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NSCLC1次治療のニボルマブ+低用量イピリムマブにおけるORR:PD-L1 1%以上 vs.1%未満(CheckMate-568)/JCO

 転移のある進行非小細胞肺がん(NSCLC)患者の1次治療として、ニボルマブと低用量イピリムマブ併用の効果と安全性を評価した、オープンラベル第II相CheckMate-568試験。  今回、米国・Duke University Medical CenterのNeal Ready氏らによる結果が、Journal of clinical oncology誌オンライン版2019年2月20日号に掲載された。ニボルマブ+低用量イピリムマブは、転移のある進行NSCLCの1次治療として有効かつ忍容性が高いことが示唆された。

GLP-1分泌をより増加させる食事/糖尿病学の進歩

 食事内容の選択や食事量を考えることは重要である。同様に “食べるタイミング”も吸収時間の影響から注目されているが、実は、体内物質の分泌が深く関わっているという。2019年3月1~2日に第53回糖尿病学の進歩が開催され、田中 逸氏(聖マリアンナ医科大学代謝・内分泌内科教授、糖尿病センター長)が「GLP-1に着目した食事療法の時間代謝学を考える」と題して講演した。

血液1滴で13がん種を同時診断、日本発miRNA測定技術

 血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいている。2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催された(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広氏(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が登壇し、自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説した。

肥満と認知症リスク

 65歳未満での過体重や肥満は、認知症発症率の増加に影響することが示唆されているが、65歳以上での過体重や肥満では、逆説的であるといわれている。認知症診断前の体重減少、喫煙や体重減少を引き起こす疾患の影響が、相反する結果をもたらしている可能性がある。英国・エクセター大学のKirsty Bowman氏らは、65~74歳の英国プライマリケア集団における認知症診断前の体重減少、短期または長期のBMIとの関連について検討を行った。Age and Ageing誌オンライン版2019年2月6日号の報告。

デュピルマブの治療効果は過小評価されている

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の抗体医薬としてよりも、高額医薬品であることに何かと注目が集まったデュピルマブが、わが国で上市して間もなく1年を迎える。米国のAD臨床試験では、治験医師による全般的評価(IGA)スコア1以下(皮膚病変が消失またはほぼ消失)が、デュピルマブを含む薬剤の承認基準となっている。米国・ノースウエスタン大学フェインバーグ医学院のJonathan I. silverberg氏らは、デュピルマブはプラセボと比較し、複数の評価基準で統計的に有意な効果がみられたことを明らかにした。著者らは、「臨床試験におけるエンドポイントをIGA≦1とするのは、臨床的に意味のあるデュピルマブの治療効果を著しく過小評価している」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。

ブルガダ症候群、ICD植込み後の成績に関するメタアナリシス【Dr.河田pick up】

 日本を含めたアジアでよくみられるブルガダ症候群に対する植え込み型除細動器(ICD)の適応は、以前と比べて変わってきており、どの症例で本当にICDが必要なのかの判断はいまだに難しい。オランダ・エラスムス大学医療センターのAdem Dereci氏らが、メタアナリシスの結果をJACC.Clinical Electrophysiology誌2019年2月号に報告している。  本研究の目的は、ICDが植込まれたブルガダ症候群患者の予後を要約することである。ブルガダ症候群は、心臓伝導障害や突然死につながる心室性不整脈の発生リスクが高いことで知られる。臨床的な予後、適切および不適切なICD治療、そしてICD治療による合併症についてすべて要約したものはない。

双極性障害と統合失調感情障害の維持治療に対する持効性注射剤抗精神病薬に関するシステマティックレビュー

 抗精神病薬の長時間作用型持効性注射剤(LAI)は、主に統合失調症スペクトラム障害における服薬アドヒアランス不良を改善するために用いられる。スペイン・バルセロナ大学のIsabella Pacchiarotti氏らは、双極性障害(BD)および/または統合失調感情障害(SAD)に対する抗精神病薬LAIとプラセボまたは経口剤を比較した利用可能なエビデンスの要約を行った。European Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年2月12日号の報告。

うつ病や不安症状に対する食事療法~メタ解析

 不適切な食生活は、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。しかし、食事介入療法が気分やメンタルに及ぼす影響に関するエビデンスは、十分に評価されていない。オーストラリア・西シドニー大学のJoseph Firth氏らは、食事介入療法がうつ病や不安症状に及ぼす影響を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Psychosomatic Medicine誌オンライン版2019年2月5日号の報告。

最新鋭のがん患者用手引きHPで公開-静岡がんセンター

 近年、がん治療の分野では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新薬が次々に発売されている。また、多剤併用による治療、外来患者の増加により、治療・副作用対策の指導が複雑なものになりつつある。そんな折、2019年2月25日に静岡県立静岡がんセンターは、これらの問題を解決するべく、「処方別がん薬物療法説明書【患者さん向け】」をホームページ上に公表した。  この説明書は、抗がん剤治療の全貌がわかるように作成されている。そして、これを患者に渡すのは医師であり、がん薬物療法の決定後、治療前に患者へ手渡しされる。その後、薬剤師や看護師がその冊子を用いて、必要に応じて説明を行うそうだ。

糖尿病患者への禁煙指導/糖尿病学の進歩

 喫煙は、血糖コントロール悪化や糖尿病発症リスク増加、動脈硬化進展、がんリスク増加などの悪影響を及ぼす。禁煙によりこれらのリスクは低下し、死亡リスクも減少することから禁煙指導は重要である。3月1~2日に開催された第53回糖尿病学の進歩において、聖路加国際病院内分泌代謝科の能登 洋氏が「喫煙と糖尿病合併症」と題して講演し、喫煙と糖尿病発症・糖尿病合併症・がんとの関連、禁煙指導について紹介した。  糖尿病患者の喫煙率は、日本の成人における喫煙率とほぼ同様で、男性が31.9%、女性が8.0%と報告されている。男女ともに30代がピークだという。

重度アルコール離脱症候群に対する早期集中ベンゾジアゼピン療法

 アルコール離脱症候群(AWS)治療の現在のエビデンスでは、symptom-triggered therapyが支持されている。早期段階での集中的なベンゾジアゼピン(BZD)治療は、ICU在室期間を短縮させるといわれているが、在院日数への影響については、よくわかっていない。米国・カリフォルニア大学のJin A. Lee氏らは、最初の24時間での集中的なBZD治療がAWS患者の在院日数を短縮させるかどうかについて、介入前後コホート研究により検討を行った。Clinical Toxicology誌オンライン版2019年2月7日号の報告。

尿失禁が生命予後に影響?OABに早期介入の必要性

 わが国では、40歳以上の約7人に1人が過活動膀胱(OAB)を持ち、切迫性尿失禁を併せ持つ割合は70%を超えると推定されている。定期通院中の患者が症状を訴えるケースも多く、専門医以外でも適切な診療ができる環境が求められる。  2019年2月28日、OAB治療薬「ビベグロン錠50mg(商品名:ベオーバ)」の発売元であるキョーリン製薬とキッセイ薬品が共催したメディアセミナーにて、吉田 正貴氏(国立長寿医療研究センター 副院長 泌尿器外科部長)が講演を行った。本セミナーでは、「OABの病態と治療―新たな治療選択肢を探るー」をテーマに、高齢のOAB患者を取り巻く現状と薬物療法について語られた。

ナッツ摂取、糖尿病患者でCVD・全死亡減:大規模前向きコホート

 心血管疾患(CVD)合併や早期死亡の予防に、ナッツ類(とくに木の実)の摂取を増やすことは、糖尿病と診断後いつからでも遅くはないのかもしれない―。これまで、CVDをはじめとした慢性疾患発症に対するナッツ摂取の効果が報告されてきたが、2型糖尿病とすでに診断された患者に対するナッツ摂取の長期的ベネフィットについては、エビデンスが十分ではなかった。米国・ハーバードT.H.Chan公衆衛生大学院のGang Liu氏らが、看護師健康調査(1980~2014年)と医療従事者追跡調査(1986~2014年)の参加者のうち、ベースライン時あるいは追跡期間中に2型糖尿病と診断された1万6,217例について行った試験で明らかにしたもので、Circulation Research誌オンライン版2019年2月19日号で発表した。

統合失調症患者の認知機能に対するNMDA受容体増強薬のメタ解析

 いくつかのN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体増強薬は、統合失調症の認知機能に対して有望な薬剤であるといわれている。しかし、その研究結果は矛盾している。台湾・中国医薬大学のChun-Hung Chang氏らは、認知機能に対するNMDA受容体増強薬の効果について、最新のメタ解析を実施した。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年2月7日号の報告。

ごく早期に発現するがん悪液質の食欲不振とグレリンの可能性/JSPEN

 本年(2019年)2月、第34回日本静脈経腸栄養学会学術集会(JSPEN2019)が開催された。その中から、がん悪液質に関する発表について、日本緩和医療学会との合同シンポジウム「悪液質を学ぶ」の伊賀市立上野総合市民病院 三木 誓雄氏、教育講演「がんの悪液質と関連病態」の鹿児島大学大学院 漢方薬理学講座 乾 明夫氏の発表の一部を報告する。  伊賀市立上野総合市民病院 三木 誓雄氏は「がん悪液質の病態評価と治療戦略」の中で次のように発表した。

子のアトピー性皮膚炎、母親の自己免疫疾患と関連

 アトピー性皮膚炎(AD)の発症機序に迫る興味深い論文が発表された。ADは、アトピー状態やフィラグリン遺伝子変異を含む多くの因子に影響を受け、遺伝子転座など遺伝子の一部が重複するような自己免疫疾患と関連していることが知られている。デンマーク・コペンハーゲン大学のC.R. Hamann氏らは症例対照研究を行い、母親の皮膚および消化器の自己免疫疾患が子のAD発症と密接に関連していることを明らかにした。これまで、親のADは子のADにおける重要なリスクになるものの、親の自己免疫疾患と子のAD発症との関連性はほとんどわかっていなかった。Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology誌オンライン版2019年2月18日号掲載の報告。

ADHD患者の就労に関するレビュー

 これまでの研究では、多くの注意欠如多動症(ADHD)児が、成人期までの間に数々の障害を抱え続けていることが示唆されている。米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のChanelle T. Gordon氏らは、小児ADHD患者が抱える将来の職業的障害、それに伴う教育上・経済上の問題に関するシステマティックレビューを行った。Clinical Child and Family Psychology Review誌オンライン版2019年2月6日号の報告。

強迫症合併双極性障害患者に対するアリピプラゾール増強療法に関するシステマティックレビュー

 双極性障害(BD)と強迫症(OCD)は、精神科医療でみられる一般的な併存症状だが、BDとOCD合併患者への治療は依然として臨床的課題となっている。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、OCDの第1選択薬として用いられるが、BDの気分症状に対し不安定化を引き起こす可能性がある。そのため、BDとOCD合併患者に対する最適な治療法は、まだ確立されていない。米国・タフツメディカルセンターのA. Amerio氏らは、BDとOCD合併患者に対するアリピプラゾール増強療法についてシステマティックレビューを行った。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2019年2月6日号の報告。

ドライアイに新規シクロスポリン点眼液が有効

 シクロスポリン(CsA)点眼液CyclASol(0.1%、0.05%含有の2規格)は、中等度~重度ドライアイ(DED)に対し、有効性、安全性ならびに忍容性が良好であることが、米国・Eye Research FoundationのDavid L. Wirta氏らによる第II相臨床試験で示された。角膜および結膜染色による評価でCyclASolと実薬対照を比較したところ、投与開始後2週間という早期で効果が認められ、とくに視覚機能として重要な角膜の中央領域で有効性が顕著であった。著者は、「優れた安全性・忍容性および快適性のプロファイルは、有望なベネフィット・リスク比を有するDED治療薬として、この新しいCsA点眼液を支持するものである」とまとめている。Ophthalmology誌オンライン版2019年1月28日号掲載の報告。

加糖飲料と人工甘味飲料、認知機能との関連は

 砂糖入り飲料(SSB)および人工甘味料入り飲料(ASB)と認知機能低下との関連について結果が一致していない。ASBはカロリーが低く、砂糖の含有量が抑えられているため、SSBより健康的と思われているが、人工甘味料の摂取が認知症リスクと関連していたという報告もある。今回、スペイン・ナバラ大学のMariana I Munoz-Garcia氏らの縦断的な検討では、SSBの摂取で6年後の認知機能低下と有意に関連がみられたが、ASBでは有意ではなかったことが報告された。Nutritional Neuroscience誌オンライン版2019年2月22日号に掲載。