呼吸器疾患死亡率、英国vs.EU15+諸国/BMJ

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呼吸器疾患死亡率、英国vs.EU15+諸国/BMJのイメージ

 1985~2015年の期間に、英国、およびEU15+諸国(英国を除く欧州連合[EU]加盟15ヵ国に、オーストラリア、カナダ、米国を加えた国々)では、いずれも呼吸器疾患による死亡率が全体として低下したが、閉塞性・感染性・間質性呼吸器疾患死亡率については英国がEU15+諸国に比べて高いことが、米国・ハーバード大学のJustin D. Salciccioli氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2018年11月28日に掲載された。世界疾病負担(Global Burden of Disease)などの報告によれば、英国は、医療制度が同程度の他国に比べて呼吸器疾患死の割合が高い可能性が示唆されていた。

全呼吸器疾患死とサブカテゴリー別の死亡を検討
 研究グループは、英国における呼吸器疾患による年齢標準化死亡率を、医療制度が同程度のEU15+諸国と比較する観察研究を行った(研究助成元は申告されていない)。

 1985~2015年の世界保健機関(WHO)の死亡データベースを用いて、英国、EU15+諸国の全19ヵ国のデータを収集した。EU15ヵ国はオーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、ノルウェー。

 全呼吸器疾患死、および感染性(インフルエンザ、肺炎、結核を含む)、腫瘍性(気管支、肺、胸膜の悪性腫瘍を含む)、間質性(特発性肺線維症を含む)、閉塞性(慢性閉塞性肺疾患、喘息、気管支拡張症を含む)、その他(肺水腫、気胸を含む)の呼吸器疾患による死亡について解析を行った。

 混合効果回帰モデルを用いて国別の差を経時的に解析し、局所的に重み付けされた散布図平滑化(locally weighted scatter plot smoother)で評価した呼吸器疾患のサブカテゴリーの傾向を検討した。

英国の女性は全サブカテゴリーで死亡率が高い
 1985~2015年の期間に、英国、およびEU15+諸国の全呼吸器疾患死は、男性では低下したが女性では変化せずに維持されていた。呼吸器疾患による年齢標準化死亡率(10万人当たりの死亡件数)は、英国では男性は151件から89件に低下したのに対し、女性は67件から68件と、ほとんど変化しなかった。EU15+諸国についても、男性は108件から69件へ低下したが、女性は35件から37件と、大きな変化はなかった。

 英国はEU15+諸国に比べ、女性ではすべてのサブカテゴリー(感染性、腫瘍性、間質性、閉塞性、その他)の呼吸器疾患による死亡率が高く、男性では感染性、間質性、閉塞性、その他の呼吸器疾患による死亡率が高かった。

 著者は、「これらの国々の呼吸器疾患患者の医療費、医療制度、健康行動の違いを明らかにするために、さらなる検討を要する」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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