外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:62

コロナ禍の献血不足を救う?自己血輸血の効果を検証

 新型コロナウイルス感染症の影響はさまざまな側面で現れているが、献血の減少もその1つに挙げられる。保存血液の使用機会の多い外科領域では、現状に鑑みた効率的な保存血液の使用を検討する必要がある。欧米では、血液製剤の使用を減らすために希釈式自己血輸血が活用されている。京都大学の今中 雄一氏ら研究グループは、国内で手術を受けた患者の保存血液使用率について、希釈式自己血輸血を受けた患者と受けていない患者とで比較したところ、自己血輸血を受けている患者では赤血球製剤使用率が約2割少ないことがわかった。本結果は、PLOS ONE誌オンライン版2021年3月10日号に掲載された。

オマリズマブ、免疫チェックポイント阻害薬および抗HER2薬のそう痒症を改善/Ann Oncol

 IgE阻害薬オマリズマブ(商品名:ゾレア)はアトピー性皮膚炎、蕁麻疹などのそう痒症に有効である。がん領域におけるそう痒関連皮膚有害事象(paCAE)は、免疫チェックポイント阻害薬や抗HER2薬で多くみられる。これらの薬剤による難治性paCAEを伴うがん患者に対してオマリズマブを評価する多施設後ろ向き研究の結果が発表された。

非浸潤性乳がん患者、乳がん以外の浸潤性がんリスクが1.6倍

 非浸潤性乳がん(BCIS)患者は浸潤性乳がんリスクが高いという報告があるが、乳がんを除く浸潤性がんの潜在リスクに関する報告は一致していない。今回、スイス・チューリッヒ大学のNena Karavasiloglou氏らが、組織的なマンモグラフィ検診プログラムのないチューリッヒ州におけるBCIS患者のデータを調査したところ、BCIS患者は一般集団に比べ、浸潤性乳がんは6.85倍、乳がんを除く浸潤性がんは1.57倍、リスクが高いことが示された。また、70歳以上でのBCIS診断が乳がんを除く浸潤性がんのリスクと関連していたが、浸潤性乳がんとは関連していなかった。Frontiers in Oncology誌2021年3月18日号に掲載。

転移乳がんにおけるBRCA1/2変異、予後への影響は?/JCO

 転移を有する乳がん患者において、がん感受性遺伝子の生殖細胞系列変異の頻度や、これらの変異の臨床的関連性は不明である。今回、ドイツ・University Hospital ErlangenのPeter A. Fasching氏らは、転移を有する乳がん患者の前向きコホートで、BRCA1とBRCA2を含む乳がん素因遺伝子変異の頻度と変異患者の臨床的特徴を調べ、変異が転帰に及ぼす影響を検討した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年3月29日号に掲載。

がん関連3学会、がん患者への新型コロナワクチン接種のQ&A公開

 2021年3月29日、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)は合同で「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とがん診療についてQ&A―患者さんと医療従事者向け ワクチン編 第1版―」を公開した。昨年に公開された新型コロナとがん診療に関するQ&Aに付随した「ワクチン版」となる。  ワクチン開発段階の臨床試験では、がん患者が対象に組み入れられることは少なかったが、世界各国で接種が進み、がん患者に関するエビデンスが集まりつつある現状を紹介。

タモキシフェン、低用量でも乳腺濃度は減少するか?/JCO

 乳がん術後補助療法としてのタモキシフェン標準用量20mgと比較して、1~10mgの低用量は非劣性であるか、また服用による副作用はどう変化するのか。スウェーデン・カロリンスカ研究所のMikael Eriksson氏らは、タモキシフェン療法による反応の指標としてマンモグラフィにおける乳腺濃度の変化を用い、用量別の効果と副作用について検討した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2021年3月18日号掲載の報告。  研究者らは、スウェーデンのマンモグラフィスクリーニングプログラムに参加している40~74歳の女性を対象に、閉経状態によって層別化された6ヵ月の二重盲検6アーム無作為化プラセボ対照非劣性用量決定第II相試験(KARISMA試験)を実施。

早期乳がんアジュバントでCDK4/6阻害薬は有用か/ESMO Open

 HR+/HER2-の進行乳がんにおいてはCDK4/6阻害薬と内分泌療法の併用は標準治療だが、アジュバントにおけるCDK4/6阻害薬の評価は一定していない。イタリア・Hunimed UniversityのElisa Agostinetto氏らは、系統的レビューとメタ解析により、HR+/HER2-早期乳がんのアジュバントにおける内分泌療法へのCDK4/6阻害薬追加による生存および安全性アウトカムへの影響を評価した。その結果、無浸潤疾患生存(IDFS)におけるベネフィットの傾向と、毒性(全Grade)および投与中止リスクの増加がみられた。ESMO Open誌2021年3月17日号に掲載。

乳がんリスクの高い9遺伝子を同定(解説:下村昭彦氏)-1369

1月20日のNEJM誌に乳がんリスク遺伝子を網羅的に解析した大規模試験が2本掲載された。そのうちの1つは英国からの報告であり、11万3,000例以上のBreast Cancer Association Consortiumに参加した乳がん患者と対象者において34遺伝子を搭載したパネルで5つ(ATM、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2)の乳がんリスク遺伝子を同定した。また4つの遺伝子(BARD1、RAD51C、RAD51D、TP53)におけるタンパク切断型変異も乳がんリスクと関連した。もう1つは米国からの同様の研究であり、こちらは6万5,000例以上を解析し、BRCA1、BRCA2、PALB2、BARD1、RAD51C、RAD51D、ATM、CDH1、CHEK2の9遺伝子がリスクを増加させる遺伝子として報告され、またそれぞれの遺伝子ごとにリスクの高い乳がんのサブタイプが示された。

『敗血症診療ガイドライン2020年』の完成版が発刊

 昨年、ダイジェスト版が先行発表されていた日本集中治療医学会・日本救急医学会の合同作成による「日本版敗血症診療ガイドライン2020」の正式版が、3月に発刊された。本ガイドラインは、小児から成人まで敗血症・敗血症性ショック患者およびその疑いのある患者の診療において、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことを目的に作成されている。また、敗血症診療に従事または関与する専門医、一般臨床医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士などのすべての医療従事者への利用を促している。

血液検体による固形がんCGP「FoundationOne Liquid CDx」国内承認/中外

 中外製薬は、2021年03月23日、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)を提供するリキッドバイオプシー(LB: liquid biopsy)検査として、「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」の承認を、3月22日に厚生労働省より取得したと発表。血液検体を用いた固形がんに対するCGPと、国内で承認された複数のコンパニオン診断機能を併せ持ったがん遺伝子パネル検査として国内初の承認となる。  FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、進行固形がん患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、324のがん関連遺伝子を解析する。がんゲノムプロファイリング機能と併せ、厚生労働省より承認されている複数の分子標的治療のコンパニオン診断機能も有しており、これらの結果を一つのレポートとして提供する。