感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

敗血症患者に対する30mL/kg以上の初期輸液、30日死亡率低下と関連

 大規模コホート研究で、市中発症敗血症患者に対する初期輸液療法として、来院6時間以内に30mL/kg以上の輸液を実施した場合、30日死亡率の低下と関連することが示された。とくに低灌流例だけでなく、中等度乳酸上昇例でも死亡率低下が認められ、従来は輸液過剰が懸念され十分な輸液が控えられてきた重度心・腎疾患併存例でも有害性を示す結果は得られず、むしろ輸液量の増加に伴い死亡率が低下する可能性が示唆された。Intermountain Medical Center(米国・ユタ州)のElizabeth S. Munroe氏らによる本研究はJAMA Network Open誌2026年6月12日号に掲載された。

糖尿病患者の感染症リスクに警鐘

 糖尿病患者における感染症のリスクが過小評価されているとする論文が、「Diabetes」に6月6日掲載された。英ロンドン大学シティ・セント・ジョージ校のJulia Critchley氏らの研究の結果であり、1型糖尿病と2型糖尿病、さらに糖尿病予備群においても感染症のリスク上昇が認められるという。  糖尿病は体のさまざまな部位にダメージを与え、特に心臓や腎臓、目(網膜)などへの影響が大きいことがよく知られている。しかし研究者らは、「糖尿病による重大な健康リスクの一つである感染症が、そのリスクの大きさに見合うほど注目されていない」としている。

リファンピシン耐性肺結核、4~5剤併用6ヵ月投与が有用/NEJM

 リファンピシン耐性肺結核の治療では、最近まで最大7種の薬剤を含むレジメンの9~18ヵ月間の投与が行われてきた。2022年、WHOは治療ガイドラインを改訂し、ベダキリンやpretomanidなどの新薬を含むレジメンの6ヵ月間の投与を、推奨される標準治療として追加したが、現在、pretomanidは14歳未満の小児や妊娠中または授乳中の女性には禁忌とされる。南アフリカ共和国・University of the WitwatersrandのFrancesca Conradie氏らは、「BEAT Tuberculosis試験」において、小児や妊娠中・授乳中の女性を含む患者集団の治療では、ベダキリン、リネゾリド、デラマニド、レボフロキサシンまたはクロファジミンを含む新戦略の6ヵ月間投与は同国の標準治療の9ヵ月間投与に対し、有効性に関して非劣性であり、安全性プロファイルは同程度であることを示した。研究の成果は、NEJM誌2026年6月25日号に掲載された。

PSSA菌血症、ペニシリンG vs.抗ブドウ球菌ペニシリン/Lancet

 ペニシリン感受性黄色ブドウ球菌(PSSA)菌血症の治療について、90日死亡率に関するベンジルペニシリン(ペニシリンG)の抗ブドウ球菌ペニシリン(flucloxacillinまたはクロキサシリン)に対する事前既定の非劣性基準は満たされなかった。しかし、非劣性の事後確率は96.1%であり、急性腎障害(AKI)のリスク低減が認められたことが、オーストラリア・メルボルン大学のJoshua S. Davis氏らStaphylococcus aureus Network Adaptive Platform(SNAP)Trial Groupによる、研究者主導の国際的な多施設共同無作為化非盲検試験「SNAP試験」の結果で示された。過去にはまれであると考えられていたPSSA菌血症が世界的に再興している。

制限輸液/早期昇圧薬は、敗血症性ショックの生存を改善するか/NEJM

 Surviving Sepsis Campaignなどの国際的なガイドラインでは、敗血症による低血圧が確認されてから3時間以内の体重1kg当たり少なくとも30mLの静脈内輸液を弱く推奨しているが、昇圧薬投与の開始時期については具体的な推奨を行っていないという。オーストラリア・モナシュ大学のSandra L. Peake氏らは「ARISE FLUIDS試験」において、敗血症性ショックで救急診療部を受診した成人患者では、輸液量を制限し早期に昇圧薬を投与するアプローチは、輸液量を多くし昇圧薬の投与を遅らせるアプローチと比較して、90日時点での非入院生存日数の増加にはつながらないことを示した。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2026年6月11日号で報告された。

SCORPIO-PEP試験:エンシトレルビルはCOVID-19家族内発症を予防できるか(解説:小金丸 博氏)

NEJM誌2026年5月14日・21日合併号に掲載されたSCORPIO-PEP試験は、エンシトレルビル(商品名:ゾコーバ)をCOVID-19患者の同居家族に対して曝露後予防に用いた第III相試験である。主要評価項目である「症候性COVID-19発症」は、エンシトレルビル群2.9%、プラセボ群9.0%で、リスク比0.33と有意な抑制効果を示した。絶対リスク減少は約6%であり、NNT(治療必要数)は17と計算される。家庭内感染という高曝露環境を考慮すると、かなり良好な成績といえる。本試験の強みは、二重盲検ランダム化比較試験であること、多国籍試験であること、さらにオミクロン株流行期に実施された点にある。参加者の大多数が既感染あるいはワクチン接種由来の抗体を保有しており、現在の実臨床に近い集団で有効性が示された意義は大きい。また、有害事象発現率はプラセボ群と同等であり、安全性に関しても大きな問題を認めなかった。

急性感染症患者の鉄欠乏性貧血、鉄剤は投与する?/Blood

 鉄欠乏性貧血に対する静注鉄は速やかな鉄補充が期待できるが、急性感染症患者の場合は、病原体への鉄供給により感染を悪化させる可能性が懸念されている。そこで、米国・Charleston Area Medical CenterのHaris Sohail氏らは、鉄欠乏性貧血を有する急性感染症患者を対象に、静注鉄投与と生存、ヘモグロビン(Hb)値の回復などとの関連を検討した。その結果、静注鉄投与は検討したすべての感染症で14日および90日生存率の上昇と、Hb値の良好な回復に関連していた。本研究結果は、Blood誌2026年5月21日号に掲載された。

ピボキシル基を有する小児用抗菌薬、低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖を「重要な基本的注意」に追記/厚労省

 2026年6月30日、厚生労働省より添付文書の改訂指示が発出され、ピボキシル基を有する小児用抗菌薬4成分に対し、「重要な基本的注意」の項に低カルニチン血症に伴う重篤な低血糖に関する注意事項が追記された。対象となる一般名および主な販売名は以下のとおり。 <対象医薬品> ・セフカペン ピボキシル塩酸塩水和物(商品名:フロモックス小児用細粒100mgほか) ・セフジトレン ピボキシル(商品名:メイアクトMS小児用細粒10%ほか) ・セフテラム ピボキシル(商品名:トミロン細粒小児用20%) ・テビペネム ピボキシル(商品名:オラペネム小児用細粒10%)

帯状疱疹、感染部位も認知症リスクに影響する可能性/日本皮膚科学会

 近年、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)の罹患が認知症の発症リスクを上昇させる可能性や、帯状疱疹ワクチンの接種がそのリスクを低減させる可能性を示す研究が相次いで報告されている。下畑 享良氏(岐阜大学)らは、「VZVの罹患は認知症の危険因子か?」という臨床疑問を検討することを目的に、21論文を対象としてスコーピングレビューを実施。このレビューからみえてきたVZV罹患と認知症発症の関連や、ワクチンが及ぼす影響などについて、最新の研究結果も踏まえて下畑氏が第125回日本皮膚科学会総会で講演した。

ほこりの中にウイルス流行の手がかり

 ほこりには、オフィスや学校などの建物の中で流行しているウイルスに関する手がかりが含まれていることが、米オハイオ州立大学環境保健科学准教授のKaren Dannemiller氏らによる研究で明らかになった。Dannemiller氏は、「こうした研究は、懸念されるさまざまな問題について幅広い種類の建物をモニタリングする上で有用だ」とニュースリリースの中で述べている。詳細は、「Building and Environment」に5月15日掲載された。  排水などの廃棄物は、地域社会におけるウイルス拡散を追跡するために以前から利用されてきた。