感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

薬剤耐性菌の防御システムを乗り越える「ファージ」の仕組みを解明/JIHS

 薬剤耐性菌は世界的に深刻な脅威となっている。対策の1つとして注目されているのが、細菌に感染して溶菌させるウイルス(バクテリオファージ、以下ファージ)だ。国立健康危機管理研究機構(JIHS)/国立感染症研究所の千原 康太郎氏、氣駕 恒太朗氏らは、ファージが細菌の防御システムを回避して原因菌を破壊する仕組みを明らかにした。その詳細をJIHS開催の記者ブリーフィングで紹介している。  薬剤耐性菌による感染症は全世界で急速に増加している。2025~50年における薬剤耐性菌を直接原因とする累積死者数は3,900万人以上、関連死者数は1億6,900万人以上に上ると推定される。

糞便微生物移植で重症C. difficile感染症の生存率が改善か

 生命を脅かすClostridioides difficile感染症(C. difficile感染症)の患者では、糞便微生物移植(fecal microbiota transplantation;FMT)を迅速に行うことで生存率が改善する可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。FMTは、健康なドナーの腸内細菌を患者の消化管に移植し、腸内細菌叢のバランス回復を目指す治療法である。米ミネソタ大学医学部マイクロバイオータ治療プログラムディレクターのAlexander Khoruts氏らによるこの研究結果は、「Clinical Gastroenterology and Hepatology」に4月6日掲載された。

尿路感染症疑いの適切な外来トリアージとは?推奨を発表

 尿路感染症(UTI)疑いの成人患者に対する外来トリアージについて、経験的抗菌薬投与、尿検査および診察方法の妥当性を検討し、推奨事項をまとめたコンセンサス声明が、「JAMA Network Open」に2月2日掲載された。  米退役軍人省(VA)アナーバー医療システムのJennifer Meddings氏らは、UTIが疑われる成人患者に対するトリアージおよび管理方針の妥当性を評価するため、研究論文のスコーピングレビューを実施した。136の臨床シナリオごとに最大9つの管理戦略の妥当性が評価された。

尿路感染症治療の新しい迅速抗菌薬検査が登場

 新しい迅速尿検査により、尿路感染症(UTI)の治療がより的確で効果的になる可能性が新たな研究で示された。現状の検査では、個々のUTIに効果的な抗菌薬を特定するまでに2~3日かかるが、新しい検査では約6時間で結果が得られるため、検査当日に適切な抗菌薬を処方できる可能性がある。英レディング大学発のスピンアウト企業であるAstratus Limited社のCEOで、同大学薬学部のOliver Hancox氏らによるこの研究は、「JAC-Antimicrobial Resistance」4月号に掲載された。  Hancox氏は、「現行の検査方法では、結果が届く頃には患者がすでに抗菌薬の服用を終えていたり、効果のない薬を処方されていたりすることがあった。

グラム陰性菌の菌血症、迅速抗菌薬感受性試験は臨床的に有効か/JAMA

 グラム陰性桿菌による血流感染症患者において、迅速抗菌薬感受性試験(AST)の追加は標準ASTと比較し、「desirability of outcome ranking(望ましい順位のアウトカム):DOOR」による評価では優越性は認められなかったことが、米国・Vanderbilt University Medical Center大学のRitu Banerjee氏らが行った「FAST試験」の結果で示された。血液培養時の陽性血液培養ボトルを用いて直接、感受性の表現型を評価する迅速ASTについて、その結果に基づき抗菌薬治療を行うことで臨床アウトカムを改善するかどうか、臨床的意義は不明であった。

抗菌薬が腸内環境を変える期間は想像以上に長い

 抗菌薬は、危険な感染症を治療する重要な薬として知られている。しかし、新たな研究で、抗菌薬はこれまで考えられていた以上に長期間にわたり身体に影響を残す可能性が示された。約1万5,000人の成人を対象とした研究で、特定の抗菌薬が腸内マイクロバイオームに対して、最長で約8年にわたり影響を及ぼすことが明らかになった。ウプサラ大学(スウェーデン)のGabriel Baldanzi氏らによるこの研究結果は、「Nature Medicine」に3月11日掲載された。  この研究では、スウェーデンの3つの大規模コホート研究のデータを統合して、8年間の抗菌薬の使用歴と腸内マイクロバイオームとの関連を検討した。

ワクチン接種率向上介入の構成要素ごとの効果を評価(解説:栗原宏氏)

本研究は、ワクチン接種率向上介入を「構成要素」に分解し、その効果をベイズ型コンポーネントネットワークメタ解析で評価したものである。対象は高・中所得国におけるRCT237件、参加者約436万人である。従来の「介入全体の有効性」ではなく、「どの要素が効果に寄与するか」を定量化した点が特徴である。本論文では年齢は数値的区分ではなく、小児・青年・成人の3区分で扱われている。解釈の一例として、接種判断主体の観点から、小児=保護者主体、青年=本人と保護者の混在、成人=本人主体と整理すると理解しやすい。ただし、これは本研究の定義ではなく、筆者による補助的解釈である。

米国のCOVID-19死亡数、過小評価の可能性

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック初期における米国での実際の死亡数は、公式発表よりも大幅に多かった可能性が新たな研究で示唆された。2020年から2021年にかけて、COVID-19関連死亡のうち、最大で約15万5,000人分が見逃されていた可能性が示されたという。同期間に死亡診断書に記録されたCOVID-19による死亡数は約84万人であることから、今回の推計に基づくと、関連死亡の約19%がカウントされていなかったことになる。米ミネソタ大学社会学准教授のElizabeth Wrigley-Field氏らによるこの研究の詳細は、「Science Advances」3月20日号に掲載された。

ワクチン接種率向上のための介入、有効な要素は?/BMJ

 ワクチン接種率向上のための介入について、全体的には機会の拡大、予約の支援、金銭的インセンティブ、費用負担支援および動機付け面接が有効な構成要素であり、人との対話や、医療従事者のみでなく医療従事者+地域住民による提供が効果的な実施要素であることを、英国・ブリストル大学のSarah R. Davies氏らが、システマティックレビューおよびコンポーネントネットワークメタ解析の結果で示した。ただし、有効な要素は、年齢層、医療サービスが不十分な集団およびCOVID-19パンデミック前後で異なっていた。著者は、「今回の知見は、対象を絞った介入の策定、最適化および実装に重要な示唆を与えるものであり、異なる集団や状況においてどの要素が有効であるかを明らかにしている。

医療者の携帯電話が多剤耐性菌を広める!?

 医療従事者の多くが勤務時間中に仕事関連と個人的な目的の両方で携帯電話を使用しており、患者との接触とデバイスの操作を頻繁に切り替えている。しかし、感染予防の観点からみた高頻度接触表面としての携帯電話の役割については、十分に解明されていない。ドイツ・Goethe University FrankfurtのDaniel Hack氏らは、大学病院で医療従事者が使用する携帯電話上の多剤耐性菌の保有率および分子疫学を評価し、非医療従事者が使用する端末との比較検討を行った。Antimicrobial Resistance & Infection Control誌2026年4月4日号掲載の報告。