。エビデンスの信頼性の評価には、Confidence-in-Network-Meta-Analysis-framework(CINeMA)を用いた。

緑豊かな住環境は骨粗鬆症リスクを下げる

医療一般

 樹木など植物が茂った場所の近くに住んでいると、骨が丈夫になる可能性のあることが、平均12年間の追跡データに基づく新たな研究で示唆された。中南大学(中国)のZhengxiao Ouyang氏らによるこの研究では、衛星画像で緑地が確認された場所の近くに住んでいる人では、それ以外の場所に住んでいる人に比べて骨密度が高い傾向があることが示されたのだ。研究グループは、「住宅地の植生が骨密度の上昇や骨粗鬆症リスクの低下に関連していることを示す初のエビデンスが得られた」と述べている。詳細は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に3月5日掲載された。  この研究には、UKバイオバンクのデータベースから収集された39万1,298人の英国人(平均年齢56.2歳、女性53.0%)の生活習慣と健康状態に関する追跡データが用いられた。UKバイオバンクには、各参加者の骨密度と骨粗鬆症の遺伝リスクに関するデータのほか、食事や喫煙習慣、収入、運動量などのさまざまなデータが記録されている。

推奨レベル以下の身体活動でも脳卒中リスクは低下する

医療一般

 少し体を動かすだけでも、カウチポテト族のように怠惰に過ごすよりは脳卒中の予防に役立つようだ。身体活動レベルがガイドラインで推奨されているレベルに達していなくても、運動をしない人に比べると脳卒中リスクは18%低下することが、新たな研究で示された。ラクイラ大学(イタリア)バイオテクノロジー・応用臨床科学分野のRaffaele Ornello氏らによるこの研究の詳細は、BMJ社発行の「Journal of Neurology, Neurosurgery & Psychiatry」に3月5日掲載された。

教育歴の長さが健康と長寿に関連

医療一般

 教育歴が長い人ほど老化のスピードが遅く、より長生きする傾向があるとする研究結果が報告された。学校教育を受けた年数が2年長いごとに、老化速度は2~3%遅くなり、これは死亡リスクが約10%低下することに相当するという。米コロンビア大学メールマン公衆衛生大学院のDaniel Belsky氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月1日掲載された。  論文の上席著者であるBelsky氏によると、「教育レベルが高い人ほど長生きする傾向のあることは、古くから知られていた」という。ただし、「そのような関連がなぜ存在するのかはよく分かっておらず、さらにより重要なこととして、教育レベルを高めるという介入がなぜ健康長寿につながるのかという点が不明であり、これらを明らかにするために多くの課題が残されている」と述べている。

2024/04/10

心臓移植候補者、提供受諾の決定に人種や性別が影響か/JAMA

ジャーナル四天王

 心臓移植の待機リストに登録している移植候補者に関して、移植施設の医療チームが心臓の提供を受け入れる確率は、移植候補者が白人の場合と比較して黒人で低く、男性に比べ女性で高いことが、米国・インディアナ大学のKhadijah Breathett氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2024年3月25日号に掲載された。  研究グループは、移植待機リストに登録されている心臓移植候補者の人種および性別が、移植施設の医療チームが心臓提供の申し出を受諾する確率と関連するかを評価する目的で、コホート研究を行った(米国国立心肺血液研究所[NHLBI]などの助成を受けた)。  全米臓器分配ネットワーク(UNOS)のデータセットを用いて、2018年10月18日~2023年3月31日に心臓移植の候補となった米国の非ヒスパニック系黒人と非ヒスパニック系白人の成人について、心臓提供の申し出を受諾したか否かを特定した。  主要アウトカムは、移植施設の医療チームによる、心臓提供の申し出の受諾とした。

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