たった1つの質問で慢性腰痛患者のうつを評価できる

提供元:ケアネット

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公開日:2014/02/21

 

 心理社会的要因はしばしば慢性腰痛発症のリスク因子となり、また治療の予測因子ともなることから、その要因を明らかにする目的で質問票が用いられることがあるが、日常診療ではより簡単な質問票が使いやすい。ノルウェー・Uni Research のSilje Endresen Reme氏らは、うつや不安の評価について、単一質問によるスクリーニングと、一般によく用いられているHospital Anxiety and Depression scale(HADS)やHopkins Symptom Checklist(HSCL)とを比較した。その結果、うつ病性障害に対しては、単一質問によるスクリーニングのほうが、感度が高かったことを報告した。Spine誌オンライン版2014年1月29日号の掲載報告。

 研究グループは、慢性腰痛患者におけるうつ病性障害と不安障害の評価における質問票の感度について検討した。

 対象は過去2~10ヵ月のうち半分以上を非特異的腰痛で病欠した腰痛患者であった。

 検討はまず精神疾患簡易構造化面接法(MINI)を行い、次いで主観的健康不満尺度(Subjective Health Complaint Inventory)の中のうつおよび不安に関する単一質問、ならびに2つのより長い質問票(HADS、HSCL)の結果とMINIの結果を比較し、ROC曲線より感度と特異度を求めた。

 主な結果は以下のとおり。

・対象被験者は564例であった。
・MINIにおいて、うつ病性障害の有病率は4%、不安障害の有病率は12%であった。
・単一質問によるスクリーニングの感度および特異度は、うつ病性障害がそれぞれ95%および56%、不安障害が68%および85%であった。
・HADSの感度および特異度は、うつ病性障害が91%および85%、不安障害が58%および83%であった。
・HSCLの感度および特異度は、うつ病性障害が86%および74%、不安障害が67%および87%であった。
・不安障害のうち3つ(パニック障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害)、うつ病性障害のうち2つ(大うつ病性障害、気分変調性障害)に関しては、単一質問によるスクリーニングの感度は100%であった。

(ケアネット)