ニュース 週別アーカイブのコーナー。毎日発信されるニュースを週別に表示。見逃した記事もまとめてこちらでチェック。

2025-11-24 ~ 2025-11-25

2025/11/25

乳房切除後の胸壁照射、10年OSを改善せず/NEJM

ジャーナル四天王

 乳房切除術+現在推奨される補助全身療法を受けた中間リスクの早期乳がん患者において、胸壁照射は胸壁照射を行わない場合と比較し全生存期間(OS)を改善しないことが、第III相多施設共同無作為化試験「Selective Use of Postoperative Radiotherapy after Mastectomy:SUPREMO試験」で示された。英国・エディンバラ大学のIan H. Kunkler氏らが報告した。腋窩リンパ節転移が1~3個のpN1、あるいは病理学的リンパ節陰性のpN0に分類され、かつその他のリスク因子を有する乳がん患者に対する乳房切除術後の胸壁照射がOSに及ぼす影響は、現在推奨される周術期薬物療法下では不明であった。NEJM誌2025年11月6日号掲載の報告。

1型糖尿病の高リスク乳児、経口インスリンの1次予防効果は?/Lancet

ジャーナル四天王

 膵島関連自己抗体発現リスクが高い乳児において、ヒト亜鉛インスリン結晶から製造された経口インスリンの高用量投与はプラセボと比較し、膵島関連自己抗体の発現を予防しなかった。ドイツ・Helmholtz MunichのAnette-Gabriele Ziegler氏らが、Global Platform for the Prevention of Autoimmune Diabetes(GPPAD)の7施設(ドイツ3施設、ポーランド・スウェーデン・ベルギー・英国各1施設)で実施した研究者主導の無作為化二重盲検プラセボ対照試験「Primary Oral Insulin Trial:POInT試験」の結果を報告した。1型糖尿病はインスリンを含む膵島抗原に対する自己免疫反応により発症するが、膵島関連自己抗体や疾患症状発現前の自己免疫反応予防を目的とした経口自己抗原免疫療法の有効性を評価する臨床試験は行われていなかった。Lancet誌オンライン版2025年11月11日号掲載の報告。

胎児期~2歳の砂糖制限と成人期の心血管リスクの低減効果:「自然実験」研究を批判的に吟味する!(解説:島田俊夫氏)

CLEAR!ジャーナル四天王

妊娠から2歳まで(生後1,000日間)の栄養状態は、生涯の心臓代謝システムを形成するきわめて重要な時期(胎児期の疾患起源説/DOHaD)です。中国・香港科技大学のJiazhen Zheng氏らの研究(BMJ誌2025年10月22日号に掲載)は、第二次世界大戦後の英国における砂糖配給制度(2歳未満の乳児に添加糖なし)を「自然実験」として利用し、この幼少期の砂糖制限が成人期の心血管疾患(CVD)リスクを低減することが可能か検証しています。

未治療CLL、オビヌツズマブとベネトクラクスの併用が可能に/中外・日本新薬

医療一般

 中外製薬および日本新薬は2025年11月20日、ヒト化抗CD20モノクローナル抗体オビヌツズマブ(遺伝子組換え)(商品名:ガザイバ)において、電子添文改訂により、未治療の「CD20陽性の慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」に対してBCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ)との併用療法が可能になったことを発表した。  今回の電子添文改訂は、未治療の「慢性リンパ性白血病(小リンパ球性リンパ腫を含む)」を対象に、ベネトクラクスとオビヌツズマブの併用投与による有効性および安全性を評価した、国内第II相試験(M20-353、アッヴィ合同会社実施)、海外第III相試験(CLL14/BO25323、ロシュ社/アッヴィ社/ケルン大学実施)などの結果に基づいている。

日本のプライマリケア受診の蕁麻疹患者、約3分の1が罹患期間3年以上

医療一般

 日本の9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者約千例において、36.1%が罹患期間3年以上であることが明らかになった。罹患期間は、高齢患者、皮膚描記症(dermographism)およびコリン性蕁麻疹患者でより長い傾向がみられた。広島大学の齋藤 怜氏らによる、The Journal of Dermatology誌オンライン版2025年10月31日号への報告より。  本研究では、蕁麻疹の予後に関連する因子を検討するため、2020年10月1日~11月11日に9つの皮膚科プライマリケアクリニックを受診した蕁麻疹患者1,061例を対象に、罹患期間についての横断的解析を実施した。

睡眠薬の血圧コントロールに対する有効性、そのリスクとベネフィットは

医療一般

 高血圧と睡眠障害を併発している患者における睡眠薬の有効性とリスクについては、依然として不明な点が多い。中国・First Affiliated Hospital of Jinan UniversityのZerui You氏らは、高血圧合併不眠症患者における睡眠薬の潜在的な有効性とリスクを調査した。BMC Cardiovascular Disorders誌2025年10月24日号の報告。  本研究は、米国成人を対象としたプロスペクティブコホート研究として、国民健康栄養調査(NHANES)の高血圧および薬剤使用データを用いて、分析を行った。睡眠薬の血圧コントロールにおける有効性を評価するため、線形回帰分析を用いた。Cox回帰分析により、睡眠薬と死亡率との関連性を検討した。

アナフィラキシー、日本の小児で急増している原因食物は

医療一般

 2010年代後半以降、日本におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率は急速に増加しており、とくに初回発症の幼児で顕著であることが明らかになった。世界的にクルミアレルギーの有病率が増加しているものの、クルミによるアナフィラキシーの発生動向や臨床的特徴については明らかになっていない。町田市民病院のYuna Iwashita氏らは、2011年から11年間の日本国内の小児救急外来におけるクルミによるアナフィラキシーの発生率の変化を評価し、患者の特性および症状について検討した。Pediatric Allergy and Immunology誌11月号掲載の報告。

網膜の血管から心臓病リスクを予測可能か

医療一般

 「目は心の窓」とよく言われるが、新たな研究によると、目は心臓の健康状態を知るための窓としても機能する可能性があるようだ。新たな研究で、網膜の血管から心臓病のリスクや老化の加速の有無を予測できる可能性のあることが明らかになった。マクマスター大学(カナダ)医学部のMarie Pigeyre氏らによるこの研究結果は、「Science Advances」に10月24日掲載された。研究グループは、「将来的には、医師は定期検診の一環として網膜スキャンを実施するようになるかもしれない」と述べている。  Pigeyre氏は、「網膜スキャン、遺伝学、血液バイオマーカーを結び付けることで、われわれは、老化が血管系にどのような影響を与えるかを説明する分子経路を発見した」と語っている。また同氏は、「目は、体内の循環器系を非侵襲的に観察できるという点で他に類を見ない。網膜血管の変化は、全身の微小血管に起こる変化を反映することが多い」と付け加えている。

注射薬のデュピルマブが喘息患者の気道閉塞を改善

医療一般

 抗炎症作用のある注射薬のデュピルマブ(商品名デュピクセント)が、喘息患者の粘液の蓄積を減らし、喘息発作時の気道の閉塞を改善するのに有効であることが、新たな臨床試験で示された。この試験の結果によると、デュピルマブを使用した患者では、粘液による気道閉塞が見られる割合が半減したという。ビスペビアウ病院(デンマーク)のCeleste Porsbjerg氏らによるこの臨床試験の詳細は、「American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine」に10月27日掲載された。  Porsbjerg氏は、「中等症から重症の喘息では、肺の中にたまった粘液により気道が塞がれて呼吸が制限され、重度の喘息発作が生じたり、死に至ることもある」とニュースリリースの中で述べている。同氏らによると、体内に少量の粘液があるのは普通のことであり、風邪やインフルエンザに罹患したときを除けば、それが問題になることはない。しかし、喘息患者の場合、炎症によって気道が狭まり、粘液が気道を塞ぐと命に関わる恐れがあるという。

2025/11/24

NTRK陽性固形がんへのレポトレクチニブ承認/BMS

医療一般

 ブリストル マイヤーズ スクイブは2025年11月20日、レポトレクチニブ(商品名:オータイロ)について「NTRK融合遺伝子陽性の進行・再発の固形癌」に対する効能・効果の追加に係る製造販売承認事項一部変更承認を取得したことを発表した。  本承認は、成人患者を対象とした国際共同第I/II相試験(TRIDENT-1試験)および小児・若年成人患者を対象とした海外第I/II相試験(CARE試験)の参加者のうち、NTRK融合遺伝子陽性固形がん患者から得られた結果に基づくものである。両試験のNTRK融合遺伝子陽性固形がん患者の結果は欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2025)で報告されており、主な結果は以下のとおりであった。

新規作用機序の高コレステロール血症治療薬ベムペド酸を発売/大塚

医療一般

 大塚製薬の新規作用機序の高コレステロール血症治療薬ベムペド酸(商品名:ネクセトール)が2025年11月21日に発売された。効能・効果は「高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症」で、スタチン効果不十分またはスタチンによる治療が適さない高コレステロール血症患者への新たな治療選択肢とされる。  本剤は、肝臓中のコレステロール合成経路においてスタチンの作用点よりも上流にあるATPクエン酸リアーゼに作用し、血中のLDLコレステロールの低下をもたらす。すでに米国や欧州をはじめ、世界の複数国・地域で高コレステロール血症治療薬として販売されており、国内においては、大塚製薬が2020年4月に本剤の独占的開発販売権を米国・エスペリオンから取得、2025年9月に製造販売承認を取得していた。

インフルにかかりやすい人の5つの特徴/弘前大学

医療一般

 インフルエンザ感受性に関連する複数の背景因子とそれらの関連性を明らかにするため、大規模な健康診断データを解析した結果、インフルエンザにかかりやすい人の傾向として、高血糖、肺炎の既往、多忙・睡眠不足、栄養不良、アレルギーの5つの特徴パターンが特定されたことを、弘前大学の寺田 明秀氏らが明らかにした。Scientific Reports誌2025年8月21日号掲載の報告。  インフルエンザ感受性の生物学的および環境的リスク要因は広く研究されているが、これらの要因間の複雑な関係を包括的に分析した研究は存在しないという。そこで研究グループは、複数の要因とその因果関係を明らかにするため、岩木健康増進プロジェクトの健診データ(2019年分)を解析した。

ダラツムマブ、「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」に承認/J&J

医療一般

 Johnson & Johnson(法人名:ヤンセンファーマ)は 2025年11月20日、ダラツムマブ(遺伝子組換え)・ボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)(商品名:ダラキューロ配合皮下注)が「高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫における進展遅延」に承認を取得したと発表した。この適応ではわが国で初めての承認で、多発性骨髄腫への進展前や臓器障害発現前における新たな治療選択肢となる。

統合失調症の陰性症状に対する補助的抗うつ薬の有効性~ネットワークメタ解析

医療一般

 統合失調症の陰性症状に対する治療反応は必ずしも十分ではない。また、陰性症状に対する抗うつ薬の効果については、依然として議論の余地がある。中国・Affiliated Hospital of Southwest Medical UniversityのYuting Li氏らは、厳格な選択基準に基づき、統合失調症の陰性症状に対する補助療法としての抗うつ薬の有効性を評価するため、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。Psychological Medicine誌2025年10月24日号の報告。  2025年4月16日までに公表され、統合失調症の陰性症状に対する補助療法として抗うつ薬とプラセボを比較したランダム化二重盲検比較試験をPubMed、Web of Scienceよりシステマティックに検索した。主要アウトカムは陰性症状とした。対象研究よりデータを抽出し、標準化平均差(SMD)を用いて全体的なエフェクトサイズを算出した。

1日5,000〜7,500歩の歩行がアルツハイマー病から脳を守る?

医療一般

 アルツハイマー病に関連する初期の脳の変化を遅らせたい人は、毎日の歩数を増やすと良いかもしれない。300人近い高齢者を最大14年間追跡調査した研究で、アルツハイマー病の早期兆候とされるアミロイドβ(Aβ)のレベルがすでに高い人でも、身体活動を行っている人では、記憶力や思考力の低下が遅いことが示された。このような身体活動の効果は、毎日の運動レベルが少量または中程度であっても認められ、1日の歩数が5,000〜7,500歩である人の思考力の低下率は、ほとんど活動していない人の半分程度であったという。米Mass General BrighamのWendy Yau氏らによるこの研究は、「Nature Medicine」に11月3日掲載された。

特発性頭蓋内圧亢進症で視力を失いやすい人とは?

医療一般

 頭蓋骨内で脳を保護する髄液に原因不明の圧力上昇が生じた状態を指す「特発性頭蓋内圧亢進症(idiopathic intracranial hypertension;IIH)」によって、視力障害が起こる可能性が高い患者を予測する方法を見出したと、南デンマーク大学神経内科学臨床教授のDagmar Beier氏らが報告した。眼内の視神経が網膜につながっている部分(視神経乳頭)の変化に基づき、将来的に視野に暗点(見えない部分)が現れる人や視覚の鮮明さが低下する人を予測できる可能性が示されたという。この研究の詳細は、「Neurology」に10月29日掲載された。

糖尿病治療薬がアルツハイマー病初期の進行を抑制する可能性

医療一般

 糖尿病治療薬がアルツハイマー病の初期段階の進行を抑制する可能性のあることが報告された。米ウェイクフォレスト大学アルツハイマー病研究センターのSuzanne Craft氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer’s & Dementia」に10月7日掲載された。この研究では、既に広く使われているSGLT2阻害薬(SGLT2-i)のエンパグリフロジンと、開発が続けられているインスリン点鼻スプレー(経鼻インスリン)という2種類の薬剤が、記憶力や脳への血流、および脳機能の検査値などの点で、有望な結果を示したという。

週間アーカイブ