世界におけるがんの動向:2015年

提供元:ケアネット

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公開日:2016/12/13

 

 195の国と地域での1990~2015年における32のがん種の死亡率、罹患率、障害生存年数 (years lived with disability:YLD)、損失生存年数(years of life lost:YLL)、障害調整生命年(disability-adjusted life years:DALY)について、Global Burden of Disease Studyによる推計値が報告された。JAMA oncology誌オンライン版2016年12月3日号に掲載。

 主な結果は下記のとおり。研究グループは、「今回の結果は、がんとの戦いにおいて前進が可能であることを示しているが、喫煙対策、予防接種、身体活動や健康的な食事の推進を含む、がん予防の取り組みにおけるアンメットニーズも浮き彫りにしている」と述べている。

・2015年の世界におけるがん罹患数は1,750万人、死亡数は870万人であった。

・2005年から2015年までにがん罹患数は33%増加し、そのうち人口の高齢化による増加が16%、人口増加による増加が13%、年齢別割合の変化による増加が4%であった。

・男性で最も多かったのは前立腺がん(160万人)であった。一方、男性のがん死亡(150万人)とDALY(2,590万DALY)の主な原因は、気管・気管支・肺がんであった。

・女性で最も多かったのは乳がん(240万人)で、女性のがん死亡(52万3, 000人)とDALY(1,510万DALY)の主な原因でもあった。

・がんによる2015年のDALYは、世界で男女合わせて2億83万DALYであった。

・2005年から2015年までに、がん全体の年齢調整罹患率は、国や地域195のうち174で増加し、年齢調整死亡率(ASDR)は140の国や地域で減少した。ASDRが増加した国の大部分はアフリカ大陸の国であった。

・ホジキンリンパ腫による死亡数は、2005年から2015年の間に有意な減少がみられた(-6.1%、95%不確定区間:-10.6%~-1.3%)。食道がん・胃がん・慢性骨髄性白血病による死亡数も、統計学的に有意ではないが減少した。

(ケアネット 金沢 浩子)