腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

ピロリ除菌で大腸がんリスクも低減/JCO

 Helicobacter pylori(H. pylori)陽性で除菌治療を受けた場合、治療を受けなかった陽性者と比較して、大腸がんの発症リスクと死亡リスクの両方が有意に低減したことを、米国・VA San Diego Healthcare SystemのShailja C. Shah氏らが明らかにした。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2024年3月1日号掲載の報告。  近年、H. pylori感染と大腸がんのリスクとの間に正の関連があることが報告されている1)。Shah氏らの研究グループは、H. pylori感染と陽性者における除菌治療が、大腸がんの発症と死亡に及ぼす影響を調査するためにコホート研究を行った。  解析には、1999~2018年に退役軍人健康管理局でH. pylori検査を行った退役軍人のデータが用いられた。追跡調査は、大腸がんの発症、大腸がんまたは他の要因による死亡、2019年12月31日のいずれか早い日まで継続した。主要評価項目は大腸がんの発症率と死亡率であった。

論文執筆における生成AIの利用範囲はどこまでか?(解説:折笠秀樹氏)

ChatGPTなどの生成AI(GAIと呼ぶ)に関する、指針に関する調査報告です。ChatGPTは2022年に生まれ、急拡大したのは周知のとおりです。英文校正や翻訳作業の利用にとどまらず、論文執筆や図表作成にも使われ始めたようです。こうした生成AIの利用に関する指針が出てきたのは見聞きしていましたが、それに関する大々的な調査結果です。当然ながら、著名な雑誌ほど投稿規定などにいち早く盛り込んでいました。トップジャーナルではすでに87%に及んでいますが、全体で見るとまだ24%しかないようです。生成AIを共著者とすることは、95%以上で禁止しているようです。しかし、生成AIを利用すること自体を禁止しているわけではありません。その範囲はどこまでにすべきかについて、雑誌ごとにばらばらのようです。コンセンサスが得られていないということなのでしょう。

男性乳がん患者、乳がん特異的死亡リスクは?

 StageI~IIIのホルモン受容体(HR)陽性の男性乳がん患者における乳がん特異的死亡リスクを調査した結果、そのリスクは少なくとも20年間持続することを、アルゼンチン・Grupo Oncologico Cooperativo del SurのJulieta Leone氏らが明らかにした。JAMA Oncology誌オンライン版2024年2月29日号掲載の報告。  研究グループは、米国国立がん研究所(NCI)のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)の集団ベースのデータを用いて、1990~2008年に乳がんと診断された男性を対象とした観察コホート研究を実施した。累積発生関数を用いて、乳がん特異的死亡および乳がん非特異的死亡の累積リスクに関するベースライン時の変数を推定した。Fine-Gray回帰を用いてあらかじめ選択した変数と乳がん特異的死亡との関連を評価した。

喫煙による咽頭がんリスク、非喫煙者の9倍に

 飲酒、喫煙ががん罹患リスクと関連するとの報告は多いが、頭頸部がんと飲酒、喫煙、食習慣との関連をみた研究結果が発表された。米国・ワシントン大学のDaniel P. Lander氏らによる本研究の結果は、JAMA Otolaryngology誌オンライン版2024年2月8日号に掲載された。  本研究は、前立腺がん、肺がん、大腸がんおよび卵巣がん検診に関する臨床試験参加者のコホート解析だった。参加者は55~74歳、1993年11月~2001年7月に全米10施設で募集された。頭頸部がんを発症した参加者は、喫煙、飲酒、食習慣解析のため、人口統計学および頭頸部がん家族歴に加え、喫煙状況および喫煙期間に基づいて対照群とマッチングされた。

トラスツズマブ デルクステカン胃がん全例調査の中間解析/日本胃癌学会

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)の胃がんにおける製造販売後調査(PMS)の初回投与後4ヵ月の中間解析の結果を第96回日本胃癌学会総会において近畿大学の川上 尚人氏が発表した。この発表はASCO-GI2024のアンコール発表である。  T-DXdは胃がん3次治療以降に使用される一方、間質性肺疾患(ILD)の発現が重要なリスクとして認識されている。日本においては、ILDのリスクを評価するため、すべてのT-DXd投与胃がん患者を対象に観察期間12ヵ月の多施設観察研究が行われている。日本胃癌学会では観察期間12ヵ月のうち最初の4ヵ月の中間成績が発表された。

がん治療中のその輸液、本当に必要ですか?/日本臨床腫瘍学会

 がん患者、とくに終末期の患者において最適な輸液量はどの程度なのか? 第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)で企画されたシンポジウム「その治療、やり過ぎじゃないですか?」の中で、猪狩 智生氏(東北大学大学院医学系研究科緩和医療学分野)が、終末期がん患者における輸液の適切な用い方について、ガイドラインでの推奨や近年のエビデンスを交え講演した。  猪狩氏はまず実際の症例として、70代の膵頭部がん(StageIV)患者の事例を紹介した:1次治療(GEM+nab-PTX)後にSDとなったものの、8ヵ月後に腹痛、吐き気で緊急入院し、がん性腹膜炎、麻痺性イレウスと診断。中心静脈確保、絶食補液管理(1日2,000mL)となり、腹痛に対しオピオイドを開始したものの症状コントロール困難となった。

悪性褐色細胞腫の治療に、スニチニブが有望/Lancet

 本試験(FIRSTMAPPP試験)以前に、転移のある褐色細胞腫および傍神経節腫(パラガングリオーマ)患者を対象とした無作為化対照比較試験は行われていないという。フランス・パリ・サクレー大学のEric Baudin氏らが、この腫瘍の治療において、プラセボと比較してスニチニブ(VEGFR、PDGFR、RETを標的とする受容体チロシンキナーゼ阻害薬)は、1年無増悪生存率を有意に改善し安全性に差はないことを示した。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月22日号で報告された。  FIRSTMAPPP試験は、欧州4ヵ国(フランス、ドイツ、イタリア、オランダ)の14施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第II相試験であり、2011年12月~2019年1月に、年齢18歳以上、散発性または遺伝性の転移を有する進行性褐色細胞腫およびパラガングリオーマの患者78例(年齢中央値54歳、男性59%)を登録した(フランス保健省などの助成を受けた)。

日本人胃がんの薬物療法研究の最新情報/日本胃癌学会

 新薬の登場で変化する胃がん薬物療法の国内研究の最新情報が第96回日本胃癌学会総会で報告された。  ペムブロリズマブと化学療法の併用は日本人胃・食道胃接合部がんの1次治療においてもグローバルと同様の結果を示した。  切除不能または転移を有するHER2陰性の胃・食道胃接合部腺がん1次治療で良好な結果を示したペムブロリズマブ+化学療法の第III相KEYNOTE-859試験における日本人サブセットの結果が示された。日本人サブセットは101例で、ペムブロリズマブ+化学療法群は48例、コントロールとなる化学療法群は53例であった。

糖尿病患者の死因1位は男女ともに悪性新生物/糖尿病学会

 従来、糖尿病患者は、大血管障害で亡くなる患者が多かった。最新の『糖尿病診療ガイド 2022-2023』では、糖尿病治療の目標を「健康な人と変わらない人生」と定義し、糖尿病合併症である糖尿病細小血管合併症や動脈硬化性疾患の発症、進展の阻止を治療の柱としている。  では実際に糖尿病患者は、どのような死因で亡くなっているのだろうか。糖尿病学会では「糖尿病の死因に関する委員会」(委員長:中村 二郎氏[愛知医科大学医学部 先進糖尿病治療学寄附講座 教授])を設置し、全国の医療機関にアンケートを行い、死因の調査を行っている。

de novo転移乳がん、治療を受けない場合の生存期間

 新規に転移のある乳がん(dnMBC)と診断され、その後治療を受けなかった患者の全生存期間(OS)中央値は2.5ヵ月と、1回以上治療を受けた患者の36.4ヵ月に比べて有意に短かったことが、米国・Duke University Medical CenterのJennifer K. Plichta氏らの研究でわかった。Breast Cancer Research and Treatment誌オンライン版2024年3月5日号に掲載。