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2024-04-01 ~ 2024-04-07

2024/04/05

早産児の鼠径ヘルニア手術の重篤AE、NICU退室前vs.退室後/JAMA

ジャーナル四天王

 早産児の鼠径ヘルニア修復術を、新生児集中治療室(NICU)退室後に行うことで、重篤な有害事象(AE)を発現した乳児が減少したことが示された。米国・テキサス大学健康科学センターのMartin L. Blakely氏らHIP Trial Investigatorsが、同国の39施設で実施した多施設共同無作為化臨床試験の結果を報告した。早産児は鼠径ヘルニアの罹患率が高く、修復術は一般的に行われるが、手術をNICU退室前にすべきか退室後にすべきかについては議論の余地があった。著者は、「今回の結果は、NICUからの初回退室まで鼠径ヘルニア修復術を遅らせることを支持するものである」とまとめている。JAMA誌2024年3月26日号掲載の報告。

進行滑膜肉腫、T細胞受容体療法が有効/Lancet

ジャーナル四天王

 既治療のHLA-A*02およびMAGE-A4発現滑膜肉腫患者において、afamitresgene autoleucel(afami-cel)治療は持続的な奏効をもたらしたことが示された。米国・スローンケターリング記念がんセンターのSandra P. D'Angelo氏らが、カナダ、米国、欧州の23施設で実施された非無作為化非盲検第II相試験「SPEARHEAD-1試験」の3つのコホートのうち、主たる治験コホートであるコホート1の結果を報告した。afami-celは第I相試験において、忍容性および安全性が確認され有望な有効性が示されていた。著者は、「本研究は、T細胞受容体療法を用いて効果的に固形腫瘍を標的とした治療が可能であることを示し、このアプローチを他の固形悪性腫瘍にも広げる根拠を提供するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2024年3月27日号掲載の報告。

約20年ぶりの下部尿路症状の疫学調査、その結果は?

医療一般

 本邦では、2002年に下部尿路症状(LUTS)に関する初めての疫学調査が実施され、過活動膀胱(OAB)の有病率などが報告された。当時の調査の結果では、40歳以上の男女のうち12.4%がOABに該当するとされ、加齢に伴いその割合は高くなったと報告されていた。また、40歳以上でOAB症状を有する人は、全国で約1,000万人と推計されていた。それ以降は本邦で大規模な疫学調査は行われていなかったが、日本排尿機能学会の前身である神経因性膀胱研究会が発足されてから50年の節目となる2023年において、現在の日本国内のLUTSの有病率と日常生活への影響を明らかにすることを目的として約20年ぶりの疫学調査が実施された。その結果は山梨大学の三井 貴彦氏らにより、International Journal of Urology誌オンライン版2024年3月21日号で報告された。

NSCLCへの周術期ニボルマブ上乗せ、術前療法が未完了でも有効か(CheckMate 77T)/ELCC2024

医療一般

 切除可能非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第III相無作為化二重盲検比較試験(CheckMate 77T試験)において、周術期にニボルマブを用いるレジメンが良好な結果を示したことがすでに報告されている。本レジメンは、術前にニボルマブと化学療法の併用療法を4サイクル実施するが、有害事象などにより4サイクル実施できない患者も存在する。そこで、CheckMate 77T試験において術前薬物療法が4サイクル未満であった患者の治療成績が検討され、4サイクル未満の患者でも周術期にニボルマブを用いるレジメンが治療成績を向上させることが示された。米国・ダナ・ファーバーがん研究所のMark M. Awad氏が、欧州肺がん学会(ELCC2024)で報告した。

断酒から“減酒”へ、アルコール依存症の新たな治療戦略

医療一般

 アルコール依存症やアルコールによる健康障害を回避するためには断酒・禁酒が推奨されてきたが、昨今の風潮ではアルコール依存症の治療でも重症度によっては「減酒」が第一歩となる。なぜ、断酒・禁酒ではなく減酒なのか。株式会社CureAppが主催した『減酒治療に関するメディアラウンドテーブル』では、治療法の時代変遷とそれに基づく減酒アプリ(現在、製造販売承認申請中)の実用化について、宋 龍平氏(減酒治療アプリプロジェクトリーダー/岡山県精神科医療センター臨床研究部 医師)が解説した。

統合失調症患者の脳容積の長期的な減少と認知機能との関連

医療一般

 統合失調症の脳バイオマーカーを確立することは、精神科医による診断サポートに寄与するだけでなく、疾患経過に伴う脳の進行性変化をフォローするうえで重要となる。最近の研究報告では、統合失調症患者の脳の形態学的特徴が示されており、健常な人と比較し、脳容積が減少した脳領域クラスターにより定義されている。この兆候は、統合失調症患者と健康な人を鑑別するうえで有効であることが証明されており、統合失調症の脳バイオマーカーの有望な候補であることが示唆されている。しかし、長期的な特徴については、いまだ不明なままであった。東京慈恵会医科大学の山崎 龍一氏らは、統合失調症患者の脳容積の変化が時間経過とともにみられるのか、それが臨床アウトカムと関連しているのかについて調査を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌2024年3月号の報告。

低所得者、腎機能低下・透析開始リスクが1.7倍に/京都大学

医療一般

 これまでの研究により、慢性腎臓病(CKD)の発症や進行には社会経済要因(所得、教育歴、居住地など)との関連がみられ、社会経済的地位の低い人ほどリスクが高いことが示されてきた。しかし、皆保険制度のある日本での状況はわかっていなかった。  京都大学の石村 奈々氏らは全国健康保険協会(協会けんぽ)の生活習慣病予防健診および医療レセプトのデータ(約560万人分)を用いて、収入と腎機能低下の関連を調査した。本研究の結果は、JAMA Health Forum誌オンライン版2024年3月1日号に掲載された。

抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ、再発・難治多発性骨髄腫に承認/ファイザー

医療一般

 ファイザーは2024年3月26日、抗BCMA/CD3二重特異性抗体エルラナタマブ(商品名:エルレフィオ)について、「再発又は難治性の多発性骨髄腫(標準的な治療が困難な場合に限る)」に対する治療薬として、国内における製造販売承認を取得した。今回の承認は、国際共同第II相試験(MagnetisMM-3試験)および国内第I相試験(MagnetisMM-2試験)の結果等に基づくもの。  再発・難治多発性骨髄腫に対する治療では、免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬および抗CD38モノクローナル抗体の3クラスの薬剤がキードラッグとして用いられる。

2024/04/04

糖尿病黄斑浮腫へのアフリベルセプト、高用量も安全・有効/Lancet

ジャーナル四天王

 糖尿病黄斑浮腫(DMO)患者へのアフリベルセプト8mgを12週ごとおよび16週ごとの硝子体内投与について、標準対照の2mgを8週ごとに投与との比較において、有効性および安全性は非劣性であることが示された。米国・Retina Consultants of AmericaのDavid M. Brown氏らが、第II/III相無作為化二重盲検非劣性試験「PHOTON試験」の48週時点の結果を報告した。アフリベルセプト8mgは同2mgと比べて、投与頻度を減少し治療アウトカムを改善できる可能性が示されていた。Lancet誌2024年3月23日号掲載の報告。

シスプラチン投与後の重篤AKI、簡易リスクスコアを開発/BMJ

ジャーナル四天王

 シスプラチン静脈内投与後の重篤な急性腎障害(CP-AKI)を予測する、新たなリスクスコアが開発された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のShruti Gupta氏らによる検討で、投与患者から容易に取得できる9つの共変量を用いた簡易リスクスコアが、従来モデルと比べて、死亡と強く関連する重篤なCP-AKIのリスクを高精度に予測可能であることが検証できたという。BMJ誌2024年3月27日号掲載の報告。  研究グループは、全米6ヵ所の主要ながんセンターを通じて、2006~22年に初回シスプラチン静脈内投与を受けた18歳以上の成人患者を対象に、重篤なCP-AKI発症に関する予測モデルの開発とその評価を行った。

モデルナのコロナワクチン、通常承認を取得し、引き続き供給

医療一般

 新型コロナウイルスに対するmRNAワクチンを提供するモデルナは、2024年3月29日付のプレスリリースで、特例承認を受けていた「スパイクバックス筋注」の通常承認を3月27日付で取得したと発表した。  なお厚生労働省によると、2024年4月1日以降、65歳以上の人および60~64歳で対象となる人には、新型コロナウイルス感染症の重症化予防を目的として秋冬に自治体による定期接種が行われ、費用は原則有料となる。ただし、定期接種以外の時期であっても接種を希望するすべての人が、自費による任意接種が可能である。

筋力パラメータは不安・抑うつの予測因子となりうるか

医療一般

 うつ病や不安症は、主要な公衆衛生上の問題の1つである。そのため、うつ病や不安症の症状予測因子を特定することは、症状悪化を避けるうえで重要となる。筋力や筋機能(握力、timed-stands testなど)は、健康アウトカムの予測因子として広く知られているが、うつ病や不安症との関連性は、十分にわかっていない。ブラジル・Santo Amaro UniversityのGabriella Mayumi Tanaka氏らは、握力やtimed-stands testスコアとうつ病および不安症の症状との関連を調査するため、コミュニティベースの横断研究を実施した。また、筋力レベルの高い人は、低い人と比較し、不安や抑うつ症状が軽減されるかについても調査した。その結果、筋力パラメータは、不安および抑うつ症状に関連する重要な予測因子である可能性を報告した。Clinical Nursing Research誌2024年3月号の報告。

アトピー性皮膚炎は小児の学習・記憶に影響するか?

医療一般

 米国で行われた横断研究において、アトピー性皮膚炎を有する小児は、学習障害と記憶障害が報告される割合が高いことが示唆された。ただし、その関連性は、主に注意欠如・多動症(ADHD)や限局性学習症といった神経発達症を併存する子供に限定されることも示された。米国・メリーランド大学医学校のEmily Z. Ma氏らが、JAMA Dermatology誌オンライン版2024年3月6日号で報告した。先行研究でアトピー性皮膚炎は小児の認知機能障害と関連することが示唆されているが、それらの研究では認知機能の評価を、症状ではなく神経発達の診断で代用している。したがって、アトピー性皮膚炎の小児が、認知機能障害のリスクが高いかは不明であった。著者は、「今回の結果から、アトピー性皮膚炎を有する小児の認知機能障害に関するリスク分類を改善できる可能性があり、アトピー性皮膚炎と神経発達症がある小児では認知機能障害の評価を優先すべきであることが示唆された」と述べている。

医師数統計公表、増えた診療科・減った診療科-厚労省調査

医療一般

 厚生労働省は「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果を取りまとめ、3月19日に公表した。それによると、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)に比べ1.1%増加。人口10万対医師数は274.7人で、前回に比べ5.5人増加している。医療施設(病院・診療所)に従事する医師のうち女性は7万7,380人となり、前回よりも4.8%増と大きく数字を伸ばした。年齢階級別にみるとすべての階級で男性が多くなっているが、年齢階級が低くなるほど女性の割合が増え、29歳以下では36.2%を占めている。  「医師・歯科医師・薬剤師統計」は、厚労省が2年おきに実施しており、今回は2022年12月31日時点の届け出を集計したもの。医師数を主に従事している施設の別にみると、医療施設の従事者は32万7,444人(総数の95.4%)で、前回に比べ3,744人(1.2%)増加。介護老人保健施設の従事者は3,298人(同1.0%)で前回に比べ107人(3.1%)減少している。

dostarlimab+化学療法+ニラパリブが進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

医療一般

 抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法からdostarlimab+PARP阻害薬ニラパリブのシークエンス治療は進行・再発子宮体がんの全集団およびミスマッチ修復機能正常(pMMR)集団の生存を改善した。  dostarlimabと化学療法の併用は第III相RUBY試験Part1で進行子宮体がんの無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)の有意な改善を示している。免疫療法へのPARP阻害薬の追加は、pMMR集団も含めた進行子宮体がんに対してさらなる生存改善が期待されている。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、デンマーク・コペンハーゲン大学のMansoor Raza Mirza氏がRUBY試験Part2の初回中間解析の結果を発表した。

日本人中年男性の飲酒量と糸球体過剰濾過の関係~関西ヘルスケアスタディ

医療一般

 糸球体濾過量(GFR)は低値だけでなく、その数値が著しく高い糸球体過剰濾過についてもその後の腎機能低下や心血管疾患との関連が報告されている。大阪公立大学の柴田 幹子氏らは、健康な中年男性における飲酒パターンと糸球体過剰濾過リスクとの関連を評価した前向きコホート研究の結果を、Journal of Epidemiology誌2024年3月5日号に報告した。  本研究では、腎機能が正常で蛋白尿や糖尿病がなく、登録時に降圧薬使用のない日本人中年(40~55歳)男性8,640人を前向きに6年間追跡調査。飲酒量に関するデータはアンケートによって収集され、週当たりの飲酒頻度(1~3日、4~7日)および1日当たりの飲酒量(エタノール量0.1~23.0g、23.1~46.0g、46.1~69.0g、≧69.1g)で層別化された。糸球体過剰濾過は推定糸球体濾過量(eGFR)≧117mL/min/1.73m2と定義され、この値はコホート全体における上位2.5thパーセンタイル値に相当した。

2024/04/03

抗IL-23自己抗体が日和見感染と関連/NEJM

ジャーナル四天王

 マイコバクテリア感染、細菌感染、真菌感染を有する患者では、抗インターロイキン-23中和抗体の存在が持続性の重症日和見感染と関連しており、その中和作用の強度が感染症の重症度と相関することが、米国国立アレルギー・感染症研究所のAristine Cheng氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2024年3月21・28日号に掲載された。  研究グループは、日和見感染において抗インターロイキン-23が役割を担っている可能性を検証する目的で検討を行った(米国国立アレルギー・感染症研究所などの助成を受けた)。

小林製薬のサプリ問題、日本腎臓学会がアンケート中間報告

医療一般

 小林製薬が製造販売する『紅麹コレステヘルプ』摂取者の腎障害を含む健康被害の報告が相次いでいる―。これを受け、日本腎臓学会は3月29日より学会員を対象とした「紅麹コレステヘルプに関連した腎障害に関する調査研究」アンケートを開始。中間報告として、3月31日19時時点で47例の報告が寄せられ、本アンケートでは死亡例はなかったことを明らかにした。

85歳以上のアルツハイマー病患者の認知機能に関連する因子と脳画像の特徴

医療一般

 85歳以上の超高齢者のアルツハイマー病における認知機能低下の根底にある病態生理学は、これまで明らかになっていない。総合東京病院 認知症疾患研究センターの羽生 春夫氏らは、超高齢者のアルツハイマー病における認知機能に関連する因子と脳画像の特徴を明らかにするため、本研究を実施した。Journal of the Neurological Sciences誌2024年3月15日号の報告。  対象は、アルツハイマー病の可能性のある連続した外来患者456例(男性:145例、女性:311例、年齢範囲:51~95歳)。対象者は、74歳以下、75~84歳、85歳以上のサブグループに分類した。人口統計学的要因(教育レベル、初診時の罹病罹患、BMI、併存疾患、フレイル、余暇活動など)、画像検査の特徴(内側側頭葉の萎縮、白質病変、梗塞の重症度、脳低灌流の頻度など)の違いをサブグループ間で比較した。

トルカプ、フェソロデックスと併用でHR+進行乳がんに対し承認取得(CAPItello-291)/AZ

医療一般

 アストラゼネカは2024年3月27日付のプレスリリースにて、トルカプ(一般名:カピバセルチブ)について、フェソロデックス(同:フルベストラント)との併用療法で「内分泌療法後に増悪したPIK3CA、AKT1 またはPTEN 遺伝子変異を有するホルモン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん」を効能または効果として、3月26日に厚生労働省より承認を取得したと発表した。  本承認は、昨年NEJM誌で発表された第III相CAPItello-291試験の結果に基づくものである。

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