ジャーナル四天王(NEJM ・ Lancet ・ JAMA ・ BMJ )最新ニュース|page:223

妊娠中の抗うつ薬服用は出生児の自閉症リスク増大と関連/BMJ

 妊娠中の抗うつ薬服用(SSRIと非選択的モノアミン再取り込み阻害薬)は、出生児の自閉症リスク増大と関連していたことを、英国・ブリストル大学のDheeraj Rai氏らによる住民ベースのネスティッドケースコントロール研究の結果、報告した。知的障害との関連はみられなかったという。しかし著者は、今回示された関連性について、妊娠中の重度のうつ病が自閉症リスクを増大する原因なのか、あるいは反映しているのかについてはさらなる研究が必要だとまとめている。また、「自閉症が認められたのは、服用者の1%未満の子どもについてであったことから、妊娠中の抗うつ薬服用が有意にリスクの増大に関与した可能性は低いと思われる」と言及している。BMJ誌オンライン版2013年4月19日号掲載の報告より。

CHD、脳卒中患者の健康的な生活習慣の実践状況が明らかに/JAMA

 冠動脈心疾患(CHD)および脳卒中患者における健康的な生活習慣の実践率は世界的に低く、所得が低いほど実践状況も悪くなることが、カナダ・ハミルトンの公衆衛生研究所のKoon Teo氏らが行ったPURE試験で示された。急性冠症候群患者の観察試験では、より健康的な生活習慣を遵守することで再発リスクが低下することが確認されており、禁煙は死亡や心筋梗塞のリスクを低下させ、質のよい食事や定期的な運動は死亡や心筋梗塞後の心血管疾患の再発リスクを低減することが明らかにされている。一方、CHD、脳卒中患者における健康的な生活習慣の世界的な実践状況は、これまでほとんど知られていなかったという。JAMA誌2013年4月17日号掲載の報告。

片頭痛をもつ子ども、乳児疝痛歴の頻度が高い/JAMA

 片頭痛をもつ6~18歳の小児、青少年は、片頭痛のない子どもに比べ乳児疝痛歴を有する割合が有意に高いことが、フランス・ロベール・ドゥブレ病院のSilvia Romanello氏らの検討で明らかとなった。出生後1ヵ月以内の乳児における手のつけられない号泣の原因の多くは疝痛で、一般に疼痛症候群とみなされている。一方、子どもの頭痛の主な原因に片頭痛があるが、乳児疝痛とその後の片頭痛発症の関連は知られていないという。JAMA誌2013年4月17日号掲載の報告。

重症患者へのグルタミン早期投与、死亡率が増加/NEJM

 集中治療室(ICU)に入室した多臓器不全を呈する重症患者では、グルタミンの早期投与によりむしろ死亡率が上昇し、抗酸化薬の投与は臨床転帰に影響を及ぼさないことが、カナダ・キングストン総合病院のDaren Heyland氏らの検討で示された。重篤な病態にある患者は多大な酸化ストレスを受けており、グルタミンや抗酸化物質の投与により死亡率が抑制される可能性が指摘されているが、これまでに得られたデータは相反するものだという。NEJM誌2013年4月18日号掲載の報告。

パートナーによる暴力、プライマリ・ケア医のカウンセリングは有効か?/Lancet

 親密なパートナーからの暴力(IPV)を受ける女性に対するプライマリ・ケア医による簡易カウンセリングは、女性のQOLや心の健康に良好な影響を及ぼさないものの、抑うつ状態の改善がみられたことが、オーストラリア・メルボルン大学のKelsey Hegarty氏らが進めるWEAVE試験の初期結果で示された。WHOは重大な公衆衛生上の問題であるIPVに対する早期介入の場としてのプライマリ・ケアの重要性を支持しているが、IPVを受けていると判定された女性への支援を目的とする医療的介入の有効性に関するエビデンスは十分ではない。WEAVEプロジェクトは、カウンセリングは短期的な暴力の低減を期待するものではなく、それによって女性が自分は支援されていると認識し、虐待について話し合って安心感を得ることで、自己効力感(self-efficacy)の前向きの変化や、安全対策や行動、心の健康、QOLの改善が促されるとの仮説に基づくものだという。Lancet誌オンライン版2013年4月16日号掲載の報告。

QT延長症候群関与の遺伝子変異、子宮内胎児死亡の原因か?/JAMA

 子宮内胎児死亡の原因として、QT延長症候群(Long QT syndrome:LQTS)に関与する遺伝子変異が関連している可能性が報告された。イタリア・パヴィア大学のLia Crotti氏らが、子宮内胎児死亡91児について行った試験で明らかにしたもので、JAMA誌2013年4月10日号で発表した。子宮内胎児死亡または死産の頻度はおよそ妊娠160件につき1件の割合で起きており、全周産期死亡の約50%を占めるという。

熱誘起の身体的疼痛、fMRIで客観的評価が可能な指標を開発/NEJM

 侵害性熱刺激により誘発された身体的疼痛が、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)により客観的に評価できることが明らかにされた。米国・コロラド大学のTor D. Wager氏らが、114例を対象に4試験を行い評価指標を開発・検証した結果で、NEJM誌2013年4月11日号で発表した。疼痛の評価は自己申告に基づき行われるのが一般的だが、それのみに頼ることは治療の妨げとなる場合があり、客観的な評価の指標が求められていた。fMRIは身体的疼痛の客観的指標として有望視されているが、感度および特異度を有する指標はこれまで特定されていなかったという。

大人も子どもも減塩によるベネフィットがある/BMJ

 世界保健機構(WHO)のNancy J Aburto氏らは、減塩による降圧効果および心血管疾患との関連、さらに血中脂質、カテコールアミン、腎機能の変化にみられる有害反応の可能性について、システマティックレビューとメタ解析を行った。これらに関する過去のメタ解析は方法論の限界や検出力不足が指摘され、さらに一部の研究者から減塩は健康を害する可能性があるといった報告もあり、WHO栄養ガイドライン専門家アドバイザリーグループ栄養・健康サブグループが、減塩と非伝染性疾患との関連を明らかにすることを求められたことによる。BMJ誌オンライン版2013年4月3日号掲載の報告より。

地方病院閉鎖の対策として開設されたCAH、質的改善が急務/JAMA

 米国では1997年に地方病院閉鎖への対策としてCritical Access Hospitals(CAH)プログラムが策定され、地方に住むメディケア受給者に入院医療を提供する拠点となっている。CAHは25床以下、隣接入院施設と35マイル以上離れていることが開設条件だが、その要件は一部猶予され、コスト償還は101%、国の質改善プログラムも免除されている。しかし、その限られた医療資源、患者が社会的弱者であるといったことから、質の改善に関しては遅れがちとなるリスクが高いと言われていた。ハーバード公衆衛生大学院のKaren E. Joynt氏らは、このCAHと、非CAHで治療を受けた患者の死亡率について調査を行い医療の質を検証した。その結果、CAHでは死亡率が過去10年間で有意に増大していたことを報告した。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告より。

新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染による死亡3例の臨床像/NEJM

 中国・疾病管理予防センターのRongbao Gao氏らは、2013年3月に新型の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染していることが同定された3例の患者について、臨床像、患者背景、ウイルス学的情報について報告した。3例は上海および安徽の住民で、いずれも死亡に至った感染例である。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告より。

高血圧患者も正常血圧の人も、まずは-4.4g/日、4週以上の減塩継続を/BMJ

 現在、多くの国で、食塩の1日摂取量は約9~12g/日から5~6g/日へという減塩の推進が行われている。そのような減塩の降圧効果のエビデンスも多く示されるようになり、より少ない食塩摂取(3g/日)は心血管疾患リスクの低下と関連するとの前向きコホート研究の結果も示されている。しかし最近のメタ解析報告で、減塩はホルモンや脂質には逆効果で降圧のベネフィットが軽減される可能性があり、正常血圧の一般集団における減塩効果は疑問とする報告がなされた。英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のFeng J He氏らは、その解析には20g/日を4~5日間だけ1g/日とするといった最近の流れとは異なる多量・短期の減塩効果をみた試験が含まれているとして、少量・長期の減塩効果に的を絞ったメタ解析を行った。その結果、-4.4g/日、4週以上の減塩継続が、高血圧患者、正常血圧の人、また性別、人種を問わず、有意に大きな降圧効果をもたらし心血管疾患予防に結びつくことを報告した。BMJ誌オンライン版2013年4月3日号掲載の報告より。

DA-EPOCH-R療法、原発性縦隔B細胞性リンパ腫に高い効果/NEJM

 DA-EPOCH-R(用量調整エトポシド/ビンクリスチン/シクロホスファミド/ドキソルビシン/プレドニゾン+リツキシマブ)療法は、原発性縦隔B細胞性リンパ腫の治療として、放射線療法を行わなくとも高い治癒率をもたらすことが、米国国立がん研究所(NCI)のKieron Dunleavy氏らの検討で示された。原発性縦隔B細胞性リンパ腫はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)のサブタイプで、結節硬化型ホジキン病と密接な関連を持ち、若年者に多く、巨大な縦隔腫瘤を形成する。標準治療は確立されておらず、免疫化学療法だけでは不十分なため縦隔への放射線照射による地固め療法がルーチン化しているが、遅発性の重篤な有害事象が懸念されるという。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告。

カリウム摂取増で高血圧患者の血圧が低下:WHO調査/BMJ

 カリウム摂取量を増やすことで成人高血圧患者の血圧が低下するとともに、血中脂質濃度やカテコラミン値、腎機能には有害な影響はないことを示す質の高いエビデンスが得られたとする研究結果を、世界保健機関(WHO)のNancy J Aburto氏らの研究グループが、BMJ誌オンライン版2013年4月5日号で報告した。脳卒中のリスクも24%低下したという。カリウム摂取量が少ないと血圧上昇、高血圧、脳卒中のリスクが増加し、多ければこれらの疾患は予防される可能性が指摘されている。一方、カリウム高摂取が血圧や心血管疾患に及ぼす良好な効果に関するデータにはばらつきがあり、血中脂質濃度、カテコラミン値、腎機能に及ぼす有害な作用のデータも十分ではない状況だ。

1型糖尿病への抗インターロイキン1薬単独投与、β細胞機能の改善効果示せず/Lancet

 発症後間もない1型糖尿病患者に対する、抗インターロイキン1薬の単独投与について、β細胞機能の改善効果は示されなかったことが報告された。米国・ミネソタ大学のAntoinette Moran氏らが、約140例について行った、2つの無作為化試験の結果、明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版4月5日号で発表した。1型糖尿病は先天免疫が発症に寄与している自己免疫疾患であるが、これまで先天免疫のキーメディエーターであるインターロイキン1を遮断するということに関して、無作為化対照試験は行われていなかったという。

再発寛解型多発性硬化症へのダクリズマブHYP投与、年間再発率を半減/Lancet

 再発寛解型多発性硬化症に対し、抗インターロイキン2受容体抗体ダクリズマブ(国内未承認)の4週毎の1年間にわたる単独治療により、年率換算再発率が約50%低減したことが報告された。ドイツ・ルール大学ボーフムのRalf Gold氏らが、600例超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験「SELECT」の結果で、Lancet誌オンライン版2013年4月4日号で発表した。先行研究で、インターフェロンβ治療抵抗性を示す再発型多発性硬化症に対し、ダクリズマブを併用することで疾患活動度が低下し忍容性も良好であることが示されており、本検討ではダクリズマブの単独長期療法の有効性について検討した。

メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA

 メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。

クリプトコッカス髄膜炎に対する抗真菌薬併用療法の有効性を確認/NEJM

 クリプトコッカス髄膜炎に対し、治療ガイドラインではアムホテリシンBデオキシコール酸(商品名:ファンギゾンほか)とフルシトシン(同:アンコチル)による抗真菌薬併用療法が推奨されている。しかしアムホテリシンB単独療法と比べて同療法による死亡率の低下は示されなかった。その後の検討で、高用量アムホテリシンBおよび高用量フルコナゾールの各単独療法の有効性は示され、ベトナム・オックスフォード大学臨床研究ユニットのJeremy N. Day氏らは、未検討であった高用量アムホテリシンB+フルシトシンあるいは高用量フルコナゾール(商品名:ジフルカンほか)との併用療法の有効性について無作為化オープンラベル試験を行った。その結果、高用量アムホテリシンB+フルシトシンの併用療法による生存改善は認められたが、高用量アムホテリシンB+高用量フルコナゾールについては有効性が認められなかったことを報告した。NEJM誌2013年4月4日号掲載の報告より。

禁煙で体重が増えても心血管疾患リスクは減少/JAMA

 非糖尿病者では、禁煙により心血管疾患(CVD)のリスクが大きく低下する一方で体重の増加がみられるが、禁煙による心血管ベネフィットは体重増加では損なわれないことが、米国・マサチューセッツ総合病院のCarole Clair氏らの検討で明らかとなった。米国では喫煙は予防可能な死亡の主要因とされ、CVDの重要なリスク因子である。禁煙によりCVDリスクは実質的に低減するが、禁煙の数少ない有害作用に体重増加があり、肥満もCVDのリスク因子であることから、禁煙を考慮中の喫煙者の高い関心を呼んでいる。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。

デュロキセチン、がん化学療法薬による末梢神経障害に伴う疼痛を緩和/JAMA

 セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬デュロキセチン(商品名:サインバルタ)が、疼痛を伴う化学療法薬誘発性の末梢神経障害の軽減に有効なことが、米国・ミシガン大学のEllen M. Lavoie Smith氏らが実施したCALGB-170601試験で示された。タキサン系、プラチナ製剤、ビンカ・アルカロイド系、ボルテゾミブなどの化学療法薬により、がん患者の約20~40%に疼痛を伴う末梢神経障害が発現し、治療終了後も数ヵ月~数年にわたり持続する場合があるが、有効な治療法は確立されていない。同氏らは、第III相試験で疼痛を伴う糖尿病性神経障害に対する有効性が示されているデュロキセチンが、化学療法薬誘発性末梢神経障害に伴う疼痛の軽減にも有効ではないかと考えたという。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。

PCI施行後の大出血で院内死亡率が上昇/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の大出血により院内死亡率が有意に上昇し、出血関連死は推定で約12%にのぼることが、米国Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのAdnan K. Chhatriwalla氏らの検討で示された。出血は最も高頻度にみられるPCIの合併症で、死亡率の上昇や医療費の増大をもたらす。米国では、これまでPCI後の出血関連死のデータはなく、出血リスク、部位と死亡率の関連も不明であった。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。