腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

進行卵巣がんにおけるカルボプラチン腹腔内投与の位置付け/日本婦人科腫瘍学会

 2025年12月に卵巣がんの1次化学療法としてカルボプラチンの腹腔内(IP)投与が保険収載された。本年(2026年)7月に開催された第68回日本婦人科腫瘍学会学術講演会では、同がんにおけるIPカルボプラチンの可能性について、岡山大学の長尾 昌二氏が最新の臨床知見を基に紹介した。  PARP阻害薬や抗体薬物複合体(ADC)の登場により急速に変化する卵巣がん治療においてIP化学療法はどのような役割を担えるのか。長尾氏が研究代表者を務めたiPocc試験は、カルボプラチン腹腔内投与の有効性を前向き無作為化比較試験で証明し、世界的にも高く評価されている。その成果はNEJM Evidence誌に掲載され、日本におけるIPカルボプラチンを保険収載に導いた。

HER2+局所進行/転移乳がんへの二重HER2阻害療法と併用の1次化学療法、エリブリンvs.タキサンの最終OS解析(JBCRG-M06/EMERALD)/ESMO Open

 HER2陽性(HER2+)局所進行/転移乳がんに対して、二重HER2阻害療法(トラスツズマブ+ペルツズマブ)と併用する1次化学療法として、エリブリンと医師選択のタキサンを比較した第III相JBCRG-M06/EMERALD試験の最終解析の結果、全生存期間(OS)中央値が6年を超え、2群間に有意差は認められなかったことが示された。福島県立医科大学の佐治 重衡氏らがESMO Open誌8月号に報告した。本試験ではすでに、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)においてエリブリンがタキサンに非劣性を示したことが報告されている。

進行胆道がん、デュルバルマブ+ゲムシタビン+シスプラチン療法の長期生存利益と一貫した安全性を確認(TOPAZ-1)

 切除不能または転移のある胆道がんに対するデュルバルマブとゲムシタビン+シスプラチン(GC)併用療法の有用性を示した第III相TOPAZ-1試験について、事後解析結果が報告された。事後解析結果が報告された。4年超の追跡においてデュルバルマブ併用群はプラセボ併用群と比較して長期生存利益を維持し、4年生存率は約3倍に達した。ソウル国立大学病院(韓国)のDo-Youn Oh氏らによる本研究は、JAMA Oncology誌オンライン版2026年7月9日号に掲載された。  胆道がんは予後不良であり、多くの患者は切除不能あるいは遠隔転移を伴った状態で診断される。

高齢の転移TN乳がん患者におけるSGの有用性~国際共同リアルワールド研究

 転移を有するトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の高齢患者に対するサシツズマブ ゴビテカン(SG)の臨床成績を評価した国際共同リアルワールド研究の結果を、ポーランド・Maria Sklodowska-Curie National Research Institute of OncologyのAleksandra Konieczna氏らが報告した。このリアルワールド集団において、SGを投与された65歳以上の患者のアウトカムは若年患者と同等以上であり、重篤な有害事象の明らかな増加は認められなかった。Oncologist誌オンライン版2026年7月20日号に掲載。

抗TROP-2 ADCはTROP-2発現レベルで効果が変わるか

 抗TROP-2抗体薬物複合体(ADC)は、転移乳がんの治療薬として有効性を示しているが、患者のTROP-2の発現レベルによって効果がどの程度異なるかは明らかではなかった。今回、イタリア・Istituto Nazionale Tumori, IRCCS Fondazione G. PascaleのRoberto Buonaiuto氏らのシステマティックレビューおよびメタ解析により、抗TROP-2 ADCは転移乳がんの無増悪生存期間(PFS)を有意に改善するが、その治療効果はTROP-2発現レベルが高い患者でより顕著であることが示された。Journal of the National Cancer Institute誌オンライン版2026年7月10日号掲載の報告。

アレルギーや喘息で、がんリスクは上がる?下がる?〜JPHC研究

 アレルギーや喘息に伴う過敏な免疫反応や慢性炎症が、がん発症に防御的に働くのか、あるいは促進するのかについては、依然として議論されている。今回、国立がん研究センターの平林 万葉氏らが、日本人の多目的コホート研究(JPHC Study)から得られたデータを用いて前向き観察研究を実施したところ、アレルギーや喘息の既往はがん全体のリスクとは関連しないものの、喫煙男性では大腸がん、非喫煙女性では子宮頸がんのリスク上昇と関連することが示された。Cancer Medicine誌2026年7月号に掲載。

日本の骨髄線維症患者における貧血および輸血依存の関係

日本の骨髄線維症(MF)患者において、貧血および輸血が罹患率、死亡率、医療費の増加と関連していることが後方視的コホート研究で示された。同研究結果はPLOS One誌(2026年5月8日付オンライン版)で発表された。 同研究は、日本の大規模診療データベース(Medical Data Vision)を使用し、MF患者全体およびJAK阻害薬治療を受けたサブグループにおける、治療パターン、輸血負担などを調査することを目的に実施された。対象は2015年4月1日~2022年6月30日に特定されたMF患者で、全体コホートは836例、そのうちJAK阻害薬投与サブグループは281例であった。

既治療CLL/SLL、ピルトブルチニブ+VRでPFS改善(BRUIN CLL-322)/Lancet

 前治療歴のある慢性リンパ性白血病(CLL)患者において、非共有結合型BTK阻害薬ピルトブルチニブは、ベネトクラクス+リツキシマブ療法(VR)との併用により、VRと比較して無増悪生存期間(PFS)を有意に改善し、この効果は共有結合型BTK阻害薬の前治療歴のある患者においても一貫しており、新たな安全性シグナルは認められないことが示された。米国・ダナファーバーがん研究所のMatthew S. Davids氏らが、22ヵ国152施設で実施された無作為化非盲検実薬対照第III相試験「BRUIN CLL-322試験」の結果を報告した。Lancet誌オンライン版2026年7月9日号掲載の報告。

StageIV肺限局型NSCLCへの肺移植、1年OS率100%/JAMA

 内科的治療に抵抗性の病変が肺に限局したStageIVの非小細胞肺がん(NSCLC)で、呼吸不全を呈する患者において、内科的治療単独と比較して肺移植を受けた患者の早期生存成績は良好であることが、米国・ノースウェスタン大学のAnkit Bharat氏らによる前向き単施設レジストリ研究の結果で示された。移植群の推定1年全生存(OS)率は100%であったのに対し、内科的治療単独群は40.8%であった。著者は、「長期の追跡評価および生活の質(QOL)の評価が求められる」とまとめている。両肺移植は、肉眼的に確認できる病変をすべて切除可能であるが、肺がんについては過去の肺移植成績が不良であったことから適応にならないとされている。JAMA誌オンライン版2026年7月8日号掲載の報告。

未治療若年マントル細胞リンパ腫へのイブルチニブ療法、リツキシマブ維持療法でPFS延長(TRIANGLE)/JCO

 未治療の若年マントル細胞リンパ腫(MCL)患者において、BTK阻害薬イブルチニブを含む治療にリツキシマブ維持療法(RM)を追加することにより無増悪生存期間(PFS)が有意に延長することが、TRIANGLE試験の2次解析で示された。イタリア・Universita del Piemonte OrientaleのMarco Ladetto氏らがJournal of Clinical Oncology誌オンライン版2026年7月14日号に報告した。