感度100%のエボラ迅速診断検査キット/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2015/07/17

 

 エボラウイルス感染のための迅速診断検査キット「ReEBOV Antigen Rapid Test」は、ポイント・オブ・ケア検査(POCT)でもその診断感度が100%であることが報告された。米国・Partners In Health(ボストン)のMara Jana Broadhurst氏らが、106例を対象とした実地試験の結果、報告した。なお同氏らは284例を対象に検査センターでも試験を行い、同様な結果が確認されたことを報告している。Lancet誌オンライン版2015年6月25日号掲載の報告より。

シエラレオネの2ヵ所の医療機関で、ポイント・オブ・ケア検査試験
 研究グループは、シエラレオネの2ヵ所の医療機関で、エボラウイルス感染が疑われる患者106例について、指先穿刺による血液検体を用いた迅速診断検査キット「ReEBOV Antigen Rapid Test」の診断能について検証した。

 同グループは被験者の検体を、臨床現場でのReEBOV Antigen Rapid Testと、検査センターでのリアルタイムRT-PCR(RealStar Filovirus Screen RT-PCR)の両方で検査し比較した。ReEBOV Antigen Rapid Testの結果については、2人の研究者が個別に結果を判断し、相違があった際には3人目を交えて判断した。

 さらに別の試験として、シエラレオネの複数の医療機関から検査センターに集められた284の検体について、迅速診断検査とRT-PCRを行い、同じく結果を比較した。

臨床現場・検査センターでも、迅速診断検査の感度100%、特異度92%
 その結果、RT-PCR検査でエボラウイルス感染が確認された人は28例で、そのすべてが迅速診断検査でも陽性だった(感度:100%、95%信頼区間[CI]:87.7~100)。また、RT-PCR検査で陰性だった77例中71例が、迅速診断検査でも陰性だった(特異度:92.2%、同:83.8~97.1)。

 検査センターで実施した試験でも、RT-PCR検査でエボラウイルス感染が確認された45例全員が、迅速診断検査でも陽性だった(感度:100%、95%CI:92.1~100)。RT-PCR検査で陰性だった232例中214例が、迅速診断検査でも陰性だった(特異度:92.2%、同:88.0~95.3)。

 なお、迅速診断検査の結果について2人の研究者の判断が一致したのは、ポイント・オブ・ケア検査では95.2%、検査センターでは98.6%だった。この結果について著者は、「ベンチマーク自体の感度は不十分ではあった」との点に触れつつ、「迅速診断検査はエボラウイルス感染陽性患者すべてを検出することが可能であった」と評価している。

(當麻あづさ:医療ジャーナリスト)