抗うつ薬誘発性体重増加のレビュー、その結果は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/04/14 うつ病と肥満はどちらも複雑な病因を持ち、公衆衛生に大きな影響を与える不均一な疾患である。疾患管理予防センター(CDC)のデータによると、抗うつ薬の処方は1988年以降、約400%上昇している。同時に、1980年以降の肥満率は、成人で15%から30%に倍増しており、小児では3倍以上増加している。肥満率の上昇は、重大な健康への影響を有し、30以上の重篤な疾患の増加率に影響する。西洋社会において、抗うつ薬の使用と肥満率が同時に上昇しているにもかかわらず、2つの関連付けおよび抗うつ薬誘発性体重増加のメカニズムについてはよくわかっていない。オーストラリア国立大学のS H Lee氏らは、抗うつ薬使用およびうつ病と体重増加との複雑な関係に注目し、レビューを行った。Translational psychiatry誌2016年3月15日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。 ・臨床所見から、肥満がうつ病発症リスクを高め、うつ病が肥満リスクを高める可能性が示唆された。 ・視床下部-下垂体-副腎中枢(HPA axis)の活性化はストレス状態で誘発される。同時に、HPA axisは肥満やメタボリックシンドロームにより調節不全が生じ、それはうつ病と共通の病態生理学的経路として最もよく理解されている。 ・多くの研究で、異なるクラスの抗うつ薬が体重に及ぼす影響が示唆されてきた。 ・前臨床研究では、三環系のアミトリプチリン、ノルトリプチリン、イミプラミン、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬のミルタザピンが体重増加と関連していることが示唆されている。 ・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の使用は、急性期治療の体重減少と関連しているにもかかわらず、多くの研究において、SSRIが体重増加の長期的リスクと関連していることが示唆されている。しかしながら、臨床研究の高い変動性や複数の交絡因子のため、SSRI治療の長期的効果やSSRI曝露による体重増加は、依然として不明なままである。 ・最近開発された動物パラダイムでは、ストレスと抗うつ薬の組み合わせに続く長期的な高脂肪食の結果、長期抗うつ薬治療の中止後に、高脂肪食のみが引き起こす量を上回る著しい体重増加が示唆されている。 ・既存の疫学、臨床、前臨床データに基づき、抗うつ薬使用の増加により、抗うつ薬曝露が高率となった結果が肥満の蔓延に影響する因子であるとの検証可能な仮説が導き出された。 関連医療ニュース 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か 抗精神病薬による体重増加や代謝異常への有用な対処法は:慶應義塾大学 オランザピン誘発性体重増加を事前に予測するには:新潟大学 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Lee SH, et al. Transl Psychiatry. 2016;6:e759. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 うつ病と体重変化の関連を調査、なりやすいのは太っている人、痩せている人? 医療一般 (2017/05/10) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 肥満症治療薬、投与中止後は体重が急増/BMJ(2026/01/23) 自己免疫性溶血性貧血、抗CD19 CAR-T細胞療法が有用/NEJM(2026/01/23) DVT疑いの患者のDダイマー値はカットオフを年齢によって変えると、余計な下肢エコー検査を減らせるかもしれないという朗報(解説:山下侑吾氏)(2026/01/23) 食道がん1次治療、ニボルマブ+CRTの安全性確認、完全奏効率73%(NOBEL)/京都大学ほか(2026/01/23) アルツハイマー病に伴うアジテーション、最適なブレクスピプラゾールの投与量は?(2026/01/23) 高齢者の健康関連QOL低下の最も強い予測因子は?/名古屋大学(2026/01/23) 納豆が心房細動リスクを下げる?~日本人前向き研究(2026/01/23) 中年期のうつ病の6つの症状が将来の認知症と関連(2026/01/23) [ あわせて読みたい ] 「総合医育成プログラム」で広がる医師のキャリアと医療機関の未来【ReGeneral インタビュー】第1回(2025/11/24) 合格直結!テスレクDigest(2025/07/18) 第50回日本骨髄腫学会学術集会:独占インタビュー(2025/04/18) ASCO2025 まとめ(2025/06/02) かかりつけ医のためのがん患者フォローアップ(2025/06/13) 医療・介護施設従事者のための転倒・転落事故へのアプローチ ~転倒・転落事故のメカニズム、予防、事故後フォローのすべて~(2025/02/27) 非機器的早期運動療法はDVT発生率を低減【論文から学ぶ看護の新常識】第1回(2025/02/05) トレンド・トーク『肺がん』(2024/06/11) 災害対策まとめページ(2024/02/05) Dr.大塚の人生相談(2024/02/26)