治療抵抗性強迫症に抗精神病薬の増強療法は有効か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/28 強迫症(OCD)患者の多くがセロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)に対する反応が十分ではなく、抗精神病薬による増強療法が行われることがある。こうした治療抵抗性例に対する抗精神病薬付加の有効性を評価する目的で、オーストリア・ウィーン医科大学のMarkus Dold氏らが、検討を行った。無作為化二重盲検プラセボ対照試験のメタ解析の結果、SSRI治療抵抗性OCD患者には、抗精神病薬による治療が有効であることが示された。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月4日号の掲載報告。 研究グループは、SSRI治療抵抗性OCDを対象とした抗精神病薬の無作為化二重盲検プラセボ対照試験(RCT)について、2015年1月までに発表された論文をClinicalTrials.gov、Clinicaltrialsregister.eu、CENTRAL、EMBASE、PubMed/MEDLINEおよびPsycINFOを用いて検索した。主要評価項目は、Yale-Brown強迫尺度(Y-BOCS)総スコアの平均変化量、副次的評価項目は強迫観念、強迫行為、反応率および中断率で、データ収集は2名の研究者が独立して行い、Hedges’s gとリスク比を算出した。 結果は以下のとおり。 ・14件(491例)のRCTが組み込まれた:クエチアピン4件(142例)、リスペリドン4件(132例)、アリピプラゾール2件(79例)、オランザピン2件(70例)、パリペリドン1件(34例)、ハロペリドール1件(34例)。 ・抗精神病薬増強療法はプラセボより、Y-BOCS総スコアの減少が有意に大きく、有効性が示された(14件、478例;Hedges’s g=-0.64、95%信頼区間:-0.87〜-0.41、p<0.01)。 ・アリピプラゾール(Hedges’s g=-1.35)、ハロペリドール(Hedges’s g=-0.82)、リスペリドン(Hedges’s g=-0.59)は、プラセボより有意に優れていた。 ・強迫観念や強迫行為の改善および反応率は、抗精神病薬がプラセボより優れていた。 ・全中断率は、抗精神病薬とプラセボとの間に有意差はみられなかった。 ・なお抗精神病薬の用量やベースラインでの症状の重症度は、メタ解析の結果に影響しないことが示唆された。 結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬の増強療法は、SSRI治療抵抗性OCDに対する根拠に基づいた治療である」と結論付けている。 関連医療ニュース 難治性強迫性障害に有用な抗精神病薬は何か 難治性の強迫性障害治療「アリピプラゾール併用療法」 SSRIで著効しない強迫性障害、次の一手は 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Dold M, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2015 May 4. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] SGLT2阻害薬、自己免疫性リウマチ性疾患のリスクは?/BMJ(2025/10/24) 腹部大手術時の周術期血圧管理、個別化vs.通常/JAMA(2025/10/24) ALK陽性進行NSCLCへのアレクチニブ、OS中央値81.1ヵ月(ALEX)/ESMO2025(2025/10/24) 下剤のルビプロストン、重大な副作用にアナフィラキシー追加/厚労省(2025/10/24) 免疫療法の対象とならない進行TN乳がん1次治療、Dato-DXdがPFSとOSを延長(TROPION-Breast02)/ESMO2025(2025/10/24) 結腸がん術後ctDNAによるde-escalation、リスク低減も非劣性は示されず(DYNAMIC-III)/ESMO2025(2025/10/24) 寝たきり原因第1位「脳卒中」、最新治療アクセス改善と患者支援の最前線/日本脳卒中学会・日本脳卒中医療ケア従事者連合・日本脳卒中協会(2025/10/24) 父親の厳しい子育てが子供のメンタルヘルスに影響(2025/10/24) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24)