外科/乳腺外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:61

乳がんリスクの高い9遺伝子を同定(解説:下村昭彦氏)-1369

1月20日のNEJM誌に乳がんリスク遺伝子を網羅的に解析した大規模試験が2本掲載された。そのうちの1つは英国からの報告であり、11万3,000例以上のBreast Cancer Association Consortiumに参加した乳がん患者と対象者において34遺伝子を搭載したパネルで5つ(ATM、BRCA1、BRCA2、CHEK2、PALB2)の乳がんリスク遺伝子を同定した。また4つの遺伝子(BARD1、RAD51C、RAD51D、TP53)におけるタンパク切断型変異も乳がんリスクと関連した。もう1つは米国からの同様の研究であり、こちらは6万5,000例以上を解析し、BRCA1、BRCA2、PALB2、BARD1、RAD51C、RAD51D、ATM、CDH1、CHEK2の9遺伝子がリスクを増加させる遺伝子として報告され、またそれぞれの遺伝子ごとにリスクの高い乳がんのサブタイプが示された。

『敗血症診療ガイドライン2020年』の完成版が発刊

 昨年、ダイジェスト版が先行発表されていた日本集中治療医学会・日本救急医学会の合同作成による「日本版敗血症診療ガイドライン2020」の正式版が、3月に発刊された。本ガイドラインは、小児から成人まで敗血症・敗血症性ショック患者およびその疑いのある患者の診療において、医療従事者が患者の予後改善のために適切な判断を下す支援を行うことを目的に作成されている。また、敗血症診療に従事または関与する専門医、一般臨床医、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士、管理栄養士などのすべての医療従事者への利用を促している。

血液検体による固形がんCGP「FoundationOne Liquid CDx」国内承認/中外

 中外製薬は、2021年03月23日、固形がんに対する包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)を提供するリキッドバイオプシー(LB: liquid biopsy)検査として、「FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイル」の承認を、3月22日に厚生労働省より取得したと発表。血液検体を用いた固形がんに対するCGPと、国内で承認された複数のコンパニオン診断機能を併せ持ったがん遺伝子パネル検査として国内初の承認となる。  FoundationOne Liquid CDx がんゲノムプロファイルは、進行固形がん患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、324のがん関連遺伝子を解析する。がんゲノムプロファイリング機能と併せ、厚生労働省より承認されている複数の分子標的治療のコンパニオン診断機能も有しており、これらの結果を一つのレポートとして提供する。

医者にかかる10箇条に見る新たな医師と患者の関わり方

 インフォームド・コンセント(IC)の場において、医師の努力もさることながら患者にも自発性を促す必要がある。ではどのような方法が有力なのだろうかー。3月12日に開催された「カルテコいきいきPHRウェブセミナー」にて、山口 育子氏(NPO法人ささえあい医療人権センター[COML]理事長)が『新・医者にかかる10箇条』について解説し、病院受診する患者が持つべき心構えや責任について語った(主催:メディカル・データ・ビジョン[MDV])。

コロナ禍における透明マスク、患者との信頼関係を良好にする!?

海外では現行のマスクを利用すると聴覚障がい者などのコミュニケーションの妨げになるとして、透明なマスクの開発が進められている。では実際、この懸念は透明なマスクによって本当に払拭されるのだろうか―。ノースカロライナ大学チャペルヒル校のIan M Kratzke氏らが200例を対象としてランダム化比較試験を実施した結果、患者は主治医の顔を見ながらコミュニケーションをとることを好むと示唆された。また、外科医が透明なマスクを着用することは、患者にとって良いコミュニケーターとなり、患者からより共感が得られ、より大きな信頼を引き出すことが明らかになった。JAMA Surgery誌オンライン版2021年3月11日号掲載の報告。

HER2陽性早期乳がんへの術後トラスツズマブ、半年 vs.1年~メタ解析

 HER2陽性早期乳がん患者における術後トラスツズマブ投与が生存転帰を改善することが示されているが、標準とされる12ヵ月の投与と比較し6ヵ月の投与が非劣性であるかについては議論がある。中国・華中科技大学同済医学院のBi-Cheng Wang氏らは術後トラスツズマブの投与期間についてメタ解析を実施。Medicine誌オンライン版2021年3月12日号にその結果が掲載された。  2020年1月14日まで、PubMed、Cochrane Library、Web of Science、およびEMBASEで関連研究が検索された。無病生存期間(DFS)と全生存期間(OS)について、プールされたハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)のメタ解析が行われた。

キノコ摂取量とがんリスク~メタ解析

 キノコは生理活性化合物が豊富で、健康上のメリットについての研究が増えている。そこで、米国・ペンシルベニア州立大学医学部のDjibril M. Ba氏らは、系統的レビューおよびメタ解析により、キノコ摂取量と各種がん発生リスクとの関連を評価した。その結果、がん全体、とくに乳がんにおいて、キノコ摂取量が多いほどがんリスクが低いことが示された。Advances in Nutrition誌オンライン2021年3月16日号に掲載。

統合失調症患者の乳がん、術後合併症が多い~日本の全国データ

 統合失調症患者は一般集団より乳がん発症リスクが高いが、乳がんの術後合併症を調査した研究はほとんどない。今回、東京大学の小西 孝明氏らの研究から、統合失調症患者では精神疾患のない患者より乳がんの術後合併症発生率や入院の総費用が高いことが示唆された。British Journal of Surgery誌2021年3月号に掲載。  本研究は、全国的な入院患者データベースから、2010年7月~2017年3月にStage 0~III乳がんで手術を受けた患者を特定し、多変量解析を用いて統合失調症患者と精神疾患のない患者について術後合併症と入院費用を比較した。感度分析は、入院時の年齢・施設・年度で1:4にマッチングさせたペアコホート分析、抗精神病薬を服用していなかった統合失調症患者を除外した分析、意思に反して入院した統合失調症患者を除外した分析の3つを実施した。

リスク低減卵管卵巣摘出術で乳がんリスクは減少するか/JAMA Oncol

 これまで不明であったリスク低減卵管卵巣摘出術(risk reducing salpingo-oophorectomy:RRSO)と乳がんリスクとの関連が明らかにされた。カナダ・ウェスタン大学のYun-Hee Choi氏らはケースシリーズ研究を行い、BRCA1またはBRCA2病的バリアント保持女性に対するRRSOは、術後5年間の乳がんリスク低下、ならびにBRCA1病的バリアント保持者での長期的な累積乳がんリスクと関連することを示した。著者は、「RRSOの主たる適応症は卵巣がんの予防であるが、RRSOの実施とそのタイミングに関する臨床的な意思決定を導くために、乳がんリスクとの関連を評価することも重要である」とまとめている。BRCA1/2病的バリアントを有する女性は、乳がんおよび卵巣がんの発症リスクが高いことが知られる。通常は集中的な監視を行いRRSOも考慮される。RRSOは、卵巣がんのリスクを低減することが知られているが、乳がんリスクとの関連は不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2021年2月25日号掲載の報告。

飲酒と乳がんリスク~日本人16万人の解析

 欧米の研究から、飲酒が乳がんリスクを上昇させることが報告されている。しかし、日本人女性は欧米人女性より飲酒習慣が少なく、またアセトアルデヒドの代謝酵素の働きが弱い人が多いなど、飲酒関連の背景が欧米とは異なる。これまで日本人を対象とした大規模な研究は実施されていなかったが、今回、愛知県がんセンターや国立がん研究センターなどが共同で日本の8つの大規模コホート研究から約16 万人以上を統合したプール解析を行い、乳がんリスクと飲酒との関連を検討した。その結果、閉経前女性では飲酒により乳がん罹患リスクが上昇したことを愛知県がんセンターの岩瀬 まどか氏らが報告した。International Journal of Cancer誌オンライン版2021年1月26日号に掲載。