泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:43

テストステロンが血栓塞栓症、心不全、心筋梗塞に関連/BMJ

 JMJD1C遺伝子変異で予測した遺伝的内因性テストステロンは、とくに男性において、血栓塞栓症、心不全および心筋梗塞にとって有害であることを、中国・香港大学のShan Luo氏らが、UK Biobankのデータを用いたメンデル無作為化試験の結果、明らかにした。テストステロン補充療法は世界的に増大しているが、心血管疾患でどのような役割を果たすのか、エビデンスは示されていない。そうした中、最近行われたメンデル無作為化試験で、遺伝的予測の内因性テストステロンが、虚血性心疾患や虚血性脳卒中と、とくに男性において関連していることが示されていた。検討の結果を踏まえて著者は、「内因性テストステロンは、現在の治療法でコントロール可能であり、血栓塞栓症や心不全のリスク因子は修正可能である」と述べている。BMJ誌2019年3月6日号掲載の報告。

女性研究者は性差に関する論文を多く書いていた(解説:折笠秀樹氏)-1018

本研究では、計量書誌学(Bibliometrics)という珍しい手法が使われた。図書館情報学ではよく使われる手法のようだ。著者の性別を知るために、Web of Scienceという文献データベースでは、2008年から姓(Family name or Last name)と名(Given name or First name)を分けてデータベース化し始めたようである。けれども、名から性別をどう判別するのだろうか。基本は言語や国ごとに、名と性別を対応させたリストをデータベース化しているようである。しかしながら、イニシャルしか書いていない論文があるらしく、性別が判明しなかったのも25%近くあったようだ。

前立腺がんの生存率改善に関連するスタチンは?

 スタチン使用が前立腺がんの転帰改善に関連することを示す複数の疫学的研究が報告されている。スタチンの効果を確認するための大規模臨床試験を実施する前に、最も適切な対象患者とスタチンの種類を特定することが必要である。今回、台北医学大学のSzu-Yuan Wu氏らは、後ろ向きコホート研究により「アンドロゲン除去療法を受けている進行前立腺がん患者の生存率改善に、アトルバスタチン、プラバスタチンおよびロスバスタチンが関連することが示唆される」と報告した。European Journal of Cancer誌オンライン版2019年2月28日号に掲載。

血液1滴で13がん種を同時診断、日本発miRNA測定技術

 血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催された(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広氏(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が登壇し、自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説した。

高齢者の尿路感染症、抗菌薬即時処方で死亡リスク減/BMJ

 プライマリケアにおいて尿路感染症(UTI)と診断された高齢患者では、抗菌薬の非投与および待機的投与は、即時投与に比べ血流感染症および全死因死亡率が有意に増加することが、英国・Imperial College LondonのMyriam Gharbi氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2019年2月27日号に掲載された。大腸菌(Escherichia coli)による血流感染症の約半数が、原疾患としてのUTIに起因し、高齢患者はリスクが高いとされる。また、自然治癒性の疾患(上気道感染症など)では抗菌薬の「非投与」「待機的または遅延投与」は重度の有害アウトカムとはほとんど関連しないが、若年女性のUTI患者ではわずかだが症状発現期間が延長し、合併症が増加するとの報告がある。しかし、これらの研究は症例数が少なく、その一般化可能性は限定的だという。

プライマリケアでの抗菌薬処方、推奨期間を超過/BMJ

 英国では、プライマリケアで治療されるほとんどの一般感染症に対し、抗菌薬の多くがガイドラインで推奨された期間を超えて処方されていたことが、英国公衆衛生庁(PHE)のKoen B. Pouwels氏らによる横断研究の結果、明らかとなった。プライマリケアにおける抗菌薬の使用削減戦略は、主に治療開始の決定に焦点が当てられており、抗菌薬の過剰な使用に、どの程度治療期間が寄与しているかは不明であった。著者は、「抗菌薬曝露の大幅な削減は、処方期間をガイドラインどおりにすることで達成できる」とまとめている。BMJ誌2019年2月27日号掲載の報告。

新規のアミノグリコシド系抗菌薬plazomicinの複雑性尿路感染症に対する効果(解説:吉田敦氏)-1013

腸内細菌科(Enterobacteriaceae)の薬剤耐性は、現在、われわれが日常最も遭遇する薬剤耐性と言ってよいであろう。たとえば本邦で分離される大腸菌の約4割はフルオロキノロン耐性、約2割はESBL産生菌である。実際に複雑性尿路感染症の治療を開始する際に、主原因である腸内細菌科細菌の抗菌薬耐性をまったく危惧しない場合は、ほぼないと言えるのではないだろうか。そして結果としてβラクタム系およびフルオロキノロン系が使用できないと判明した際、残る貴重な選択肢の1つはアミノグリコシド系であるが、腎障害等の副作用が使用を慎重にさせている点は否めない。

尿失禁が生命予後に影響?OABに早期介入の必要性

 わが国では、40歳以上の約7人に1人が過活動膀胱(OAB)を持ち、切迫性尿失禁を併せ持つ割合は70%を超えると推定されている。定期通院中の患者が症状を訴えるケースも多く、専門医以外でも適切な診療ができる環境が求められる。  2019年2月28日、OAB治療薬「ビベグロン錠50mg(商品名:ベオーバ)」の発売元であるキョーリン製薬とキッセイ薬品が共催したメディアセミナーにて、吉田 正貴氏(国立長寿医療研究センター 副院長 泌尿器外科部長)が講演を行った。本セミナーでは、「OABの病態と治療―新たな治療選択肢を探るー」をテーマに、高齢のOAB患者を取り巻く現状と薬物療法について語られた。

1日1回plazomicin、複雑性尿路感染症に有効/NEJM

 多剤耐性株を含む腸内細菌科細菌による複雑性尿路感染症(UTI)および急性腎盂腎炎の治療において、plazomicin1日1回投与はメロペネムに対し非劣性であることが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian M. E. Wagenlehner氏らが行ったEPIC試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌2019年2月21日号に掲載された。近年、グラム陰性尿路病原菌では多剤耐性菌が増加し、重篤な感染症に対する新たな治療薬が求められている。plazomicinは、アミノグリコシド系抗菌薬で、カルバペネム耐性を含む多剤耐性腸内細菌科細菌に対し殺菌活性を発揮するという。

人生を支配するホルモンとは

 『できる男』と言われて何を思い浮かべるだろうか?年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。これらをすべてクリアするには何がカギなのだろうか。2019年2月18日、日本抗加齢医学会が主催するメディアセミナーに、井手 久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が登壇し、「男性のための理想的なライフスタイル」について講演した。  井手氏によると、『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さだという。