脳神経外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:13

豆乳が認知症リスク低下と関連

 これまでの研究において、ミルク(milk)の摂取は認知機能低下を予防可能であるかが調査されてきた。しかし、その結果は一貫していない。その理由として、これまで研究の多くは、ミルクそれぞれの役割を無視していることが重要なポイントであると考えられる。そこで、中国・中山大学のZhenhong Deng氏らは、各種ミルクの摂取と認知症リスクとの関連を調査した。その結果、豆乳(soy milk)の摂取と認知症(とくに非血管性認知症)リスク低下との関連が認められた。Clinical Nutrition誌オンライン版2023年8月31日号の報告。

日本人NSCLCのオシメルチニブ早期減量は脳転移の発生/進行リスク

 肺がんは初診時に脳転移が発生していることも多く、非小細胞肺がん(NSCLC)患者のうち20~40%は治療経過中に脳転移が発生するとされている1,2)。EGFR変異はNSCLC患者はEGFR変異があると脳転移のリスクが上昇するとされており、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)の脳転移制御に対する役割が注目されている。そこで、日本医科大学付属病院の戸塚 猛大氏らの研究グループは、オシメルチニブの早期減量が脳転移に及ぼす影響を検討した。その結果、オシメルチニブの早期減量は脳転移の発生または進行のリスクであり、治療開始前に脳転移がある患者、75歳以下の患者でリスクが高かった。本研究結果は、Cancer Medicine誌オンライン版2023年9月11日号に掲載された。

機械的血栓回収療法後の脳卒中急性期の血圧管理目標レベル(解説:冨山博史氏)

現在、脳卒中急性期の治療法として血栓溶解療法に加え機械的血栓回収療法が施行されている。そして、日本脳卒中学会『脳卒中治療ガイドライン2021(2023改訂版)』では、脳卒中急性期の血圧治療に関して以下を記載している。“機械的血栓回収療法を施行する場合は、血栓回収前の降圧は必ずしも必要ないが、血栓回収後には速やかな降圧を行うことは妥当である(推奨度B エビデンスレベル中)。一方、血栓回収中および回収後の過度な血圧低下は、避けるように勧める(推奨度E エビデンスレベル低)”

アルツハイマー病の進行を予測するグリア活性化PETイメージング

 グリア活性化は、アルツハイマー病の病因であるといわれている。しかし、長期的な認知機能低下との関係は明らかになっていない。国立長寿医療研究センターの安野 史彦氏らは、アルツハイマー病患者の経年的な認知機能低下に対するグリア活性化PETイメージングとアミロイド/タウ病理の予後効果を比較するため、本研究を行った。その結果、グリア活性化PETイメージングは、脳脊髄液(CSF)によるアミロイド/タウ測定よりもアルツハイマー病の臨床的な進行の強力な予測因子であることを報告した。

脳出血後のスタチン使用は脳梗塞リスクを低下させる

 脳出血(intracerebral hemorrhage;ICH)後にコレステロール低下薬であるスタチン系薬剤(以下、スタチン)を服用すると、その後の虚血性脳卒中(脳梗塞)リスクが低下する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。南デンマーク大学のDavid Gaist氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に8月30日掲載された。  脳卒中は、脳内の出血により引き起こされるもの(くも膜下出血、ICH)と、脳への血流の遮断により引き起こされる脳梗塞に大別され、発生件数は脳梗塞の方が圧倒的に多い。Gaist氏は、今回の研究背景について、「過去の研究では、ICHの既往歴を有するスタチン使用者での脳卒中発症リスクについて、一致した結論が得られていない」と指摘。「われわれは、ICH後のスタチンの使用が、その後のICHや脳梗塞の発症リスクと関連するのかどうかを検討した」と説明している。

急性脳梗塞で血管内治療後の急性期血圧管理、厳格vs.標準(OPTIMAL-BP)/JAMA

 主幹動脈閉塞による急性虚血性脳卒中患者で血管内血栓除去術(EVT)により再灌流に成功した後、血圧上昇がみられる患者において、24時間の集中的な血圧管理(収縮期血圧の目標140mmHg未満)は従来の血圧管理(同140~180mmHg)と比較し、3ヵ月時点の機能的自立の達成割合が低いことを、韓国・延世大学のHyo Suk Nam氏らが多施設共同無作為化非盲検評価者盲検比較試験「Outcome in Patients Treated With Intra-Arterial Thrombectomy-Optimal Blood Pressure Control:OPTIMAL-BP試験」の結果、報告した。急性虚血性脳卒中患者におけるEVTによる再灌流成功後の最適な血圧管理は、不明であった。著者は、「EVTを受けた急性虚血性脳卒中患者において、再灌流成功後24時間の強化降圧療法は避けるべきである」と述べている。JAMA誌2023年9月5日号掲載の報告。

急性脳梗塞、血管内治療後の積極降圧は有益か?(BEST-II)/JAMA

 急性虚血性脳卒中の患者において、血管内治療成功後の収縮期血圧(SBP)目標値について、140mmHg未満や160mmHg未満の設定は、180mmHg以下の設定と比較して、事前規定の無益性は示されなかった。一方で、将来的に大規模試験で比較した場合に、低SBP目標値が高SBP目標値より優越性を示す確率は低い可能性も示唆されたという。米国・シンシナティ大学のEva A. Mistry氏らが、無作為化試験「BEST-II試験」の結果を報告した。急性虚血性脳卒中への血管内治療成功後の中程度のSBP降圧の影響は、明らかになっていなかった。JAMA誌2023年9月5日号掲載の報告。

眼科疾患と認知症リスク~メタ解析

 一般的な眼科疾患と認知症との関係を調査するため、中国・Shenzhen Qianhai Shekou Free Trade Zone HospitalのJiayi Feng氏らは、コホート研究のシステマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、眼科疾患は、すべての原因による認知症やアルツハイマー病のリスク増加と関連している可能性が示唆された。Journal of the American Medical Directors Association誌オンライン版2023年7月29日号の報告。  対象は、眼科疾患を有する患者。2022年8月25日までに公表された文献をPubMed、EMBASE、Web of Scienceなどのオンラインデータベースより、システマティックに検索した。緑内障、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性網膜症(DR)、白内障とすべての原因による認知症、アルツハイマー病、血管性認知症との関連を評価したコホート研究をメタ解析に含めた。ランダム効果モデルを用いてプールし、相対リスク(RR)および95%信頼区間(CI)を算出した。不均一性の評価には、I2統計を用いた。サブグループ分析および感度分析を実施した。

脳梗塞の疾病負荷は今後も増大するとの予測

 脳梗塞の疾病負荷は1990~2019年にかけて増加しており、今後も増加が続くと予測されるとの研究結果が、「Neurology」に5月17日掲載された。  上海第四人民医院(中国)のJiahui Fan氏らは、GBD2019データベースに基づく年齢調整死亡率(ASMR)および障害調整生存年(ASDR)を用いて、1990~2019年における脳梗塞の世界的疾病負荷の地理的分布と傾向を示した。また、7つの主要リスク因子で説明可能な脳梗塞の死亡数を解析し、2020~2030年の死亡数を予測した。

脳梗塞、血管内治療可能な施設で血栓溶解療法は必要か/Lancet

 大血管前方循環脳卒中に対する血管内治療での静脈内血栓溶解療法の意義を検討したオランダ・アムステルダム大学のCharles B. Majoie氏らは、血管内治療センターに直接入院した患者において、血管内治療単独が血管内治療+静脈内血栓溶解療法に対し非劣性であることを立証できなかったと報告した。血管内治療前の静脈内血栓溶解療法が推奨されているが、その意義は血管内治療が可能な施設に直接入院した患者では疑問視されていた。既存の6つの無作為化試験では、2試験で血管内治療単独の非劣性が示されているが、4試験では統計学的確証は得られておらず、研究グループは今回、この6試験の参加者データを用いてメタ解析を行った。Lancet誌オンライン版2023年8月25日号掲載の報告。