腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:5

ゾルベツキシマブ、CLDN18.2陽性の進行胃がんに承認/アステラス

 アステラスは2024年3月26日、ゾルベツキシマブ(商品名:ビロイ)について、CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃がんを効能・効果として日本における製造販売承認を取得した。  今回の承認は、CLDN18.2陽性HER2陰性の切除不能な局所進行または転移のある胃/食道胃接合部腺がんの1次治療に対する第III相SPOTLIGHT試験およびGLOW試験の結果に基づいている。両試験とも、ゾルベツキシマブ+化学療法群(mFOLFOX6またはCAPOX)は、主要評価項目である無増悪生存期間および重要な副次評価項目である全生存期間に対し統計的に有意な延長を示している。ゾルベツキシマブ+化学療法群で発現頻度の高かった(20%以上)治療関連有害事象は、悪心、嘔吐、食欲減退、好中球減少症、体重減少であった。なお、CLDN18.2陽性はSPOTLIGHT試験およびGLOW試験スクリーニングされた患者の約38%を占めた。

低用量アスピリンは肝脂肪を減らすか?~MASLD対象RCT/JAMA

 脂肪性肝疾患の1つであるMASLD(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease)は、進行すると肝硬変や肝細胞がん、その他の合併症のリスクが高まるとされている。しかし、本邦においてMASLDに対する治療薬として承認されている薬剤はなく、治療法の開発が望まれている。アスピリンは前臨床研究や観察研究において、MASLDから肝線維化や肝細胞がんへの進展を抑制する可能性が示されており、MASLDの治療薬候補の1つと考えられている。そこで、米国・マサチューセッツ総合病院のTracey G. Simon氏らの研究グループは、海外第II相プラセボ対照無作為化比較試験を実施し、肝硬変を伴わないMASLDに対する低用量アスピリンの治療効果を検討した。その結果、低用量アスピリンは肝脂肪量を減少させることが示された。本研究結果は、JAMA誌2024年3月19日号にPreliminary Communicationとして掲載された。

HER2過剰発現NSCLCへのT-DXd、第II相試験結果(DESTINY-Lung01)/Lancet Oncol

 抗HER2抗体薬物複合体(ADC)トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)は、既治療のHER2遺伝子変異陽性の進行・再発非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象とした国際共同第II相試験(DESTINY-Lung02)において有用性が認められ、すでに用いられている。既治療のHER2過剰発現またはHER2遺伝子変異陽性の進行・再発NSCLC患者を対象とした国際共同第II相試験(DESTINY-Lung01)も実施されており、HER2過剰発現の集団における結果が、オランダ・Leiden University Medical CenterのEgbert F. Smit氏らによって、Lancet Oncology誌2024年4月号で報告された。なお、HER2遺伝子変異陽性の集団における結果はすでに報告されている。

抗PD-1抗体dostarlimab+化学療法が進行子宮体がんの生存改善(RUBY)/SGO2024

 新たな抗PD-1抗体dostarlimabと化学療法の併用が進行子宮体がんの全生存期間(OS)を改善した。  10年以上ものあいだ、原発進行または再発子宮体がんに対する1次治療は化学療法であった。しかし、長期成績は不良でOS中央値は3年未満であった。進行または再発子宮体がんに対するdostarlimabと化学療法の併用はミスマッチ修復機能欠損(dMMR)/高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)と全集団のOS傾向を初回の中間解析で改善した。米国婦人科腫瘍学会(SGO2024)では、米国・ワシントン大学のMathew A. Powell氏が2回目の中間解析としてOS、無増悪生存期間(PFS)、PFS2および安全性の結果を発表した。

日本での大腸がん手術の転帰、月~木曜日vs.金曜日

 英国での大規模な後ろ向き研究で、待機的手術における30日以内の死亡リスクが月曜日で最も低く、週末に向けて増加することが報告されている。平日(月~金曜日)の間でもこのように差が見られる「weekday effect」については、まだ議論の余地がある。今回、広島大学の今岡 洸輝氏らは、StageI~III大腸がんの待機的手術を対象とした多施設共同後ろ向き解析を実施し、手術の曜日と短期アウトカムの関連を検討した。その結果、手術を金曜日に受けた患者は金曜日以外に受けた患者より術後合併症の発生率が高く、術後入院期間も長いことがわかった。Journal of Surgical Research誌2024年4月号に掲載。  本研究は、広島臨床腫瘍外科研究グループに属する15施設において、2017年1月~2019年12月に大腸がんの原発巣切除術を受けた2,574例を対象に解析した。手術日により金曜日と金曜日以外(月~木曜日)の2群に分け、傾向スコアマッチング後、30日死亡率と術後アウトカムを比較した。

高リスク早期乳がんの術後内分泌療法、ribociclib上乗せでiDFS延長/NEJM

 再発リスクの高いStageII/IIIのHR+/HER2-早期乳がんの術後療法において、CDK4/6阻害薬ribociclibと非ステロイド性アロマターゼ阻害薬(NSAI)の併用療法は、NSAI単独療法と比較し無浸潤疾患生存期間(iDFS)を有意に改善した。米国・カリフォルニア大学デビッド・ゲフィン医科大学院のDennis Slamon氏が、国際共同無作為化非盲検第III相試験「NATALEE試験」の中間解析結果を報告した。ribociclibは、HR+/HER2-進行乳がん患者において全生存期間を有意に延長することが示されていた。NEJM誌2024年3月21・28日号掲載の報告。

前立腺がん放射線療法後6ヵ月のPSA最低値が予後と関連/JCO

 放射線療法(RT)±アンドロゲン除去療法(ADT)を受けた限局性前立腺がん患者において、RT終了後6ヵ月間の前立腺特異抗原(PSA)最低値が長期予後と関連することが示唆された。イタリア・Catholic UniversityのLucia Kwak氏らによるJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年3月12日号掲載の報告より。  著者らは、RT単独、RT+短期(3~6ヵ月)ADT、RT+長期(24~36ヵ月)ADTを受けた限局性前立腺がん患者における、RT終了後6ヵ月間のPSA値が予後に及ぼす影響を評価する目的で、1987~2011年に実施された16の無作為化比較試験から個々の患者データを入手。RT終了後6ヵ月以内に記録されたPSA最低値を同定し、<0.1ng/mLまたは≧0.1ng/mLに分類した。

EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法の第2回OS中間解析(FLAURA2)/ELCC2024

 EGFR遺伝子変異陽性の進行・転移非小細胞肺がん(NSCLC)に対する1次治療として、第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬のオシメルチニブと化学療法の併用療法とオシメルチニブ単剤を比較する国際共同第III相無作為化比較試験(FLAURA2試験)が実施されており、主解析の結果、併用療法群で無増悪生存期間(PFS)が改善したことが報告されている(治験担当医師評価に基づくPFS中央値は併用群25.5ヵ月、単独群16.7ヵ月、ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.49~0.79)。欧州肺がん学会(ELCC2024)において、本試験の全生存期間(OS)に関する第2回中間解析の結果と、主解析時点をデータカットオフとした病勢進行後の治療成績が、ペルー・Instituto Nacional de Enfermedades NeoplasicasのNatalia Valdiviezo氏により報告された。

早期乳がん術前・術後化療にペルツズマブ上乗せ、長期有効性は?(PEONY試験)

 HER2陽性の早期または局所進行を有するアジア人乳がん患者に対して、術前および術後化学療法にペルツズマブを上乗せした第III相PEONY試験の最終解析の結果、5年間の長期有効性が認められたことを、中国・Fudan University Shanghai Cancer CenterのLiang Huang氏らが明らかにした。Nature Communications誌2024年3月9日号掲載の報告。

がん合併の低リスク肺塞栓症患者に対する在宅療養は適切か(ONCO PE)/日本循環器学会

 肺塞栓症含む血栓塞栓症はがん患者の主要な合併症の1つだ。通常の肺塞栓症の場合、低リスクであればDOACによる在宅療養を安全に行えるものの、がん患者の肺塞栓症に対してもそれが可能であるか議論されていた。倉敷中央病院心臓病センター循環器内科の茶谷 龍己氏らは、肺塞栓症重症度スコア(sPESI)が1点のがん合併の低リスク肺塞栓症患者に対して、リバーロキサバンによる在宅療養と入院療養の比較試験を、ONCO PE試験のコンパニオンレポートとして実施した。3月8~10日に開催された第88回日本循環器学会学術集会のLate Breaking Clinical Trials 2セッションにて茶谷氏が発表した。なお本結果は、Circulation Journal誌オンライン版2024年3月8日号に同時掲載された。