感染症内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:7

軽症~中等症の新型コロナ、経口simnotrelvirの早期投与は?/NEJM

 軽症~中等症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の成人患者において、simnotrelvir+リトナビルの早期投与(発症後72時間以内)は、明らかな安全性の懸念はなく、症状消失までの時間を短縮したことが、中国・中日友好医院のBin Cao氏らが1,208例を対象に行った第II/III相プラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果で示された。simnotrelvirは、中国で開発中の経口3-キモトリプシン様プロテアーゼ阻害薬で、in vitroでSARS-CoV-2に対する活性を示すことが見いだされ、第Ib相試験で有用である可能性が示されていた。NEJM誌2024年1月18日号掲載の報告。

ChatGPT、ワクチン忌避に関する質問を正確に処理

 ChatGPTは、ワクチン接種のためらいや安全性に関する質問に対して正確な回答を提供するが、時には不完全な場合もあるとの研究結果が、「Human Vaccines & Immunotherapeutics」に9月3日掲載された。  サンティアゴ・デ・コンポステーラ大学(スペイン)のAntonio Salas氏らは、ワクチンの安全性に関してインターネット上で流布している50の最も一般的な偽情報、真偽両方の禁忌、俗説についてチャットボットに質問することで、ワクチン接種のためらいに関する意見を生成するChatGPTの能力を検討した。

コロナワクチンとインフルワクチンで異なる、接種を躊躇する理由とは?

 米国・ハーバード大学T.H. Chan公衆衛生大学院のGillian K. SteelFisher氏らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症ワクチンとインフルエンザワクチンに対して、人々の有効性や安全性の捉え方、接種の意向、躊躇する理由などについて調査した。その結果、有効性については両ワクチンとも40%の人が非常に効果的だと考える一方で、インフルワクチンのほうがコロナワクチンに比べて安全性への信頼度が高く、同様に接種の意向も高いことが示された。JAMA Network Open誌2023年12月21日号Research Letterでの報告。  本調査は2023年7月7~16日に、米国の18歳以上の成人の確率に基づくサンプルを対象にアンケート調査を実施した。

スパイクバックス筋注の新規剤形、0.5mLバイアル製剤を承認申請/モデルナ

 Moderna(米国)の日本法人モデルナ・ジャパンは、2024年1月19日付のプレスリリースで、同日に新型コロナウイルスワクチン「スパイクバックス筋注」の新規剤形を、厚生労働省に承認申請したと発表した。  今回申請した新規の剤形は以下のとおり。 ・0.5mLバイアル製剤  この新規剤形は、2023年9月に開始された予防接種法上の特例臨時接種において使用されることはない。  モデルナ・ジャパンは、新型コロナウイルス感染症の感染状況が地域によっては第10波に入ったともいわれているため、一年を通した感染状況のモニタリングや、とくに高齢者や免疫不全といったリスクの高い人のワクチン接種の重要性について引き続き啓発していきたい、としている。

ビタミンDは高齢者の風邪を減らせるか、RCTで検証

 毎日のビタミンD補給がビタミンD欠乏症において急性呼吸器感染症のリスクを低下させたという報告がある一方で、異なる集団・条件下で行われた試験では無効という結果が報告されている。米国・ハーバード大学医科大学院のCarlos A. Camargo氏らは、ビタミンDとオメガ3脂肪酸の補給に関する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(VITAL)のデータを用いて高齢者の上気道感染症リスクに対するビタミンD補給の影響を評価した。Clinical Infectious Diseases誌オンライン版2023年12月19日号への報告。

口腔健康状態が誤嚥性肺炎の入院期間に影響/東京医科歯科大

 誤嚥性肺炎などでは、転帰に患者の口腔健康状態が関係することがよく知られている。それでは、その影響がさらにどのように作用するのであろうか。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科摂食嚥下リハビリテーション学分野の山口 浩平氏らの研究グループは、誤嚥性肺炎高齢患者の入院時口腔健康状態が院内転帰に及ぼす影響を前向きコホート研究で実施し、結果を報告した。口腔健康状態の悪い患者の入院期間は長くなる可能性があるというものだった。European Geriatric Medicine誌オンライン版2024年1月12日号の報告。

新型コロナJN.1が世界の主流株に、高い伝播力と免疫回避能/東大医科研

 2023年12月時点で、オミクロン株BA.2.86の子孫株であるオミクロン株JN.1が世界各地で流行を拡大し、JN.1は世界保健機関(WHO)により「注目すべき変異株(VOI)」に分類されている。東京大学医科学研究所の佐藤 佳氏らによる研究コンソーシアム「The Genotype to Phenotype Japan(G2P-Japan)」の研究で、JN.1は、これまで主流の1つだったXBB系統のEG.5.1より高い伝播力(実効再生産数)を有し、自然感染やワクチン接種により誘導される中和抗体に対しても高い回避能を有していることが認められた1)。本結果は、The Lancet Infectious Diseases誌オンライン版2024年1月3日号に掲載された。

国内初のRSVワクチン発売、対象は60歳以上/GSK

 グラクソ・スミスクライン/GSKは、60歳以上におけるRSウイルス(RSV)による感染症の予防を目的とした組み換えRSVワクチン「アレックスビー筋注用」を2024年1月15日に販売開始した。本ワクチンは、60歳以上を対象とした国際共同第III相無作為化比較試験「AReSVi-006試験」の結果に基づき、2023年9月25日に製造販売承認を取得している。  AReSVi-006試験の対象は、60歳以上の成人(医学的に安定している基礎疾患を有する者を含む)2万4,981例(日本人1,038例を含む)で、主要評価項目はRSV感染による下気道疾患の初回発現を指標とした予防効果であった。主要評価項目に関する有効率は82.6%であり、RSV感染による下気道疾患に対する本ワクチンの有効性が検証された。なお、日本人集団ではRSVによる下気道疾患の発現はみられなかった。

組み換え帯状疱疹ワクチン、接種回数別の4年後の効果

 組み換え帯状疱疹ワクチン(商品名:シングリックス)の2回接種は、臨床試験において有効率97%と非常に高い有効性を示しているが、実臨床における長期有効性は明らかになっていない。そこで、米国・Kaiser Permanente Northern CaliforniaのOusseny Zerbo氏らは、組み換え帯状疱疹ワクチンの実臨床における効果を調べた。その結果、1回接種の場合は有効性が1年後に低下したが、2回接種の場合は4年間の追跡期間において有効性が低下しなかった。本研究結果は、Annals of Internal Medicine誌オンライン版2024年1月9日号で報告された。

エムポックスワクチン、5分の1の投与量でも有効

 コンゴ民主共和国では2023年に入って以来、エムポックス(サル痘)の感染例が例年より大幅に多く、すでに何百人もの人が死亡している。こうした中、米ニューヨーク大学(NYU)の研究グループが、エムポックスワクチン(Jynneos)の5分の1の量を皮内接種することでも十分な感染予防効果が得られるとする研究結果を報告した。筆頭著者であるNYUグロスマン医学部の感染症専門医であるAngelica C. Kottkamp氏は、「ワクチン不足に直面した際の緊急措置として少量のワクチンを投与することの有効性が確認された」と述べている。この研究結果は、「The New England Journal of Medicine(NEJM)」12月14日号に掲載された。