感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

小児インフルワクチン接種は10月がおすすめ?(解説:栗原宏氏)

人工呼吸器関連肺炎(VAP)は、気管挿管後48~72時間以上経過して発生する肺炎を指す。報告によって幅があるが全挿管患者の5~40%に発生するとされ、ICUでしばしばみられる感染性合併症である。死亡率は約10~30%と院内肺炎の中でもかなり高い。気管チューブから侵入した細菌が気管チューブ、気管支肺胞系、肺実質で増殖することがVAPの原因となる。抗菌薬吸入療法はこれらの部位に直接高濃度の抗菌薬が可能であり、小規模試験のメタ解析によればVAP予防に有効であることが示されている。これを踏まえて、著者らは人工呼吸器導入後3日目以降に、1日1回3日間、理想体重1kg当たり20mgのアミカシン吸入療法を行い、VAPの発生率が減少するかを検討した。

新型コロナ公費支援、3月末で終了を発表/厚労省

 厚生労働省は3月5日付の事務連絡にて、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の医療提供体制および公費支援について、予定どおり2024年3月末をもって終了し、4月以降は通常の医療体制とすることを発表した。新型コロナの医療提供体制については、2023年5月8日に5類感染症変更に当たり特例措置が見直され、同年10月に公費支援を縮小し、2024年3月末までが「移行期間」であった。4月以降、医療機関への病床確保料や、患者のコロナ治療薬の薬剤費および入院医療費の自己負担に係る支援、高齢者施設への補助などが打ち切りとなる。無料で行われてきた新型コロナワクチンの特例臨時接種も予定どおり3月末で終了する。新型コロナの特例的な財政支援の終了について記載された資料も公開された。

小児インフルワクチンの最適な接種月/BMJ

 2~5歳の小児に対するインフルエンザワクチン接種の最適な時期について調べた住民ベースのコホート試験で、誕生月が予防健診受診の時期に影響を与えることからワクチン接種のタイミングと関連することが示され、その結果、10月生まれの小児は10月にワクチン接種を受ける可能性が最も高く、インフルエンザと診断される可能性が最も低かった。11月および12月に接種を受けた小児については、インフルエンザと診断される可能性が低かったが交絡因子の存在が示唆されたという。米国・ハーバード大学医学大学院のChristopher M. Worsham氏らが、米国でインフルエンザワクチン接種を受けた2~5歳の小児約82万人を対象に行ったコホート試験の結果を報告した。結果を踏まえて著者は、「10月のワクチン接種促進の推奨と一致した結果が得られた」とまとめている。BMJ誌2024年2月21日号掲載の報告。

市中誤嚥性肺炎、嫌気性菌カバーは必要?

 誤嚥性肺炎の治療において、本邦では嫌気性菌カバーのためスルバクタム・アンピシリン(SBT/ABPC)などが用いられることがある。しかし、海外では誤嚥性肺炎の0.5%にしか嫌気性菌が認められなかったという報告もあり、米国胸部学会/米国感染症学会(ATS/IDSA)の市中肺炎ガイドライン2019では、嫌気性菌カバーは必須ではないことが記載された。また、2023年に実施されたシステマティックレビューにおいて、嫌気性菌カバーの有無により、誤嚥性肺炎患者に転帰の差はみられなかったことも報告されている。しかし、本レビューに含まれた論文は3本のみであり、サンプルサイズも小さく、結論を導くためには大規模研究が必要である。そこで、カナダ・クイーンズ大学のAnthony D. Bai氏らは、約4千例の市中誤嚥性肺炎患者を対象とした多施設後ろ向きコホート研究を実施した。その結果、嫌気性菌カバーは院内死亡リスクを低下させず、C. difficile大腸炎リスクを上昇させた。本研究結果は、Chest誌オンライン版2月20日号で報告された。

薬不足をリアルに感じている患者は2割/アイスタット

 近年では、都市部で24時間営業の薬局が出現したり、インターネットで市販薬が購入できたりと市販薬購入のハードルはさらに下がってきた。また、不急ではない病気やけがでは、医療機関に頼らず市販薬で様子をみるという人も多いのではないだろうか。  こうした「薬をもらうなら病医院へ」の常識が変わりつつある今、薬不足、オーバードーズなど薬に関する深刻な問題も顕在する。また、一般人のジェネリック医薬品(後発品)の服用状況や飲み切らなかった処方箋薬の扱いなどの実態を知るためにアイスタットは、薬に関するアンケート調査を2016年5月の第1回に続き、今回実施した。

RSウイルスの疾病負担、早産児で長期的に増大/Lancet

 早産児は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)関連疾患の負担が過度に大きく、乳幼児のRSVによる入院の25%が早産児であり、とくに早期早産児で入院のリスクが高く、この状態は生後2年目までは続くことが、中国・南京医科大学のXin Wang氏らRespiratory Virus Global Epidemiology Networkが実施したRESCEU研究で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2024年2月14日号に掲載された。  研究グループは、在胎週数37週未満で出生した乳幼児におけるRSV関連の重症急性下気道感染症(ALRI)の世界的な疾病負担とリスク因子の評価を目的に、系統的レビューとメタ解析を行った(EU Innovative Medicines Initiative Respiratory Syncytial Virus Consortium in Europeの助成を受けた)。

新たな薬剤耐性大腸菌の広がりに科学者が警戒

 中国の小児病院で、抗菌薬に耐性を持つ大腸菌が新たに確認された。英国の研究グループによると、中国の病院で最も一般的となった薬剤耐性大腸菌は、最後の砦とされるカルバペネム系抗菌薬にも耐性を持つ配列タイプ(sequence type;ST)410に属する大腸菌(ST410)であるが、中国の小児病院で発生した2件の大腸菌アウトブレイクの背景には、B5/H24RxCと呼ばれるST410より強毒性の大腸菌が関与していたことが判明したという。英バーミンガム大学微生物学・感染症研究所所長のAlan McNally氏らによる研究で、詳細は、「Nature Communications」に1月12日掲載された。

小児への15価肺炎球菌ワクチン、定期接種導入に向けて/MSD

 MSDが製造販売を行う15価肺炎球菌結合型ワクチン(商品名:バクニュバンス、PCV15)は、2022年9月に国内で成人を対象として承認を取得し、2023年6月には小児における肺炎球菌感染症の予防についても追加承認を取得した。小児への肺炎球菌ワクチンは、2013年4月に7価ワクチン(PCV7)が定期接種化され、2013年11月より13価ワクチン(PCV13)に切り替えられたが、2023年12月20日の厚生労働省の予防接種基本方針部会において、2024年4月から本PCV15を小児の定期接種に用いるワクチンとする方針が了承された。同社は2月22日に、15価肺炎球菌結ワクチンメディアセミナーを実施し、峯 眞人氏(医療法人自然堂峯小児科)が「小児における侵襲性肺炎球菌感染症の現状と課題」をテーマに講演した。

複雑性尿路感染症、CFPM/taniborbactam配合剤が有効/NEJM

 急性腎盂腎炎を含む複雑性尿路感染症(UTI)の治療において、セフェピム/taniborbactamはメロペネムに対する優越性が認められ、安全性プロファイルはメロペネムと同様であることが、ドイツ・ユストゥス・リービッヒ大学ギーセンのFlorian M. Wagenlehner氏らが15ヵ国68施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「Cefepime Rescue with Taniborbactam in Complicated UTI:CERTAIN-1試験」の結果、明らかとなった。カルバペネム耐性腸内細菌目細菌や多剤耐性緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)は、世界的な健康上への脅威となっている。セフェピム/taniborbactam(CFPM/enmetazobactam)は、β-ラクタムおよびβ-ラクタマーゼ阻害薬の配合剤で、セリンβ-ラクタマーゼおよびメタロβ-ラクタマーゼを発現する腸内細菌目細菌、および緑膿菌に対して活性を発揮することが示されていた。NEJM誌2024年2月15日号掲載の報告。

普段から活発な高齢者、新型コロナ発症や入院リスク低い

 健康のための身体活動(PA)は、心血管疾患(CVD)、がん、2型糖尿病やその他の慢性疾患の予防や軽減に有効とされているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や入院のリスク低下と関連することが、米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のDennis Munoz-Vergara氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2024年2月13日に掲載の報告。  本研究では、COVID-19パンデミック以前から実施されている米国成人を対象とした次の3件のRCTのコホートが利用された。