内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:125

長年の謎。ウイルス感染はなぜ寒い時期に増える?

 ウイルス性気道感染症は、冬の時期に増えることが知られているが、そのメカニズムはこれまで明らかになっていなかった。ハーバード大学のDi Huang氏らの研究グループは、上気道感染症の原因となるウイルスを撃退する鼻の中の免疫反応を発見した。さらに、この免疫反応は気温が低くなると抑制され、感染症が発生しやすくなることを明らかにした。本研究結果は、The Journal of Allergy and Clinical Immunologyオンライン版2022年12月6日に掲載された。

スマホアプリで食事のカリウム含有量を測定/AZ

 2022年12月8日、アストラゼネカは、都内にて「高カリウム血症合併慢性腎臓病(CKD)・透析患者さんの食事管理の進化」をテーマにメディアセミナーを開催した。  カリウムは、生体内において細胞の環境維持や筋収縮の調節などの重要な役割を担っている。適切な血中濃度は3.5~5.0mmol/Lと安全域が非常に狭いため、適切に管理することが求められる。  東京医科大学 腎臓内科学分野 主任教授 菅野 義彦氏は、カリウム管理の重要性について「通常、カリウムは食事により摂取され、尿中に排泄される。しかしCKD患者ではカリウムの排泄量が少なくなることで高カリウム血症を起こし、比較的軽度の症状で手足のしびれ、重度なものでは致死的な不整脈などを来す恐れがある」と解説した。

健康的なプラントベース食は地球にも優しい

 植物由来の食品で構成されたプラントベースの食事(以下、プラントベース食)は人々の健康だけでなく環境にも良い影響を与える。ただし、その有益性はどのようなプラントベース食でも同じというわけではないことが、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のAviva Musicus氏らの研究によって明らかになった。この研究結果は、「The Lancet Planetary Health」11月号に掲載された。  プラントベース食は、種類によって健康への影響が異なることが、すでに先行研究で示されていた。しかし、温室効果ガスの排出量、質の高い農地利用、肥料由来の窒素排出量、かんがい用水の利用状況など、プラントベース食が環境面に与える影響も異なるのかどうかについては、これまでほとんど検討されていなかった。

リバーロキサバン延長で、静脈血栓塞栓症の再発リスク低減/BMJ

 症候性の孤立性遠位深部静脈血栓症(DVT)の患者に対して、リバーロキサバンによる6週間の治療の後、さらに6週間の同薬の投与を行うと、プラセボと比較して、出血のリスクを増加させずに静脈血栓塞栓症の再発リスクが低減することが、イタリア・インスブリア大学のWalter Ageno氏らが実施した「RIDTS試験」で示された。研究の成果は、BMJ誌2022年11月23日号に掲載された。  RIDTS試験は、イタリアの28施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験であり、2017年1月~2020年3月の期間に患者の登録が行われた(Bayerとインスブリア大学の助成を受けた)。  対象は、年齢18歳以上、下肢の症候性孤立性遠位DVTと診断され、標準的な用量のリバーロキサバンの投与を6週間受けた患者であった。被験者は、さらに6週間の同薬(20mg、1日1回)の追加投与を受ける群、またはプラセボ群に無作為に割り付けられ、24ヵ月間追跡された。

自宅コロナ死、4割は同居家族あり/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第109回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、12月7日に開催された。その中で「新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について」が報告された。  調査期間中776名の自宅で死亡した者の解析から、死亡者の79%が70代以上であり、基礎疾患がある者が69%、親族などと同居が42%いた。また、ワクチン接種歴も不明が34%で一番多いものの、「3回接種」も28%と多かった。  政府では、「Withコロナに向けた政策の考え方」に則り、今後必要な医療資機材の提供、国民への正確な知識の普及に努めるとしている。  以下に概要を示す。

脂肪性肝疾患は心不全リスクを増大させる?

 肝臓に異常な脂肪が蓄積する非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が、心不全リスクを大幅に高める可能性のあることが、新たな研究で明らかにされた。この研究結果は、米国心臓協会(AHA)学術集会(Scientific Sessions 2022、11月5~7日、米シカゴ/バーチャル開催)で発表された。  米国では成人の4人に1人がNAFLDであるとされている。NAFLDは、恒久的な肝臓の損傷を引き起こしたり、プラークが動脈に蓄積して血流を制限するアテローム性動脈硬化症の発症リスクを増大させたりすることが知られている。しかし、NAFLDと心不全(心臓が十分に血液を送り出せない状態)との関係は、これまであまり研究されていなかった。米国での心不全患者の数は約600万人に上る。心不全は、完治は望めないものの、生活習慣の是正、薬剤および外科的処置による治療は可能だ。

自転車通勤で糖尿病を防げる―J-ECOHサブスタディ

 自転車通勤をしている人は糖尿病発症リスクが2割以上低いことが報告された。職域多施設研究(J-ECOHスタディ)の運動疫学サブスタディのデータを、帝京大学大学院公衆衛生学研究科の桑原恵介氏らが前向きに解析した結果であり、「Diabetes Care」にレターとして10月17日掲載された。  近年、環境保護や健康増進の観点から、自転車を利用した通勤への関心が高まっており、海外からは自転車通勤が糖尿病リスクを抑制する可能性を示す研究結果も報告されている。ただしアジア人での研究は行われていないことから、桑原氏らはJ-ECOHスタディのデータを用いてこの点を検討した。  J-ECOHスタディは、国立国際医療研究センターが主体となり、国内十数社の企業と共同で行っている疫学研究で、今回の研究は身体活動の詳細なデータがある1社での運動疫学サブスタディとして実施。2006年度に企業内健診を受診し、以後2017年度まで健診を受けていて、糖尿病発症の有無を把握し得た労働者3万1,678人(平均年齢44.0±9.8歳、男性84.9%)を解析対象とした。ベースライン時点で、糖尿病、心血管疾患、脳卒中、がんの既往のある人や、解析に必要なデータが欠落している人は除外されている。

オミクロン株のlong COVIDリスク、デルタ株より低い

 新型コロナウイルス感染症のオミクロン株は以前に流行したデルタ株と比較して急性期の症状が軽症であることが報告されているが、コロナ罹患後の後遺症、いわゆるlong COVIDのリスクも低いことが、ノルウェー・公衆衛生研究所のKarin Magnusson氏らの調査で示された。本研究の結果はNature Communications誌2022年11月30日号で報告された。  研究者らは、ノルウェーにおける18~70歳の全国民を対象に、医療データベースを使った前向きコホート研究を行った。オミクロンとデルタ株の流行が最も重複した期間(2020年12月8日~2021年12月31日)を対象に、オミクロン株の感染者の罹患後症状を、デルタ株感染者・非感染者と比較した。さらに、検査陽性後14~126日までの追跡期間を、急性期(14~29日)、亜急性期(30~89日)、慢性期(90日以上)に分け、罹患後症状の有病率の推定値も示した。

診療所での効果的な感染対策例/COVID-19対策アドバイザリーボード

 第108回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードが、11月30日に開催された。その中で日本プライマリ・ケア連合学会より「診療所における効果的な感染対策の好事例の紹介」が報告された。  これは、本格的な冬を迎え、プライマリ・ケアの外来には発熱などの感冒様症状を訴える患者が増えると予想されていることに鑑み、これに備え、これまでの新型コロナ流行下で実践されてきたプライマリ・ケアでの効果的な感染対策の工夫例と発熱外来を設置・運用するうえでの工夫例をまとめたもので、以下に概要を示す。

新型コロナ、コミュニティ迅速抗原検査は入院を減少/BMJ

 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染の無症状者を対象とした全市的なコミュニティ迅速抗原検査の導入は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院の大幅な減少と関連していることが、英国・リバプール大学のXingna Zhang氏らによる合成コントロール研究の結果、示された。多くの国が、COVID-19の拡大を制御するために住民ベースの無症状者対象検査プログラムを展開したが、地域での大規模な自主検査が感染拡大を阻止しCOVID-19の重症化を抑制するかどうかのエビデンスは不足していた。著者は、「SARS-CoV-2の大規模なコミュニティ迅速抗原検査は、感染減少および入院予防に役立つ可能性がある」とまとめている。BMJ誌2022年11月23日号掲載の報告。