腎臓内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

出揃ったC型肝炎治療薬、最新使い分け法

 相次いで有効な新経口薬が登場し、適切に使い分けることでほぼ全例でウイルス排除が可能となったC型肝炎。しかし、陽性患者の治療への移行割合が伸び悩むなど課題は残っており、医師・患者双方が、治療によるメリットと治療法をより正しく認識することが求められている。1月9日、都内で「C型肝炎の撲滅に向けた残された課題と今後の期待~C型肝炎治療の市販後の実臨床成績~」と題したメディアセミナーが開催され(主催:アッヴィ合同会社)、熊田 博光氏(虎の門病院 顧問)、米澤 敦子氏(東京肝臓友の会 事務局長)が講演した。

治療の見直しに有効か、スタチン不耐治療指針公表

 2018年12月27日、日本動脈硬化学会は『スタチン不耐に関する診療指針2018』を同学会ホームページ上に公表した。これまで、スタチン不耐の定義が不統一であったことが症例集積の大きなハードルであったが、診療指針が作成されたことで、その頻度と臨床像を明らかにし、各個人に適切なLDL-C低下療法の実践が期待できるとのこと。なお、本指針を作成したスタチン不耐調査ワーキンググループには、日本動脈硬化学会をはじめ、日本肝臓学会、日本神経学会、日本薬物動態学会の専門家も含まれている。

太れば太るほど、GFR低下・死亡リスク増/BMJ

 肥満は、慢性腎臓病(CKD)の有無にかかわらず、糸球体濾過量(GFR)の低下および死亡のリスク増大と関連することが明らかにされた。米国・Geisinger Health SystemのAlex R. Chang氏らが、40ヵ国のコホートを基に分析した結果で、BMJ誌2019年1月10日号で発表した。これまで肥満と末期腎疾患(ESKD)との関連は示されているが、関連の程度は試験間でばらつきがみられていた。また、CKDのコホート試験で、肥満はリスク増大とは関連せず、死亡リスクは低いことが示されていた。BMI値とCKDの関連を検討したメタ解析では、被験者データが不足しており、ウエスト囲など体幹部肥満の計測値が含まれておらず結果が限定的だった。研究グループは、肥満計測値(BMI値、ウエスト囲、ウエスト身長比)とGFR低下および全死因死亡との関連を調べた。

腎疾患に遺伝子診断は有用か/NEJM

 3,000例超のさまざまな慢性腎臓病患者の集団を対象とした検討で、エクソーム解析に基づく遺伝子診断率は、10%未満であることが明らかにされた。米国・コロンビア大学のEmily E. Groopman氏らによる検討の結果で、NEJM誌オンライン版2018年12月26日号で発表された。  研究グループは、慢性腎臓病の患者3,315例を含む2つのコホートを対象に、エクソーム解析と診断解析を行った。詳細な臨床データが入手できた患者について、診断率や、診断の臨床的意義、その他の医学的所見との関連を検証した。

リナグリプチンのCARMELINA試験を通して血糖降下薬の非劣性試験を再考する(解説:住谷哲氏)-991

eGFRの低下を伴う腎機能異常を合併した2型糖尿病患者における血糖降下薬の選択は、日常臨床で頭を悩ます問題の1つである。血糖降下薬の多くは腎排泄型であるため腎機能に応じて投与量の調節が必要となる。DPP-4阻害薬の1つであるリナグリプチンは数少ない胆汁排泄型の薬剤であり、腎機能に応じた投与量の調節が不要であるため腎機能異常を合併した患者に投与されることが多い。これまでにDPP-4阻害薬の安全性を評価した心血管アウトカム試験CVOTにはサキサグリプチンのSAVOR-TIMI 53、アログリプチンのEXAMINE、シタグリプチンのTECOSが発表されている。リナグリプチンの安全性を評価した本試験の報告により、DPP-4阻害薬の安全性を評価したすべてのCVOTが出そろったことになる。本試験の最大の特徴は、リナグリプチンが胆汁排泄型であることに基づいて、これまで報告されたCVOTの中で最多の腎機能異常合併2型糖尿病患者を組み入れた点にある。

SGLT2阻害薬は動脈硬化性疾患を合併した2型糖尿病には有用かもしれないが日本人では?(解説:桑島巖氏)-988

今、2型糖尿病の新規治療薬SGLT2阻害薬の評価が医師の間で大きく分かれている。一方は積極的に処方すべしという循環器科医師たち、もう一方は慎重であるべきという糖尿病治療の専門医師たちである。自らの専門の立場によって分かれる理由は、このレビューを読み込むとよくわかる。そして一般臨床医は個々の症例にどのように処方すべきか、あるいは処方すべきでないかが理解できる内容である。このレビューはSGLT2阻害薬に関して、これまでに発表された3つの大規模臨床試験、EMPA-REG、CANVAS Program、DECLARE-TIMI58を結果について独立した立場から俯瞰し、レビューした論文である。

ビタミンD受容体作動薬、透析患者の心血管リスク改善示せず/JAMA

 二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)を伴わない維持血液透析患者において、経口ビタミンD受容体作動薬(VDRA)アルファカルシドールは、心血管イベントのリスクを低減しないことが、大阪市立大学大学院医学研究科の庄司 哲雄氏らが行った「J-DAVID試験」で示された。研究の成果は、JAMA誌2018年12月11日号に掲載された。慢性腎臓病患者は、ビタミンD活性化が障害されるため心血管リスクが増大する。血液透析患者の観察研究では、活性型ビタミンDステロールは、副甲状腺ホルモン(PTH)値にかかわらず、全死因死亡のリスクを抑制することが報告されている。

食事療法の見直しへ日本糖尿病学会が動き出す

 食の欧米化や糖質制限の流行、高齢者の低栄養が問題となる昨今、日本人における食事療法の見直しが迫られている。2018年11月5日、日本糖尿病学会が主催する「食事療法に関するシンポジウム」が、5年ぶりに開催された。講演には、座長に羽田 勝計氏(「糖尿病診療ガイドライン2016」策定に関する委員会委員長)と荒木 栄一氏(「糖尿病診療ガイドライン2019」策定に関する委員会委員長)を迎え、5名の糖尿病専門医らが登壇した。  また、パネルディスカッションには、さまざまな観点からの意見を求めるべく、5つの団体(日本老年医学会、日本腎臓学会、日本動脈硬化学会、日本肥満学会、日本病態栄養学会、日本糖尿病協会)の代表が参加した。

リナグリプチン、高リスク2型DMでのCV・腎アウトカムは/JAMA

 心血管および腎リスクが高い2型糖尿病の成人患者では、通常治療と選択的DPP-4阻害薬リナグリプチンの併用療法は、主要な心血管イベントのリスクがプラセボに対し非劣性であることが、米国・Dallas Diabetes Research Center at Medical CityのJulio Rosenstock氏らが行ったCARMELINA試験で示された。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2018年11月9日号に掲載された。2型糖尿病は心血管リスクの増加と関連する。これまでに実施された3つのDPP-4阻害薬の臨床試験では、心血管への安全性が示されているが、これらの試験に含まれる高い心血管リスクおよび慢性腎臓病を有する患者の数は限定的だという。