肺炎球菌ワクチン導入後10年、依然として高い小児科開業医の急性中耳炎負荷

提供元:ケアネット

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公開日:2012/12/15

 

 急性中耳炎(AOM)の発生率は、地域性や試験デザイン・報告・設定の違いにより、国によって異なる。たとえば、米国では肺炎球菌ワクチン(PCV)導入後10年で同発生率が低下したものの、依然として高いことが報告されている。イタリア・ミラノ大学のPaola Marchisio氏らは、欧州ではやや低いが研究報告自体が少なく、イタリアのデータがきわめて少ないことから、同国の小児科開業医が認めたAOMの発生率を評価した。また、小児科開業医によるAOMの診断法についても調べた。BMC Pediatricsオンライン版2012年11月29日号の掲載報告。

 イタリアの6歳未満児は全員、国民健康保健サービスの一環として小児科開業医に登録される。研究グループは、その小児科データベースのデータを2次解析し、小児科開業医が認めたAOMの発生率について評価した(/100人・年で算出した全AOM、単発AOM、再発AOM発生率を評価)。また、AOMをどのように診断しているかについても調べた。

 AMOエピソードは、患者の日記で確認した。

 主な結果は以下のとおり。

・2003年1月~2007年12月の間の0~6歳児9万2,373人(男児52.1%)、累計22万7,361人・年が追跡された。
・AOMエピソードがみられたのは、2万3,039人(24.9%)で、全エピソードは3万8,241件(単発エピソード94.6%、再発エピソード5.4%)であった。
・5年間の、AOM全発生率は16.8/100人・年(95%CI:16.7~16.9)、単発AOM発生率は15.9/100人・年(同:15.7~16.1)、再発AOM発生率は0.9/100人・年(同:0.9~0.9)であった。
・年間発生率はわずかだが継続的に、減少の傾向が認められた(年率変化:-4.6%、95%CI:-5.3~-3.9)。
・AOM発生率は年齢により異なり、3~4歳児での発生がピークであった(22.2/100人・年、95%CI:21.8~22.7)。
・大多数のAOMエピソード(96.3%、3万6,842/3万8,241例)は、耳鏡(static otoscope)で診断していた。気密耳鏡(pneumatic otoscope)の利用は3.7%のみであった。
・AOMは、イタリアの小児科開業医システムにとって相当な負担となっていることが示された。
・AOMの診断について教育的なプログラムが必要である。また、PCV導入拡大と関連してAOM発生率をモニターするさらなる研究が求められる。

(ケアネット)