血圧が高い十代の男性は高齢になる前に健康危機に直面しやすい

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/11/03

 

 十代という人生の早い段階で血圧が正常域よりも高い男性は、高齢期に入ってリタイアするより前に、心血管疾患を発症するリスクやそのために亡くなるリスクが高いという実態が報告された。ウメオ大学(スウェーデン)のHelene Rietz氏らの研究の結果であり、詳細は「Annals of Internal Medicine」に9月26日掲載された。同氏は、十代の若者の血圧高値の潜在的リスクに対する医療従事者の理解が不足していることに懸念を表している。

 成人期以降の血圧高値が、心血管イベントリスクと密接に関連していることは、十分明らかになっている。しかし、十代の若者の血圧と将来の心血管イベントとの関連についてのデータは少ない。Rietz氏らはこの点について、スウェーデンの軍人のデータを用いて検討した。

 解析対象は、1969~1997年に徴兵された、平均年齢18.3歳の男性136万6,519人。血圧レベルは、2017年の米国心臓病学会(ACC)/米国心臓協会(AHA)のガイドラインに即して判定した。徴兵検査時に行われた血圧測定から、28.8%が血圧上昇〔収縮期血圧120~129/拡張期血圧80mmHg未満〕、53.7%が高血圧(130/80mmHg以上)と判定された。

 中央値35.9年の追跡で、7万9,644人に主要複合エンドポイント(心血管死、心筋梗塞・心不全・虚血性脳卒中・脳内出血による初回入院)が発生。交絡因子を調整後のハザード比は、血圧上昇レベルでは1.10(95%信頼区間1.07~1.13)、ステージ1高血圧(130~139/80~89mmHg)では1.32(1.27~1.37)、ステージ2高血圧(140/90mmHg以上)では1.71(1.58~1.84)だった。

 Rietz氏は、「若年者の血圧高値の予後に対する重要性を真剣に受け止めていない医師が、少なくないのではないか。また、若年者の血圧測定の頻度や治療に関する推奨や考え方も、国や個々の医療機関、医師によって異なり曖昧だ。われわれの研究結果が契機となり、若年者の血圧が頻繁にモニタリングされ、リスクの高い対象が早期に見いだされるようになればよい」と、状況の変化を期待している。なお、同氏によると若年者の高血圧の原因は、「肥満が一因ではないか。ただし、多くの生活習慣関連因子が相互に作用していると考えられ、明快な答えを出すのは難しい」とのことだ。

 Rietz氏はまた、「血圧の高い十代の若者を助けるには、さまざまなアクションが必要だ」と話す。具体的には、「学校での身体活動の推奨、保護者に対する教育、若年者の健康推進のための政策立案といった、多方面からの介入を行わなければならない」とし、「誰にとっても簡単で、コストをあまりかけずに、健康的なライフスタイルを取り入れられるような環境の整備が求められる」と話している。

 Rietz氏らの研究報告について、米アーマンソンUCLA心筋症センターのGregg Fonarow氏は、「若年者の血圧上昇に伴う健康リスクの上昇を強調する結果と言える。血圧が高い場合、より早い段階から生活習慣の改善を心がけて血圧を下げるように努めることが、後の心血管疾患発症やそれによる早期死亡を防ぐことにつながると考えられる」と論評。同時に、「この研究は男性のみを対象としているため、今後は十代の女性を対象とした研究も必要とされる」と付け加えている。

[2023年9月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら