PCI施行後の大出血で院内死亡率が上昇/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2013/04/12

 

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)施行後の大出血により院内死亡率が有意に上昇し、出血関連死は推定で約12%にのぼることが、米国Saint Luke’s Mid America Heart InstituteのAdnan K. Chhatriwalla氏らの検討で示された。出血は最も高頻度にみられるPCIの合併症で、死亡率の上昇や医療費の増大をもたらす。米国では、これまでPCI後の出血関連死のデータはなく、出血リスク、部位と死亡率の関連も不明であった。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告。

338万件以上のCathPCIの登録データを解析
 研究グループは、PCI施行後の大出血と院内死亡の関連を評価し、PCI施行後出血関連死の調整済み人口寄与リスク(出血関連死リスクとして推算)、リスク差、有害必要数(NNH、1件の院内死亡に要する出血件数)について検討を行った。

 2004~2011年までに米国で行われた338万6,688件のCathPCIの登録データを解析した。人口寄与リスクはベースラインの人口統計学的、臨床的、手技的な変数で調整して算出した。出血関連死のNNHの算定には傾向マッチ分析(propensity-matched analysis)を用いた。

とくに高出血リスク群、非アクセス部位出血群で死亡リスクが高い
 338万6,688件のPCI手技のうち、出血イベントは5万7,246件(1.7%)、院内死亡は2万2,165件(0.65%)で発生した。全体の大出血に関連する死亡の調整済み人口寄与リスクは12.1%であった[95%信頼区間(CI):11.4~12.7]。

 傾向マッチ分析[大出血イベント群:5万6,078件、対照群(非出血群):22万4,312件]では、大出血と院内死亡の関連が示された[院内死亡率:5.26 vs 1.87%、リスク差:3.39%(95%CI:3.20~3.59)、NNH:29(95%CI:28~31)p<0.001]。

 大出血と院内死亡の関連は、手技前の出血リスクが低~高の群のすべてで認められた[低リスク群の院内死亡率:1.62 vs 0.17%、リスク差:1.45%(95%CI:1.13~1.77)、NNH:69(95%CI:57~88)、p<0.001、中リスク群の院内死亡率:3.27 vs 0.71%、リスク差:2.56%(95%CI:2.33~2.79)、NNH:39(95%CI:36~43)、p<0.001、高リスク群の院内死亡率:8.16 vs 3.45%、リスク差:4.71%(95%CI:4.35~5.07)、NNH:21(95%CI:20~23)、p<0.001)]。

 出血部位別の解析では、アクセス部位[院内死亡率:2.73 vs 1.87%、リスク差:0.86%(95%CI:0.66~1.05)、NNH:117(95%CI:95~151)、p<0.001]および非アクセス部位[院内死亡率:8.25 vs 1.87%、リスク差:6.39%(95%CI:6.04~6.73)、NNH:16(95%CI:15~17)、p<0.001]のいずれにおいても出血と院内死亡の関連を認めたが、NNHは非アクセス部位で低いという違いがみられた。

 著者は、「PCIの合併症としての出血の頻度は1.7%と低かったが、出血関連の院内死亡率は12.1%と推定された。すべての出血リスク群で出血と院内死亡の関連を認めたが、死亡リスクは高出血リスク群および非アクセス部位出血群で実質的に高く、1件の院内死亡に要する出血件数はそれぞれ21、16と低値を示した」とまとめている。

(菅野守:医学ライター)