感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

HIV-1感染者への週1回配合剤、1日1回薬に非劣性/NEJM

 ウイルス学的抑制を維持しているHIV-1感染者において、週1回投与の配合錠イスラトラビル/レナカパビル(ISL/LEN)は1日1回投与の配合錠ビクテグラビル/エムトリシタビン/テノホビル アラフェナミド(B/F/TAF)に対して、HIVウイルス量の抑制維持に関して非劣性であることが示された。ドイツ・ボン大学病院のJurgen K. Rockstroh氏らISLEND-1 Study Teamが日本を含む12ヵ国106施設で実施した第III相の二重盲検無作為化実薬対照非劣性試験「ISLEND-1試験」の結果を報告した。1日1回投与の配合錠はHIV-1感染者の治療を一変させたが、服薬アドヒアランスに関する課題が効果を限定的なものとしていることから、研究グループは長期作用型経口薬との組み合わせが投与頻度を抑えた新たな治療選択肢となりうるかを検証した。NEJM誌オンライン版2026年7月29日号掲載の報告。

日本におけるVZV髄膜炎発生率、12年で3倍超に

 日本における水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)髄膜炎の発生率は、過去12年間で3倍超に増加していることが、東京大学の山形 直毅氏らによる研究で明らかになった。一方で、大多数の患者はアシクロビルの長期静注療法により治療され、退院時には転帰が良好であったことも示されている。Journal of the Neurological Sciences誌2026年9月15日号掲載の報告より。  本研究では、2011年4月~2023年3月にVZV髄膜炎と診断された1,680例を、日本の全国入院患者データベースであるDPCデータを用いて特定した。

新型コロナ・インフルワクチンの同時接種で有害事象は増えず

 この秋は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)とインフルエンザの対策が一度で済むかもしれない。新たな研究で、新型コロナウイルスワクチン(以下、新型コロナワクチン)とインフルエンザワクチンを同時接種しても、インフルエンザワクチンのみを接種した場合と比べて安全上のリスクは増加しないことが示された。米ワシントン大学医学部および米VA St. Louis Health Care SystemのYan Xie氏らによるこの研究は、「Annals of Internal Medicine」に6月30日掲載された。  この研究では、米国の退役軍人(VA)約250万人の電子医療記録データを用いて、新型コロナワクチン(二価ワクチン、XBB対応ワクチン、およびKP対応ワクチン)とインフルエンザワクチンを同時接種した場合とインフルエンザワクチンを単独接種した場合とで、接種後90日以内の有害事象の発生について比較・評価した。

重症外傷患者へのビタミンC投与は死亡や敗血症リスクの低下と関連

 重症外傷患者に高用量のビタミンCを静脈内(IV)投与することで、死亡リスクや敗血症リスクが低下する可能性がある――新たなエビデンスレビューでこのような結果が示された。さらに、ビタミンCのIV投与によって集中治療室(ICU)在室日数や入院日数が短縮する可能性も示唆されたという。英NHS Academic Department of Military Trauma & OrthopedicsのNandesh Patel氏らによるこの研究結果は、6月30日付で「BMJ Military Health」に掲載された。研究グループは、「今回のレビューは、外傷患者の治療においてビタミンCのIV投与が果たす潜在的な役割を支持する、限定的ではあるが肯定的なエビデンスを示している」と記している。

敗血症性ショック早期蘇生における輸液量と昇圧薬のタイミング(解説:寺田教彦氏)

2001年にRiversらがearly goal-directed therapy(EGDT)による死亡率低下を報告して以降、早期輸液を含むプロトコール化された蘇生が広く普及した。一方、その後の観察研究では、正の水分出納と死亡との関連が指摘され、輸液過剰への懸念が高まった。2023年のCLOVERS試験では、1~3Lの輸液を受けた敗血症性低血圧患者において、輸液を制限して昇圧薬を優先する方針と、輸液を優先する方針との間で主要転帰に有意差を認めなかった。また、本研究が公表される前の2026年3月に発表されたSurviving Sepsis Campaign(SSC)2026は、敗血症による低灌流または敗血症性ショックに対して、最初の3時間に少なくとも30mL/kgの晶質液を投与することを条件付きで推奨しているが、エビデンスの確実性は低いとしている。

PSSA菌血症治療の常識は変わるか?(解説:栗原宏氏)

現在のPSSA(Penicillin-Susceptible Staphylococcus aureus)を取り巻く環境は10年前とはかなり変化している。欧米を中心に、かつては稀とされていたPSSAの割合が再増加傾向であることが本研究の背景となっている。PSSAであれば、治療としてペニシリンGは、最も狭域で抗菌活性が高く、内服アモキシシリンへの移行が容易、腎障害・肝障害・静脈炎が少ない可能性があるなど利点が多い。その一方で、低レベルペニシリナーゼ産生菌がPSSAと誤判定されていた場合の治療失敗リスクを踏まえて、抗ブドウ球菌ペニシリン系薬が第一選択とされていた。本研究はPSSAに対して「念のために抗ブドウ球菌ペニシリンを使う」という従来の治療戦略に再考を促す結果となった点で意義が大きい。

帯状疱疹ワクチンは動脈硬化性疾患患者の主要心血管イベントリスク低下と関連

 動脈硬化性疾患(ASCVD)と診断された50歳以上の成人において、帯状疱疹(HZ)ワクチンの接種は、主要心血管イベント(MACE)およびその他の心血管アウトカムのリスク低下と関連するという研究結果が、米国心臓病学会年次総会(ACC.26、3月28~30日、米ニューオーリンズ)で発表された。  米カリフォルニア大学リバーサイド校のRobert Nguyen氏とAditya Desai氏は、米国のTriNetXデータベースを用い、2018年1月1日~2024年1月1日にASCVDと診断された50歳以上の成人を対象とした後ろ向きコホート研究を実施し、この集団において帯状疱疹ワクチン接種が心血管リスクを低減するかどうかを検討した。

B群髄膜炎菌ワクチン、淋菌感染症を予防せず/NEJM

 淋菌感染症リスクが高い男性間性交渉者(MSM)において、B群髄膜炎菌ワクチン(4CMenB)はプラセボと比較して、淋菌感染症の発生率の低下をもたらさなかった。オーストラリア・Griffith UniversityのKate L. Seib氏らGoGoVax Study Teamが、多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。現状、淋菌感染症の予防として承認されているワクチンはない。淋菌と髄膜炎菌は近縁な細菌であり、観察研究において、4CMenBが淋菌感染症のリスクを低下させる可能性が示唆されていた。NEJM誌オンライン版2026年7月8日号掲載の報告。

感染症は認知症リスク上昇と関連しているのか

 感染症が認知症リスクに及ぼす影響については、生物学的加齢の加速による影響との比較において、どの程度なのかは明らかではない。中国・北京大学のRuoxi Ding氏らは、感染症と認知症の関連性を評価し、生物学的加齢の加速が感染症と認知症リスクの関係を修飾するかどうかを検討した。Brain, Behavior, and Immunity誌2026年10月号の報告。  2006~10年の英国バイオバンク・コホートデータより抽出された37~73歳の参加者33万9,463例を対象とし、プロスペクティブ研究を実施した。入院治療を受けた感染症と認知症の既往は、医療記録統計およびスコットランド疾病記録との連結によって特定した。

重症感染症患者の遠隔モニタリング、自宅で過ごす日数は改善せず

 ウェアラブル機器やスマートフォンによる通信技術の進歩により、病院では患者を早期退院させ、自宅療養中の状態を遠隔モニタリングする取り組みが進められている。このアプローチは、例えば心不全など一部の疾患では有効性が示されている。しかし、新たな研究で、敗血症や下気道感染症などに対して遠隔モニタリングを行っても、患者が自宅で過ごす日数が増えることはなく、高齢患者ではむしろ日数が減る可能性が示唆された。米ピッツバーグ大学集中治療医学分野教授のSachin Yende氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。