内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:126

片頭痛に対する有酸素運動や筋トレの有効性~メタ解析

 いくつかの臨床試験において、片頭痛のマネジメントに対するさまざまな運動プロトコールを用いた介入の有効性が報告されている。しかし、それぞれの運動介入による有効性を直接比較した研究はほとんどない。米国・スタンフォード大学のYohannes W. Woldeamanuel氏らは、1ヵ月当たりの片頭痛回数の減少に対し運動介入の有効性を評価した臨床試験を含めた、システマティックレビューおよびネットワークメタ解析を実施した。その結果、筋力トレーニングは片頭痛の軽減に最も有効な運動介入であり、高強度の有酸素運動がそれに次ぐことが報告された。The Journal of Headache and Pain誌2022年10月13日号の報告。

高齢者におけるアスピリンによる消化性潰瘍出血の1次予防に対するピロリ除菌の影響(解説:上村直実氏)

心筋梗塞や脳梗塞の予防に用いられている抗血栓薬の中でも、使用頻度が最も高い低用量アスピリン(LDA)の最大の課題は有害事象である消化性潰瘍出血であり、LDAにより出血性潰瘍が増加することがよく知られている。予防に関しては、出血性潰瘍の既往歴を有する患者の再発性潰瘍出血がヘリコバクターピロリ(ピロリ)除菌により抑制されることもメタアナリシスで確かめられているが、出血の1次予防に対する除菌の影響に関しては一定の見解が得られていない。今回、1次予防に対するピロリ除菌の効果に関する新たな知見が、2022年11月のLancet誌に発表された。一般医家でフォローされている60歳以上のLDA常用者のうち、尿素呼気試験で判定されたピロリ陽性者5,367例を対象として除菌群と非除菌群に分けた大規模な無作為化比較試験(RCT)の結果、除菌後の追跡期間が2.5年未満では潰瘍出血による入院を有意に抑制したが、その後、機序は不明であるが、その予防効果は次第に失せていったというものである。

脳のエイジングはブラックボックス、画像で認知症予防を実現『MVision』

 脳画像のAI分析によるデータ解析ソフトの開発や医療機関向けの導入・運用サービス提供を行う株式会社エム(以下、エム社)は、第4回ヘルスケアベンチャー大賞において、「脳MRI画像解析に基づく全脳の構造別体積・健康状態の可視化、認知症予防」と題し、それらを実現できる技術を紹介して、見事に大賞を受賞した。本大賞は今年、5つの企業・団体と個人1名が最終審査会まで勝ち抜き、接戦を繰り広げた。  今回、エム社の創業者である森 進氏(ジョンズ・ホプキンズ大学医学部放射線科教授)に、開発経緯から技術提供の将来展望について話を聞いた。  2025年、日本は超高齢化社会を迎える。これは軽度認知障害(MCI)の発症者が約5人に1人(約700万人)と過去最大にまで増加することを意味し、国も認知症対策として新オレンジプランを掲げている。また、先日にはエーザイ・バイオジェンがMCIとアルツハイマー病を対象とした第III相CLARITY AD検証試験で主要評価項目を達成するなど、症状抑制に対する動きは活発である。

COVID-19入院患者におけるパキロビッド禁忌の割合は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック、ファイザー)は、経口投与の利便性と、入院または死亡に対する高い有効性のため、多くのハイリスク患者にとって好ましい治療薬とされている。しかし、本剤は併用禁忌の薬剤が多数あるため、使用できる患者は限られる。フランス・Assistance Publique-Hopitaux de ParisのNicolas Hoertel氏らの研究グループは、重症化リスクの高いCOVID-19患者において、ニルマトレルビル/リトナビルが禁忌である割合について調査した。本結果は、JAMA Network Open誌2022年11月15日号のリサーチレターに掲載された。  本剤の禁忌については、リトナビルはチトクロームP450 3A(CYP3A)酵素を阻害し、CYP3Aの薬物代謝に高度に依存する薬剤の濃度を上昇させることで、重篤な副作用を引き起こす可能性がある。また、強力なCYP3A誘導薬との併用により、ニルマトレルビルの濃度が著しく低下し、抗ウイルス効果が失われる可能性がある。重度の腎機能障害もしくは肝機能障害を有する患者も本剤の禁忌とされた。これらの医学的禁忌は、重症化リスクが高いCOVID-19患者に広くみられる可能性がある。

Pharmacoequity―SGLT2阻害薬/GLP-1受容体作動薬は公正に処方されているか?-(解説:住谷哲氏)

筆者は本論文で初めてpharmacoequityという用語を知った。「処方の公正性」とでも訳せばよいのだろうか。平等equalityと公正equityとの違いもなかなか難しいが、この用語の生みの親であるDr. Utibe R. Essienは、Ensuring that all individuals, regardless of race, ethnicity, socioeconomic status, or availability of resources, have access to the highest quality medications required to manage their health is “pharmacoequity”. と述べている。その意味するところを簡単に言えば、エビデンスに基づいた治療薬を必要とするすべての患者に公正に処方することを担保するのがpharmacoequityである、となる。

塩野義のコロナ治療薬ゾコーバを緊急承認/厚生労働省

 厚生労働省は11月22日、塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠125mg)を、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づき緊急承認した。緊急承認制度は2022年5月に新たに創設された制度で、薬剤の安全性の「確認」は前提とする一方で、有効性が「推定」できれば承認することができる。今回、本制度が初めて適用となった。同日開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議で、塩野義製薬が提出した第III相試験(第II/III相試験Phase 3 Part)の速報データに基づき緊急承認された。

コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率とCOVID-19死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州のCOVID-19死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。  本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、COVID-19死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。  主な結果は以下のとおり。

エンパグリフロジン、疾患リスク進行のCKDに有用/NEJM

 疾患リスクが進行した幅広い慢性腎臓病の患者において、エンパグリフロジンはプラセボと比較し、リスクの進行や心血管系による死亡の低減に結び付くことが示された。英国・オックスフォード大学のWilliam G. Herrington氏らが、広範囲の疾患進行リスクを有する慢性腎臓病患者を対象に行ったプラセボ対照無作為化比較試験「EMPA-KIDNEY試験」の結果を報告した。NEJM誌オンライン版2022年11月4日号掲載の報告。  EMPA-KIDNEY試験では、推算糸球体濾過量(eGFR)が20mL/分/1.73m2~45mL/分/1.73m2未満、またはeGFR 45mL/分/1.73m2~90mL/分/1.73m2未満で尿中アルブミン/クレアチニン比(ACR)が200(mg/g・CRE)以上の慢性腎臓病患者を対象とした。  研究グループは被験者を無作為に2群に分け、一方にはエンパグリフロジン(10mg 1日1回)を、もう一方にはプラセボを投与した。  主要アウトカムは、腎臓病の進行(末期腎不全、eGFRが持続的に10mL/分/1.73m2未満、eGFRがベースラインから40%以上持続的に低下、腎臓病による死亡)または心血管系による死亡の複合アウトカムだった。

コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関連するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では帯状疱疹リスクの増加と関連していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。