泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:44

高齢者の尿路感染症、抗菌薬即時処方で死亡リスク減/BMJ

 プライマリケアにおいて尿路感染症(UTI)と診断された高齢患者では、抗菌薬の非投与および待機的投与は、即時投与に比べ血流感染症および全死因死亡率が有意に増加することが、英国・Imperial College LondonのMyriam Gharbi氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年2月27日号に掲載された。大腸菌(Escherichia coli)による血流感染症の約半数が、原疾患としてのUTIに起因し、高齢患者はリスクが高いとされる。また、自然治癒性の疾患(上気道感染症など)では抗菌薬の「非投与」「待機的または遅延投与」は重度の有害アウトカムとはほとんど関連しないが、若年女性のUTI患者ではわずかだが症状発現期間が延長し、合併症が増加するとの報告がある。しかし、これらの研究は症例数が少なく、その一般化可能性は限定的だという。

プライマリケアでの抗菌薬処方、推奨期間を超過/BMJ

 英国では、プライマリケアで治療されるほとんどの一般感染症に対し、抗菌薬の多くがガイドラインで推奨された期間を超えて処方されていたことが、英国公衆衛生庁(PHE)のKoen B. Pouwels氏らによる横断研究の結果、明らかとなった。プライマリケアにおける抗菌薬の使用削減戦略は、主に治療開始の決定に焦点が当てられており、抗菌薬の過剰な使用に、どの程度治療期間が寄与しているかは不明であった。著者は、「抗菌薬曝露の大幅な削減は、処方期間をガイドラインどおりにすることで達成できる」とまとめている。BMJ誌2019年2月27日号掲載の報告。

新規のアミノグリコシド系抗菌薬plazomicinの複雑性尿路感染症に対する効果(解説:吉田敦氏)-1013

腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の薬剤耐性は、現在、われわれが日常最も遭遇する薬剤耐性と言ってよいであろう。たとえば本邦で分離される大腸菌の約4割はフルオロキノロン耐性、約2割はESBL産生菌である。実際に複雑性尿路感染症の治療を開始する際に、主原因である腸内細菌科細菌の抗菌薬耐性をまったく危惧しない場合は、ほぼないと言えるのではないだろうか。そして結果としてβラクタム系およびフルオロキノロン系が使用できないと判明した際、残る貴重な選択肢の1つはアミノグリコシド系であるが、腎障害等の副作用が使用を慎重にさせている点は否めない。

尿失禁が生命予後に影響?OABに早期介入の必要性

 わが国では、40歳以上の約7人に1人が過活動膀胱(OAB)を持ち、切迫性尿失禁を併せ持つ割合は70%を超えると推定されている。定期通院中の患者が症状を訴えるケースも多く、専門医以外でも適切な診療ができる環境が求められる。  2019年2月28日、OAB治療薬「ビベグロン錠50mg(商品名:ベオーバ)」の発売元であるキョーリン製薬とキッセイ薬品が共催したメディアセミナーにて、吉田 正貴氏(国立長寿医療研究センター 副院長 泌尿器外科部長)が講演を行った。本セミナーでは、「OABの病態と治療―新たな治療選択肢を探るー」をテーマに、高齢のOAB患者を取り巻く現状と薬物療法について語られた。

1日1回plazomicin、複雑性尿路感染症に有効/NEJM

 多剤耐性株を含む腸内細菌科細菌による複雑性尿路感染症(UTI)および急性腎盂腎炎の治療において、plazomicin1日1回投与はメロペネムに対し非劣性であることが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian M. E. Wagenlehner氏らが行ったEPIC試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月21日号に掲載された。近年、グラム陰性尿路病原菌では多剤耐性菌が増加し、重篤な感染症に対する新たな治療薬が求められている。plazomicinは、アミノグリコシド系抗菌薬で、カルバペネム耐性を含む多剤耐性腸内細菌科細菌に対し殺菌活性を発揮するという。

人生を支配するホルモンとは

 『できる男』と言われて何を思い浮かべるだろうか?年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。これらをすべてクリアするには何がカギなのだろうか。2019年2月18日、日本抗加齢医学会が主催するメディアセミナーに、井手 久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が登壇し、「男性のための理想的なライフスタイル」について講演した。  井手氏によると、『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さだという。

性差の記述、生物医学研究で依然少ない/Lancet

 臨床医学や公衆衛生学では性差関連報告を含む論文が増えているが、生物医学研究の分野では依然として少なく、筆頭および最終著者が女性の論文は性差関連の記述を含む確率が高いことが、米国・インディアナ大学のCassidy R. Sugimoto氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、Lancet誌2019年2月9日号に掲載された。性差は、遺伝学、細胞学、生化学、生理学的なレベルで存在することが、臨床および前臨床研究で示されているが、医学研究の対象への女性の組み入れは不十分とする多くの調査結果がある。医学研究への組み入れの男女間の格差は、その研究結果の、集団全体における効用性を著しく低下させる。一方、女性研究者の不足も指摘されているが、科学における女性の不足が、研究への組み入れや研究報告における男女格差と関連するかを評価した調査はほとんどないという。

ニボルマブ・イピリムマブ併用療法、去勢抵抗性前立腺がんに奏効を示す(CheckMate-650)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2019年2月14日、転移のある去勢抵抗性前立腺がん(mCRPC)患者におけるニボルマブ(商品名:オプジーボ)とイピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法を評価した第II相CheckMate 650試験の中間解析データを発表した。  CheckMate -650試験は、mCRPC患者を対象に、ニボルマブ・イピリムマブ併用療法の安全性と有効性を評価する進行中の非盲検第II相臨床試験。試験は2つのコホートで構成されている。コホート1は、化学療法による治療歴がなく、第2世代ホルモン療法による治療後に病勢進行した無症候性または症候がほとんどない患者。コホート2はタキサン系抗がん剤による化学療法後に病勢進行した患者。患者は、ニボルマブ1mg/kgおよびイピリムマブ3 mg/kgを計4回投与され、その後、ニボルマブ480mgを4週間ごとに投与された。主要評価項目は、奏効率(ORR)および画像診断による無増悪生存期間(rPFS)など。

ニボルマブ・低用量イピリムマブ併用、腎細胞がんで継続的な生存ベネフィット示す(CheckMate-214)/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、2019年2月14日、第III相CheckMate-214試験の最新の結果を発表した。同データでは、未治療の進行または転移のある腎細胞がん(RCC)患者において、ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と低用量イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)の併用療法が、引き続き長期生存ベネフィットを示した。  CheckMate-214試験は、未治療の進行または転移のあるRCC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法をスニチニブと比較評価した無作為化非盲検試験。併用療法群の患者は、ニボルマブ3mg/kgおよびイピリムマブ1mg/kgを3週間間隔で計4回投与され、その後ニボルマブ3mg/kgを2週間間隔で投与された。対照群の患者は、スニチニブ50mg/日を4週間投与後2週間休薬を病勢進行または忍容できない毒性が認められるまで継続した。試験の主要評価項目は、中~高リスク患者における全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、および奏効率(ORR)。

最新のがん統計:男性では前立腺がんが上位に

 厚生労働省は、2016年に開始した「全国がん登録」による初めての結果を公表した。それによると、2016年において、新たにがん(上皮内がんを除く)と診断された患者は99万5,132例で、男性が56万6,575例(56.9%)、女性が42万8,499例(43.1%)だった。  部位別のがん罹患数は、男性では胃(16.4%)、前立腺(15.8%)、大腸(15.8%)、肺(14.8%)、肝(5.0%)の順で多く、女性では乳房(22.1%)、大腸(16.0%)、胃(9.8%)、肺(9.7%)、子宮(6.6%)の順で多かった。