うつ病再発予防へ、インターネット介入の可能性は

提供元:ケアネット

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公開日:2016/03/03

 

 再発うつ病患者において生活を改善する戦略は、妥当性が高い。ドイツ・ハイデルベルク大学のHans Kordy氏らは、無症状期間の延長を目的としたインターネット配信による2つの増強戦略の有効性を検討した。Psychotherapy and psychosomatics誌2016年2月号の報告。

 3アームの多施設共同無作為化比較試験(非盲検、評価者盲検)で有効性を検討した。対象は、メンタルヘルスケア入院から退院した3つ以上のうつ病エピソードを有する成人232例。対象患者は、SUMMIT介入群、SUMMIT-PERSON介入群、通常ケア単独群に無作為に割り付けられた。介入は12ヵ月間実施し、通常ケアに加え、eメールまたはスマートフォンを経由してモニターした(危機的な状況が近付くシグナル、個人的な危機管理の支援、早期介入促進を含む)。SUMMIT-PERSON介入群では、さらに定期的な専門家とのチャットも行った。主要評価項目は、治療開始後24ヵ月間における、Longitudinal Interval Follow-Up Evaluationで評価した「well weeks(最も症状の軽い1週間)」であった。

 主な結果は以下のとおり。

・SUMMIT介入群は、通常ケア単独群と比較し、体調不良状態の期間減少(OR:0.48、95%CI:0.23~0.98)、体調不良からの回復の早さ(OR:1.44、95%CI:0.83~2.50)、体調良好から不良への悪化の遅さ(OR:0.69、95%CI:0.44~1.09)が認められた。
・仮説に反して、SUMMIT-PERSON介入群は、SUMMIT介入群(OR:0.77、95%CI:0.38~1.56)および通常ケア単独群(OR:0.62、95%CI:0.31~1.24)と比較し、優れているとはいえなかった。
・SUMMIT介入の有効性は、介入後8ヵ月時点で最も強かった。

 結果を踏まえ、著者らは「完全自動化インターネット配信増強戦略SUMMITは、再発うつ病患者の生涯負担を軽減させることで、通常ケアを改善する可能性がある。効果の減弱は、無制限の期間延長を示唆している」とまとめている。

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(鷹野 敦夫)