救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:95

低体温療法の強化、新生児HIEの転帰を改善せず/JAMA

 低酸素性虚血性脳症(HIE)の新生児に対して72時間/33.5℃の低体温療法を行うと、死亡や機能障害が44~55%低減することが報告されているが、動物モデルでは冷却期間がより長く、冷却体温をより低くするほど良好な神経保護作用が得られる可能性が示唆されている。そこで、米国・ウエイン州立大学ミシガン小児病院のSeetha Shankaran氏らは、より強力な低体温療法の有用性を検討したが、アウトカムの改善は得られなかった。JAMA誌2014年12月24・31日号掲載の報告より。

非制限的な輸血でも長期死亡を抑制せず/Lancet

 心血管疾患あるいはリスク因子を有する高齢の高リスク群において、非制限的輸血戦略は制限的輸血戦略と比べて死亡率に影響を及ぼさないことが、米国ロバート・ウッド・ジョンソン大学病院のJeffrey L Carson氏らによる無作為化試験FOCUSの3年生存と死因分析の結果、報告された。死因について群間で差はみられず、著者は、「今回の所見は、輸血は長期的な免疫抑制に結び付き、長期的な死亡率に重篤な影響を与えるという仮説を支持しないものであった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年12月9日号掲載の報告より。

外傷性脳損傷後の早期プロゲステロン投与は有用か/NEJM

急性外傷性脳損傷のアウトカム改善に、プロゲステロン投与はプラセボと比較して、ベネフィットが認められないことが示された。米国・エモリー大学のDavid W. Wright氏らが、第III相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果、報告した。これまでに、外傷性脳損傷へのプロゲステロン投与については、複数の実験モデル検討や2件の単施設臨床試験で、神経学的アウトカムを改善することが示されていた。本検討では、大規模な多施設での検討により、プロゲステロンの早期投与の有効性を、重度、中等度~重度、中等度の急性外傷性脳損傷について調べることが目的であった。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン、第III相では無効/NEJM

 重度外傷性脳損傷後のプロゲステロン投与は、アウトカム改善効果は認められないことが示された。米国・ホフストラ大学医学部のBrett E. Skolnick氏らが、約1,200例の患者について行った無作為化第III相試験の結果、報告した。これまで、外傷性脳損傷に対するプロゲステロン投与については、動物実験や2つの無作為化第II相試験で、一貫した良好な結果が得られていた。NEJM誌オンライン版2014年12月10日号掲載の報告より。

SYNAPSE試験:重症の外傷性脳損傷(TBI)に対してプロゲステロンは無効(解説:中川原 譲二 氏)-296

 プロゲステロンについては、これまでに外傷性脳損傷(Traumatic brain injury: TBI)の動物モデルにおける確かな効果と、2件の第II相無作為化比較試験(SYNAPSE TrialとPROTECT III Trial)における臨床的有効性が見いだされていた。SYNAPSE Trial の研究者たちは、大規模で前向きの第III相無作為化比較試験 を実施し、プロゲステロンの有効性と安全性を検討したが、残念ながらプロゲステロンが無効であったことをNEJM誌の12月10日号に報告した。

小児への維持輸液、等張液とすべき/Lancet

 入院中小児患者への維持輸液について、等張液(ナトリウム濃度140mmol/L)の使用が低張液(同77mmol/L)使用よりも、低ナトリウム血症の発生リスクを低下し有害事象を増大しないことが明らかにされた。オーストラリア・メルボルン大学のSarah McNab氏らが無作為化対照二重盲検試験の結果、報告した。小児への維持輸液をめぐっては、低張液使用が低ナトリウム血症と関連しており、神経学的疾患の発生や死亡に結び付いていることが指摘されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「小児への維持輸液は、等張液を使用しなければならない」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月28日号掲載の報告より。

院外心停止時の機械的心肺蘇生、生存率改善せず/Lancet

 院外心停止時の心臓マッサージについて、機械的心肺蘇生(CPR)vs.徒手的CPRのアウトカムを比較した結果、両群の30日生存率は同等であったことが、英国・ウォーリック大学のGavin D Perkins氏らによる検討の結果、示された。心マは質の高い胸骨圧迫を維持したCPRが求められることから、機器使用のほうが有効ではないかとして普及が進んでいる。しかし、有効性のエビデンスはほとんど示されておらず、先行研究でもアウトカムを改善しないと報告されていた。今回の結果を踏まえて著者は、「先行研究の報告とも合わせて、機械的CPR法を普及させても、生存は改善しないことが示された」と述べ、「本研究により、機械的CPRが優位である点は認められないこと、および救急医療についての訓練および実践の難しさを強調するものとなった」とまとめている。Lancet誌オンライン版2014年11月16日号掲載の報告より。

早期経鼻栄養、感染症・死亡リスク低下せず/NEJM

 急性膵炎で合併症リスクの高い患者に対し、早期に経鼻栄養チューブによる経腸栄養を始めても、救急受診から72時間後に経口摂取を始め必要に応じて経管栄養を行う場合と比べ、主要な感染症や死亡リスクの低下に結び付かないことが示された。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのO.J.Bakker氏らが、208例の患者について行った多施設共同無作為化試験の結果、報告した。重症急性膵炎の患者に対しては、腸管からの感染症予防を目的として、早期に経鼻腸管栄養を開始することが多い。しかし、この戦略を支持するエビデンスは限定的だった。NEJM誌2014年11月20日号掲載の報告より。