内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:169

デルタクロン株、ワクチンや感染による免疫から逃避する?/NEJM

 新型コロナウイルスオミクロン株BA.3とデルタクロン株が、ワクチン接種や感染による誘導免疫から逃避するかどうかは不明である。今回、米国・オハイオ州立大学のJohn P. Evans氏らが、3種類の血清サンプルでこれらの株に対する中和抗体価を調べた結果、BA.3株は免疫逃避変異株ではないが、デルタクロン株はBA.1株やBA.2株における強力な耐性を保持していることが示唆された。NEJM誌オンライン版2022年5月18日号のCORRESPONDENCEに掲載された。

ワクチン3回目、異種・同種接種での有効性~メタ解析/BMJ

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンのあらゆるプライマリ接種におけるブースター接種にはmRNAワクチンが推奨されること、異種・同種ワクチンの接種を問わず3回接種レジメンが、種々の変異株のCOVID-19予防に比較的有効であることを、中国・香港大学のWing Ying Au氏らが、システマティック・レビューとネットワークメタ解析の結果、報告した。ただし、3回接種レジメンのCOVID-19関連死への有効性については不明なままだったとしている。BMJ誌2022年5月31日号掲載の報告。  研究グループは、ブースター接種の有無を含む異種・同種COVID-19ワクチンレジメンのCOVID-19感染、入院および死亡に対する予防効果を評価するシステマティック・レビューとネットワークメタ解析を行った。  世界保健機関(WHO)の38のCOVID-19データベースについて、2022年3月から毎週検索を行う方法(Living systematic review)にて、COVID-19ワクチンの同種または異種レジメンの有効性について評価した試験を抽出した。ブースター接種の有無は問わなかった。

ワクチン忌避に対抗できるか?植物由来の新しいコロナワクチン(解説:田中希宇人氏/山口佳寿博氏)

新型コロナウイルスに対するまったく新しいタイプのワクチンの効果がNEJM誌に報告された。本研究で検討された「植物由来ワクチンCoVLP+AS03」は、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)という植物内でコロナウイルスのスパイクタンパクを発現し、コロナ様粒子(CoVLP)とアジュバント(AS03)を組み合わせた新しいタイプのワクチンである。本研究は、過去にコロナワクチン接種歴のない方で18歳以上の約2万4,000例が今回の接種対象となっている。1:1でワクチン接種群とプラセボ群に割り付けられ、コロナ感染が確認された165例での解析がなされている。結果は症候性コロナ発症に対する有効性は69.5%、中等症~重症コロナ発症に対する有効性は78.8%と比較的高い効果を示していることがわかる。90%以上の発症予防効果を誇る従来のmRNAワクチンと比較すると、この植物由来ワクチンCoVLP+AS03は数字上ではやや劣るように感じる。ただ、2つのワクチンを比較検討したわけではなく、研究が行われた時期や背景、患者群が異なるので一概に効果の違いはわからない。特筆すべきはワクチン接種群で重症例は認められなかったことと、コロナ診断時にプラセボ群はワクチン接種群に比べてウイルス量が100倍以上高かったことも、重要なポイントと考えることができる。副反応は、局所的な有害事象(92.3% vs.45.5%)も全身的な有害事象(87.3% vs.65.0%)もワクチン接種群の頻度が高かったことは理解可能であるが、Grade4や5の有害事象の報告は認められなかったことは評価される。

ビレーズトリとビベスピの120吸入製剤を発売/AZ

 アストラゼネカは、2022年6月6日、慢性閉塞性肺疾患(COPD)治療配合剤「ビレーズトリエアロスフィア120吸入」(一般名:ブデソニド/グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)と「ビベスピエアロスフィア120吸入」(一般名:グリコピロニウム臭化物/ホルモテロールフマル酸塩水和物)の販売を同日より開始したと発表。  両製品における120吸入製剤のニーズは高く、それに応える形で追加発売となった。これにより、1つの吸入器で1ヵ月分の投薬が可能となる。

急性膵炎の抗菌薬処方はもう古い!?最新治療とは―診療ガイドライン2021発刊

 専門医でも抗菌薬や蛋白分解酵素阻害薬の投与が慣例となっている急性膵炎の治療。ところが、昨年12月に発刊された『急性膵炎診療ガイドライン2021年版(第5版)』で、遂に治療法へのメスが入ったのである。診断よりも治療法に重きを置いて今回の改訂がなされた理由について、急性膵炎診療ガイドライン改訂出版責任者の高田 忠敬氏(帝京大学附属病院)にインタビューした。  今回6年ぶりに発刊された急性膵炎診療ガイドライン第5版では、「予防的抗菌薬の投与がほぼ全例で行われている」「発症48時間以内の早期の経腸栄養が開始されていない」点を専門医に向けて問題提起している。急性膵炎の治療において栄養摂取は時間勝負であり予後改善の分岐点ともなることから、いかに早期に食事を開始するか、その方法や意義などが盛り込まれた。

ヘルスケアベンチャー大賞への参加者募集【ご案内】

 日本抗加齢協会と日本抗加齢医学会は、今秋もヘルスケアベンチャー大賞を開催する。4回目を迎える同大賞は『アンチエイジングからイノベーションを!』をテーマに掲げ、アンチエイジングに資するヘルスケア分野のビジネスプランやアイデアを募集する。  新たなスタートアップを立ち上げることは並大抵のことではないが、近年、医師による起業や新規事業の立ち上げが増加しており、本大賞はそのような医師らの積極的な活動を応援するために2019年より始まった。起業準備中の個人や企業との連携を求める個人なども応募が可能で、1次書類審査にてファイナリスト8名(社)を選出し、10月の最終審査で受賞者が決定する。大賞・学会賞受賞者は賞金授与だけではなく、翌年6月に開催予定の第23回日本抗加齢医学会総会での発表機会や企業展示支援も与えられる。

大血管閉塞性脳卒中疑い患者の血栓回収可能センターへの直接輸送の効果(解説:中川原譲二氏)

血栓回収可能センターへのアクセスが制限されている非都市部では、大血管閉塞性(LVO)脳卒中が疑われる患者における最適な病院前輸送戦略は不明である。本研究の目的は、都市部以外の地域で、血栓回収可能センターへの直接輸送が、最も近い1次脳卒中センターへの輸送と比較して有益であるかどうかを判断することであった。2017年3月から2020年6月までの間、スペインのカタルーニャ地方で、最も近い1次脳卒中センターが血栓回収を施行できない地域において、急性LVO脳卒中が疑われる1,401例の患者を対象として、多施設、人口ベース、クラスター無作為化試験が行われた。最終フォローアップは2020年9月であった。患者は、血栓回収可能センター(688例)または最も近い1次脳卒中センター(713例)へ輸送された。

若年性認知症の診断5年前からみられる症状

 若年性認知症には多くの根本的な病因があり、初期症状の不均一性が大きいといわれている。そのため、一般開業医が若年性認知症を発見することは困難である。オランダ・マーストリヒト大学のStevie Hendriks氏らは、若年性認知症の診断前段階でみられる一般的な初期症状の特定を試みた。その結果、若年性認知症患者では診断5年前より異なる症状が認められるが、各症状は他疾患においても認められるため、一般開業医が若年性認知症を鑑別診断することは容易ではないとしながらも、症状カテゴリーの組み合わせにより、若年性認知症を検知できる可能性が示唆されたことを報告した。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2022年5月13日号の報告。

モデルナアームが発現しやすい人は?/自衛隊中央病院

 モデルナ社の新型コロナワクチン(mRNA-1273ワクチン、商品名:スパイクバックス筋注)接種により一時期話題となった「モデルナアーム」。このモデルナアームの原因が遅発性大型局所反応(DLLR:delayed large local reaction)と言われるも詳細は不明であった。しかし、今回、自衛隊中央病院皮膚科の東野 俊英氏らはDLLRがIV型アレルギーを原因として生じるアレルギー性接触皮膚炎に類似している可能性があること、女性は男性より5.3倍も発症しやすいことなどを突き止めた。このようにモデルナアームの原因や発症しやすい対象者が特定できれば、今後、この副反応を回避する対応ができそうだ。本研究はJAMA Dermatology誌オンライン版2022年6月1日号に掲載されたほか、自衛隊中央病院のホームページでも報告している。

コロナ罹患後症状、中年者に多い/厚労省アドバイザリーボード

 厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードは、6月1日に第86回の会議を開催し、その中で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の遷延症状に関する研究2題が報告された。中等症以上の患者を対象とした研究では、退院後12ヵ月後でも13.6%の対象者に何らかの罹患後症状が存在していた。  また、もう一方の長期合併症の実態把握と病態生理解明の研究では、12ヵ月後でも疲労感、呼吸困難、筋力低下、集中力低下などの症状が続いていた。