感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

モデルナ、プレフィルドシリンジ型コロナワクチンを新発売

 モデルナ・ジャパンは5月26日付のリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス(R)筋注シリンジ」を新たに発売したことを発表した。本ワクチンは、12歳以上を対象とした1回接種用0.5mLを充填したプレフィルドシリンジ製剤で、医療現場での調製時間を短縮し、投与準備を簡便化する。これにより、医療従事者の負担軽減と接種の効率化が期待される。本製剤は、オミクロン株JN.1系統に対応している。  なお、2025年春夏シーズンの任意接種においては、従来からのオミクロン株JN.1系統対応バイアル製剤「スパイクバックス(R)筋注」も引き続き使用可能となっている。

マイコプラズマ肺炎、大阪府のマクロライド耐性率は約6割

 大阪府の医療施設を対象とした調査において、2024年のMycoplasma pneumoniaeのマクロライド耐性変異率は60.2%に達していたことが報告された。マクロライド耐性マイコプラズマ肺炎は2000年代から増加し、2012年前後にはM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率が80~90%に達した。その後、マクロライド耐性変異率は低下し、2019年前後には20~30%となった。それ以降は、COVID-19パンデミックに伴ってマイコプラズマ肺炎の報告が激減したが、2024年には再流行がみられた。そこで、宮下 修行氏(関西医科大学 内科学第一講座 呼吸器感染症・アレルギー科)らの研究チームは、大阪府の医療施設を対象として、2018~24年のマイコプラズマ肺炎の報告件数とM. pneumoniaeのマクロライド耐性変異率を調査した。本研究結果は、Respiratory Investigation誌2025年4月22日号に掲載された。

高齢者への抗菌薬投与の有害性と安全性、3~7日vs.8~14日

 地域在住の66歳以上の高齢者において、アモキシシリン、セファレキシン、シプロフロキサシンの投与期間が長期(8〜14日)となった場合、短期(3〜7日)の場合と比較して、副作用やClostridioides difficile感染症(CDI)などの有害性アウトカム発現に差は認められなかった。カナダ・トロント大学のBradley J Langford氏らは、10万例以上の高齢患者を対象としたコホート研究の結果を、Clinical Infectious Diseases誌2025年4月号で報告した。

バロキサビル単回投与による家庭内インフルエンザ伝播予防効果(解説:寺田教彦氏)

ウイルス性上気道炎に対する抗ウイルス薬の伝播抑制効果は従来注目されてきたが、臨床研究においてその有効性を明確に示すことは困難であった。そうした中、2025年にNew England Journal of Medicine誌に掲載された本研究は、メーカーからの後援を受けた研究ではあるものの、インフルエンザ発症者に対して発症後48時間以内にバロキサビルを単回投与することで、家庭内でのウイルス伝播が有意に抑制されることを示した。バロキサビルは日本で開発された新規抗インフルエンザ薬であり、以下のような特徴を有する。

帯状疱疹ワクチンで認知症の発症リスクを低減できる可能性(解説:小金丸博氏)

「帯状疱疹ワクチンの接種が、認知症の発症リスクを低減する可能性がある」。この仮説は近年の観察研究で示唆されてきたが、2025年になってそれを強く支持する2つの高品質な準実験的研究がNature誌およびJAMA誌に相次いで報告され、大きな注目を集めている。まず、先行研究としてウェールズでの研究結果が2025年4月2日号のNature誌に報告された。2013年にウェールズで導入された帯状疱疹ワクチン接種プログラムでは、1933年9月2日以降に生まれた人が接種対象となり、それ以前に生まれた人は対象外とされた。この明確な誕生日による区分を利用し、年齢のみがわずかに違うと推定される2つの集団を比較することで、交絡因子の影響を最小限に抑えた。その結果、ワクチン接種者では、7年間の追跡期間中に認知症と診断されるリスクが20%低下(3.5%ポイントの絶対リスク減少)し、この効果はとくに女性で顕著であった。

モデルナのコロナワクチン、生後6ヵ月からの追加免疫の一変承認を取得

 モデルナ・ジャパンは5月19日付のプレスリリースにて、新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」について、生後6ヵ月以上4歳以下を対象とした追加免疫に関する承認事項の一部変更を厚生労働省から取得したと発表した。  これまで「スパイクバックス筋注」は、生後6ヵ月以上5歳未満に対して初回免疫のみ承認されており、追加免疫は5歳以上が対象であったが、今回の承認により、生後6ヵ月から追加免疫としても接種できるようになる。

10~18歳へのBCGワクチン再接種は有用か?/NEJM

 QuantiFERON-TB(QFT)検査陰性・ヒト免疫不全ウイルス(HIV)陰性の思春期児において、カルメットゲラン菌(BCG)ワクチン再接種により、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)の持続感染に対する防御効果は得られなかった。米国・Gates Medical Research InstituteのAlexander C. Schmidt氏らBCG REVAX Study Teamが第IIb相の二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果を報告した。先行研究の第II相試験で、BCGワクチン再接種による、結核菌の初回感染に対する防御効果は示されなかったが、副次エンドポイントである持続感染(初回QFT検査で陽転、さらに3ヵ月時点および6ヵ月時点の陽転持続で定義)予防へのワクチン効果(有効性45%、95%信頼区間[CI]:6~68)が観察されていた。NEJM誌2025年5月8日号掲載の報告。

コロナ入院患者の院内死亡リスク、オミクロン後もインフルの1.8倍超/感染症学会・化学療法学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、オミクロン株流行以降、重症度が低下したとする報告がある一方、インフルエンザと比較すると依然として重症度が高いとの報告もある。国内の死亡者数においても、5類感染症移行後、COVID-19による死亡者数はインフルエンザの約15倍に上ると厚生労働省の統計で報告されている。こうした背景から、長崎大学熱帯医学研究所の前田 遥氏らの研究グループは、COVID-19患者の入院中の死亡リスクをインフルエンザ患者と比較評価した。本結果は、5月8~10日に開催された第99回日本感染症学会総会・学術講演会/第73回日本化学療法学会総会 合同学会にて、前田氏が発表した。

子宮頸がんワクチンの接種率は近隣の社会経済状況や地理に関連か

 子宮頸がんはほとんどの場合ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により発症する。HPVにはワクチンが存在していることから、子宮頸がんは「予防できるがん」とも呼ばれる。この度、HPVワクチンの接種率が近隣地域の社会経済状況、医療機関へのアクセスに関連するという研究結果が報告された。近隣地域の社会経済状況が高く、医療機関へのアクセスが容易なほどHPVワクチンの接種率が高かったという。大阪医科薬科大学総合医学研究センター医療統計室の岡愛実子氏(大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室)、同室室長の伊藤ゆり氏らの研究によるもので、詳細は「JAMA Network Open」に3月13日掲載された。

インフル・コロナ混合ワクチン、50歳以上への免疫原性・安全性確認/JAMA

 インフルエンザと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混合ワクチン「mRNA-1083」の免疫原性と安全性を、50歳以上の成人を対象に評価した第III相無作為化観察者盲検試験の結果が報告された。開発中のmRNA-1083は、推奨されるインフルエンザワクチン(高用量、標準用量)およびCOVID-19ワクチンと比較して非劣性基準を満たし、4種すべてのインフルエンザ株(50~64歳)、SARS-CoV-2(全年齢)に対して高い免疫応答を誘導したことが実証され、許容可能な忍容性および安全性プロファイルが示された。米国・ModernaのAmanda K. Rudman Spergel氏らが報告した。JAMA誌オンライン版2025年5月7日号掲載の報告。