内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:132

レビー小体病の睡眠障害~システマティックレビュー

 レビー小体病(LBD)は、レビー小体型認知症(DLB)とパーキンソン病型認知症(PDD)の両方を含む疾患である。LBDでは、睡眠の質の低下、日中の過度な眠気(EDS)、急速眼球運動行動障害(RBD)などの睡眠障害が高頻度で認められるにもかかわらず、他の認知症との比較研究は十分に行われていない。英国・ノーザンブリア大学のGreg J. Elder氏らは、LBDの睡眠障害の特性を調査し、睡眠障害に対する治療研究の効果、将来の研究に必要な具体性および方向性を明らかにするため、システマティックレビューを実施した。その結果、LBD患者は、高頻度に睡眠障害を合併しており、主観的な睡眠の質の低下、EDS、RBDなどが他の認知症患者よりも多く、より重度であることを報告した。International Journal of Geriatric Psychiatry誌2022年10月号の報告。

食事時間制限法がシフト勤務者に良い可能性

 食べ物を摂取してよい時間を制限する「食事時間制限法(Time-Restricted Eating;TRE)」は減量方法の一つとして広く知られているが、この食事法がシフト勤務者の健康にも良い可能性のあることが、米カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)医学部教授で心臓病専門医のPam Taub氏らによる消防士を対象とした研究で示された。研究結果は、「Cell Metabolism」10月号に発表された。  TREは、毎日決まった時間帯のみに食物を摂取し、それ以外の時間帯にはカロリーフリーの飲み物以外は口にしてはならないという、断続的断食の一種だ。カロリー計算をする必要はなく、時計を見るだけで済むシンプルさから、TREは減量法として人気がある。また、食べ物を摂取してよい時間帯を制限(6時間の制限が多い)することで体重を数キロ落とせることが小規模研究で示されている。

ブースター接種後もコロナ重症化リスクが高い人は? /Lancet

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチンの2回接種のみと比較して、初回ブースター接種により新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院/死亡(重症COVID-19)のリスクは低下するが、高齢者、複数の疾患あるいは特定の基礎疾患を有する人は、初回ブースター接種完了後でも、重症COVID-19のリスクは高いという。英国・セント・アンドルーズ大学のUtkarsh Agrawal氏らが、前向きコホート研究の結果を報告した。

摂食速度の速い高齢糖尿病患者は筋肉量が減りにくい

 一般に「早食いは体に良くない」とされている。しかし、高齢2型糖尿病患者のサルコペニア予防という視点では、そうとは限らない可能性を示唆するデータが報告された。自己申告で「食べるのが速い」と回答した人は、筋肉量の低下速度が緩徐だという。京都府立医科大学大学院医学研究科内分泌・代謝内科の小林玄樹氏、松下記念病院糖尿病・内分泌科の橋本善隆氏、京都府立医科大学の福井道明氏らの研究によるもので、詳細は「Frontiers in Nutrition」に6月23日掲載された。  糖尿病患者に対しては、食欲にまかせた大食いを防いだり、食後高血糖の抑制のために、ゆっくり食べるように勧められることが多い。一方で近年、人口の高齢化に伴い、サルコペニア(筋肉量や筋力の低下)を併発している糖尿病患者が増加し、高血糖による合併症ではなく、サルコペニアが予後を左右するようなケースの増加が指摘されている。サルコペニアの予防や改善には、タンパク質を中心とする栄養素の十分な摂取と、筋力トレーニングが必要とされる。加えて同研究グループでは、摂食速度がサルコペニアリスクと関連があることを、横断研究の結果として既に報告している。ただし、2型糖尿病患者の摂食速度が筋肉量の変化に影響を及ぼすか否かは不明であった。そこで小林氏らは、京都府立医科大学などが外来糖尿病患者を対象に行っている前向きコホート研究「KAMOGAWA-DMコホート」のデータを用いた縦断的解析を行った。

毎日の抗原検査vs.自主隔離、感染を広げないのは?

 迅速抗原検査キットを使用した毎日の陰性確認は、新型コロナウイルス感染症拡大を最小限に抑えるため、自主隔離の代替手段となりうるのか? 英国・健康安全保障局のNicola K. Love氏らは、COVID-19接触者追跡システムで特定された成人接触者を対象とした無作為化非劣性比較試験を実施。Lancet Respiratory Medicine誌オンライン版2022年10月10日号に結果を報告した。  英国では本試験期間中(2021年4~7月)、COVID-19感染者と接触した人には10日間の自主隔離が求められていた。接触者追跡システムで特定された成人接触者のうち同意が得られた参加者は、自主隔離群(1日目のPCR検査、10日間の隔離)または毎日の抗原検査(DCT)群(1日目および最終日のPCR検査、7日間連続のラテラルフローデバイス[LFD]による抗原検査、LFDで陰性の場合は24時間隔離免除)に無作為に割り付けられた。

新型コロナワクチン接種後にギランバレー症候群の発症リスクは増大しない

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン(以下、新型コロナワクチン)の接種により、ギランバレー症候群(GBS)の発症リスクが増大するとのエビデンスは認められなかったことが、新たな研究で報告された。研究論文の筆頭著者である、米ラトガース・ニュージャージー医科大学のMustafa Jaffry氏は、「この情報は、客観的な統計的分析によるアプローチによりワクチンの信頼性を裏付けるものだ」と述べている。この研究の詳細は、「Vaccine」9月号に掲載された。  米食品医薬品局(FDA)は、ジョンソン・エンド・ジョンソン社製の新型コロナワクチンと、GBS発症との関連を示唆する最初の報告を受け、2021年7月13日に、同ワクチンの接種によりGBSのリスクが増大する可能性があるとの警告を発していた。GBSはまれな神経学的疾患で、致死的となることもあるが、細菌感染により引き起こされることが多いため、原因を突き止めるのが難しい。Jaffry氏は、「最初の報告の内容は、単にワクチンを接種した人が、数週間後にGBSを発症したというものだった。しかし、同時期にワクチンとは無関係の感染症に罹患していた可能性もある」と説明する。

超加工食品の利便性と有害性はもろ刃の剣であり、摂取過剰は男性の遠位大腸がん発生の危険性を高めるため超加工食品の摂取には注意!―(解説:島田俊夫氏)

大腸がんの発生は国により多少の差はあるが世界中で日増しに大きな問題となっており、その原因として超加工食品を大きく取り上げている。超加工食品の分類には、ブラジル・サンパウロ大学の公衆衛生メンバーが提唱したNOVA分類(1~4)が通常用いられている。食品加工に伴う加熱処理、保存性の向上のための塩、砂糖やその他食品添加物、加工処理に伴う有害生成物、自然食品に含まれる抗酸化物質等の喪失等が発がん機序に深く関与していると推測されているが、十分に解明されているとはいえない。

コロナ・インフル同時流行の際の注意点/日本感染症学会

 今冬は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に加え、季節性インフルエンザの同時流行が危惧されている。発熱や倦怠感など症状を同じくするものもあり、外来などでの鑑別で混乱を来すことが予想されている。そこで、日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医科学研究所附属病院長])は、10月20日に同学会のホームページで 「この冬のCOVID-19とインフルエンザ同時流行の際の注意点を発表した。  本稿では、緊急避難的な措置の一例として「COVID-19、インフルエンザ同時流行となった場合の外来診療フローチャート」を示すとともに、外来診療フローチャートについて6つのポイントを説明している。

認知症患者に対する入院前後の抗コリン薬使用

 抗コリン薬は、コリン作動性を遮断することで主要な治療効果や二次的な作用を発現する薬剤である。認知症患者に対する抗コリン薬の使用は、中枢作用に対しとくに敏感である可能性が示唆されている。また、抗コリン薬は、認知症治療で主に用いられるコリンエステラーゼ阻害薬の作用にも拮抗するため、注意が必要である。英国・カーディフ大学のAnnabelle Hook氏らは、英国の急性期病院における認知症患者に対する入院前後の抗コリン薬の使用状況を調査するため、横断的多施設共同研究を実施した。その結果、コリンエステラーゼ阻害薬治療を行っている場合でも、認知症患者に抗コリン薬が使用されており、入院時よりも退院時において抗コリン薬負荷が有意に高いことが明らかとなった。BMC Geriatrics誌2022年10月6日号の報告。

コロナ治療薬モルヌピラビル、早期投与で回復までの期間短縮に期待/MSD

 MSDは10月19日、一般流通を9月16日に開始した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬モルヌピラビル(商品名:ラゲブリオ)について、承認後の最新情報として特定使用成績調査の中間報告などをメディアセミナーにて発表した。調査の結果、添付文書の改訂が必要になるような大きな安全性事象は認められなかったことや、外来患者に使用した際の転帰として死亡はなく、人工呼吸器の使用も低く抑えることができたとして、本剤の有効性が提示された。  同社代表取締役社長のKyle Tattle氏によると、本剤は国内にて2021年12月24日に特例承認を取得し、これまでに60万人以上に使用されたという。本剤は、承認当初は供給量が限られていたため、厚生労働省が所有したうえで、重症化リスクのある患者に、決められた流通網を通して医療機関や薬局に配分が行われていたが、供給量が増加したことで、2022年8月18日に薬価基準収載となり、9月16日には一般流通を開始した。