血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:56

〔CLEAR! ジャーナル四天王(67)〕 低悪性度リンパ腫とマントル細胞リンパ腫の1次治療、B-RがR-CHOPよりも有用かつ安全

 1963年に旧東ドイツで開発されたベンダムスチン(B)は、プリンアナログ様骨格にアルキル基が結合したユニークな抗がん薬である。治癒が期待できる治療法が確立していない低悪性度(B細胞性)リンパ腫や、従来の化学療法では予後不良なマントル細胞リンパ腫(mantle cell lymphoma:MCL)に対する高い有効性と低毒性が注目され、本邦では、2010年に再発・難治低悪性度リンパ腫と再発・難治MCLに対して承認された。

低悪性度非ホジキンリンパ腫の1次治療、B-RがR-CHOPよりも有用/Lancet

 ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法(B-R)は、低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の1次治療において、従来の標準治療であるシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)併用療法よりも、有効性および安全性が優れることが、ドイツ・Justus Liebig大学病院のMathias J Rummel氏らStudy group indolent Lymphomas(StiL)の検討で示された。米国では、毎年、約6万6,000人が新規に非ホジキンリンパ腫と診断され、そのうち約40%が低悪性度リンパ腫、約3~10%がマントル細胞リンパ腫だという。現在、欧米における進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫および高齢マントル細胞リンパ腫の標準的な1次治療はリツキシマブと化学療法(ほとんどがCHOP)の併用療法だが、再発や難治性の病変にはB-R療法が有効なことが確認されている。Lancet誌オンライン版2013年2月20日号掲載の報告。

静注ブスルファンと全身放射線照射との造血幹細胞移植後の全生存率の比較の報告が“Best Abstracts”に選出される【2013 BMT Tandem Meetings】

 BMT Tandem Meetings(米国造血細胞移植学会/国際骨髄移植研究センター 合同学術集会)において、造血幹細胞移植前治療としての静注ブスルファンと全身放射線照射(TBI)の骨髄破壊的レジメンを比較した試験の結果が、オタワ大学(カナダ)のChristopher Bredeson氏により報告された。この試験は、本学会の全553演題の中から最も優れた6題を表彰する“Best Abstracts”セッションにおいて、15日に米国ユタ州ソルトレイク市で発表された。

毎日のクロルヘキシジン清拭で院内感染が有意に減少/NEJM

 単施設の観察研究から、毎日のクロルヘキシジン清拭により院内血流感染と多剤耐性微生物の発現を防ぐ可能性が示唆されている。今回、米国のMichael W Climo氏らは、多施設共同集団無作為化非盲検クロスオーバー試験を行い、毎日のクロルヘキシジン含浸手拭いでの清拭により多剤耐性微生物の発現および院内血流感染発症のリスクを有意に減少させたことを報告した。NEJM誌2013年2月7日号に掲載。

重症血友病Aに対する第VIII因子製剤投与のインヒビター抗体発生リスク/NEJM

 未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤投与のインヒビター(阻害)抗体発生リスクについて調べた結果、全長遺伝子組換え型製剤間で発現リスクの有意な違い(第二世代製剤が第三世代に比べ約1.6倍増大)が示されたことが報告された。一方で、血漿由来製剤と遺伝子組換え製剤、製剤中のフォン・ヴィレブランド因子の含有量、製剤間の切り替えによる同発生リスクの増大はいずれも認められなかったという。オランダ・ユトレヒト大学メディカルセンターのSamantha C. Gouw氏らが患児600人弱について調べた結果で、NEJM誌2013年1月17日号で発表した。これまで未治療の重症血友病A患児に対する第VIII因子製剤の、種類や製剤間の切り替えなどと、臨床的に重要なインヒビター抗体発現リスクとの関連は明らかではなかった。

エビデンスに基づく鎌状ヘモグロビン保有新生児の推定数が明らかに

 2010年の世界の鎌状ヘモグロビン(HbS)保有患児数は、ヘテロ接合型(AS)が約547万6,000人、ホモ接合型(SS)は約31万2,000人と推算されることが、英国オックスフォード大学のFrederic B Piel氏らの検討で示された。保健医療資源の効率的な割り当てを行うには信頼性の高い罹患数の予測値を要する。鎌状赤血球症の原因であるHbSは、最も高頻度にみられるヘモグロビンの病的な遺伝子変異であり、臨床的に重要な構造的ヘモグロビン異常だが、罹患数予測値は明らかではなく、AS型およびSS型の新生児の正確な数も不明だったという。Lancet誌2013年1月12日号(オンライン版2012年10月25日号)掲載の報告。

難治性白血病に対するポナチニブ、高い治療反応を認める/NEJM

 変異型を含むBCR-ABLを阻害するポナチニブ(ponatinib、AP24534)を、チロシンキナーゼ阻害薬耐性のフィラデルフィア染色体陽性(Ph陽性)の白血病患者に投与すると、高い治療反応が認められることが示された。慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)患者のうち、血液学的完全寛解が認められたのは98%に上った。米国・M.D.アンダーソンがんセンターのJorge E. Cortes氏らが、80人超のチロシンキナーゼ阻害薬耐性の血液腫瘍患者について行った試験で明らかにしたもので、NEJM誌2012年11月29日号で発表した。