低悪性度非ホジキンリンパ腫の1次治療、B-RがR-CHOPよりも有用/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2013/02/28

 

 ベンダムスチン+リツキシマブ併用療法(B-R)は、低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の1次治療において、従来の標準治療であるシクロホスファミド+ドキソルビシン+ビンクリスチン+プレドニゾン(CHOP)+リツキシマブ(R-CHOP)併用療法よりも、有効性および安全性が優れることが、ドイツ・Justus Liebig大学病院のMathias J Rummel氏らStudy group indolent Lymphomas(StiL)の検討で示された。米国では、毎年、約6万6,000人が新規に非ホジキンリンパ腫と診断され、そのうち約40%が低悪性度リンパ腫、約3~10%がマントル細胞リンパ腫だという。現在、欧米における進行期低悪性度非ホジキンリンパ腫および高齢マントル細胞リンパ腫の標準的な1次治療はリツキシマブと化学療法(ほとんどがCHOP)の併用療法だが、再発や難治性の病変にはB-R療法が有効なことが確認されている。Lancet誌オンライン版2013年2月20日号掲載の報告。

B-RのR-CHOPに対する非劣性を無作為化試験で検証
 研究グループは、低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫に対するB-RのR-CHOPに対する非劣性を検証する多施設共同非盲検無作為化試験を実施した。

 対象は、年齢18歳以上、新規に診断されたStage III/IVの低悪性度非ホジキンリンパ腫またはマントル細胞リンパ腫で、PS(WHO)0~2の症例とした。これらの患者が、リンパ腫の組織学的サブタイプで層別化されたのち、ベンダムスチン(90mg/m2静注、第1、2日、4週毎)またはCHOP(シクロホスファミド750mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、ビンクリスチン1.4mg/m2を第1日に投与、プレドニゾン100mg/日は第1~5日目に投与、3週毎)を投与する群に割り付けられ、最大6コースまで施行することとした。両群とも、第1日目にリツキシマブ375mg/m2が投与された。

 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)とし、per-protocol解析を行った。3年後のPFSの非劣性のマージンは10%とした(たとえば、R-CHOP群のPFSが50%の場合、B-R群が40%以上であれば非劣性と判定)。これにより、ハザード比(HR)の95%信頼区間(CI)の上限値が1.32を超えない場合に非劣性と判定された。

PFS中央値のHR:0.58(95%CI:0.44~0.74)、脱毛:0% vs 100%、血液毒性:30% vs 68%
 2003年9月1日~2008年8月31日までに、ドイツの81施設から549例が登録され、B-R群に274例が、R-CHO群には275例が割り付けられ、それぞれ261例(年齢中央値64歳、Stage IV 77%、マントル細胞リンパ腫18%)、253例(同:63歳、78%、19%)が評価可能であった。

 フォローアップ期間中央値45ヵ月の時点で、PFS中央値はB-R群が69.5ヵ月(四分位範囲:26.1~未到達)、R-CHOP群は31.2ヵ月(同:15.2~65.7)であり、HRは0.58(95%CI:0.44~0.74、p<0.0001)であった。

 耐用性もB-D群がR-CHOP群よりも良好だった。すなわち、3コース以上の治療を受けた患者のうち、脱毛はB-D群が0%であったのに対しR-CHOP群は100%(p<0.0001)であった。また、血液毒性がそれぞれ30%、68%(p<0.0001)、感染症が37%、50%(p=0.0025)、末梢神経障害が7%、29%(p<0.0001)、口内炎は6%、19%(p<0.0001)であった。紅斑性皮膚反応の頻度はB-R群のほうが高かった(16% vs 9%、p=0.024)。

 著者は、「PFS中央値については、B-R群のR-CHOP群に対する非劣性とともに優位性も示され、耐用性もB-R群が良好であった。未治療の低悪性度非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫の1次治療では、R-CHOPよりもB-Rが好ましいと考えられる」と結論し、「今後は、B-R療法の有効例に対するRによる維持療法の有用性を評価する臨床試験を行う必要があるだろう」と指摘している。

(菅野守:医学ライター)

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コメンテーター : 宮腰 重三郎( みやこし しげさぶろう ) 氏

東京都健康長寿医療センター 血液内科 部長

J-CLEAR特任評議員