新型鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルス感染による死亡3例の臨床像/NEJM

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/22

 

 中国・疾病管理予防センターのRongbao Gao氏らは、2013年3月に新型の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスに感染していることが同定された3例の患者について、臨床像、患者背景、ウイルス学的情報について報告した。3例は上海および安徽の住民で、いずれも死亡に至った感染例である。NEJM誌オンライン版2013年4月11日号掲載の報告より。

N9亜型のヒトへの感染報告は初めて
 H7ウイルスの鳥への感染はこれまでにも世界各国で報告されているが、同型のヒトへの感染が報告された高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)ウイルス例の報告は、オランダで急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を併発し死亡に至ったH7N7ウイルスのみであったという。その発症も1例のみで、H5N1ウイルス感染による累積死亡率約60%(2003年以降)とは対照的であった。アジアではH7ウイルスの哺乳類への感染報告はほとんどなく、N9亜型のヒトへの感染報告はこれまで世界中どこからもなかったという。

高熱、咳、呼吸困難の症状が共通
 中国でH7N9ウイルス感染が同定された3例は、いずれも急速に進行した下気道感染症がみられ、発熱、咳、呼吸困難の症状が共通していた。具体的には、患者1(上海87歳男性、COPD・高血圧)は、初期には咳と痰の症状を報告し、その1週間後に高熱と呼吸困難を発症。患者2(上海27歳男性、HBs抗原陽性B型肝炎歴)は高熱と咳で入院。患者3(安徽35歳女性、うつ病・B型肝炎感染症・肥満歴)も高熱と咳を呈した。患者1は症状発現前2週間に生きた鳥と接した痕跡はなかったが、患者2は鳥を含む屠殺処理場のある食肉市場で働く豚肉販売業者で、患者3は発症1週間前に鳥肉市場を訪れていた。

 その他の特徴的な臨床像としては、胸部X線検査で、びまん性の陰影および浸潤影が認められたこと、合併症としては3例ともにARDSを呈し、患者3は敗血症性ショックと急性腎障害を呈している。

 3例には、抗菌薬併用療法、糖質コルチコイド、免疫グロブリン静注が行われた。抗ウイルス薬治療は発症後6~7日後に開始された。しかし患者1はICU搬送後に挿管、発症から13日後に難治性低酸素血症で死亡。患者2はICU入室後48時間後にARDSの進行で挿管となり4日後に難治性低酸素血症で死亡した。患者3は発症後6日後にARDSと敗血症性ショックを発症し、ICU入室後ECMO(体外式膜型人工肺)が開始されたがその後死亡(4月9日)に至ったという。

ウイルスはヒトに感染しやすく変化?
 3例の感染ウイルス同定は、咽頭スワブ法で入手した検体を用いて、リアルタイムRT-PCR法、ウイルス培養、塩基配列解析にて行われた。その結果、3例ともに共通した新型の再集合体鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスが同定された。また、塩基配列解析により、3例のウイルスとも鳥由来のものであること、内部遺伝子として鳥インフルエンザA(H9N2)由来の6つの遺伝子を有していることが明らかになり、3例のウイルスからは赤血球凝集素(HA)遺伝子に突然変異体や5つのアミノ酸欠損が認められたことなども報告されている。

(武藤まき:医療ライター)