デュピルマブの治療効果は過小評価されている

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2019/03/13

 

 アトピー性皮膚炎(AD)に対する初の抗体医薬としてよりも、高額医薬品であることに何かと注目が集まったデュピルマブが、わが国で上市して間もなく1年を迎える。米国のAD臨床試験では、治験医師による全般的評価(IGA)スコア1以下(皮膚病変が消失またはほぼ消失)が、デュピルマブを含む薬剤の承認基準となっている。米国・ノースウエスタン大学フェインバーグ医学院のJonathan I. silverberg氏らは、デュピルマブはプラセボと比較し、複数の評価基準で統計的に有意な効果がみられたことを明らかにした。著者らは、「臨床試験におけるエンドポイントをIGA≦1とするのは、臨床的に意味のあるデュピルマブの治療効果を著しく過小評価している」とまとめている。British Journal of Dermatology誌オンライン版2019年2月21日号掲載の報告。

 研究グループは、治療終了時にIGA>1の患者におけるデュピルマブの治療効果を、ADの所見、症状およびQOLをさまざまな評価基準を用いて検討した。対象者は局所治療で効果不十分の中等症~重症AD患者(IGA≧3)。16週にわたって行われた2つの無作為化二重盲検試験「LIBERTY AD SOLO 1」および「LIBERTY AD SOLO 2」における、デュピルマブ300mgを2週に1回(q2w)投与群とプラセボ投与群の事後解析を行った。
 評価項目は、湿疹面積・重症度指数(EASI)、そう痒数値評価スケール(NRS)、AD病変が占める体表面積(BSA)、患者自身による湿疹評価(POEM)、および皮膚の状態に関するアンケート(DLQI)での改善度であった。

 主な結果は以下のとおり。

・16週時点でIGA>1の患者は、デュピルマブq2w群:278/449例(年齢中央値36.0歳)、プラセボ群:396/443例であった。
・16週時点でIGA>1の患者において、デュピルマブはプラセボと比較し、各評価項目で有意な改善が認められた。
 EASI:-48.9% vs.-11.3%(p<0.001)
 そう痒NRS:-35.2% vs.-9.1%(p<0.001)
 BSA:-23.1% vs.-4.5%(p<0.001)
 POEMスコア≧4ポイント改善:57.4% vs.21.0%(p<0.001)
 DLQIスコア≧4ポイント改善:59.3% vs.24.4%(p<0.001)

(ケアネット)