泌尿器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ

日本発、期待の新薬をどう使うか?(解説:岡慎一氏)

islatravirは、世界初のエイズ治療薬AZTを開発した満屋 裕明博士が開発した日本発の新薬である。満屋氏は、これまでにも数多くの抗HIV薬を世に送り出し、抗HIV薬創薬の世界的権威であるが、その満屋氏が「この薬剤はすごい!」と話している。どうすごいかというと、とにかく試験管内での抗HIV効果がきわめて強いことと、細胞毒性が見られないらしい。要するに、「よく効いて安全である」ということになる。本臨床試験であるが、現在の非常に強力な3剤併用療法と、ドラビリンとの2剤の合剤1日1回服用を無作為割り付けで比較し、非劣性が証明されている。

HIV-1感染症、ARTからドラビリン+islatravir切り替えによる有効性・安全性を確認/Lancet

 HIV-1感染症治療においてドラビリン/islatravir配合錠は、有効かつ良好な忍容性を示す、初となる非インテグラーゼ阻害薬(INSTI)ベースの2剤併用療法として有望であることが、英国・ロンドン大学クイーン・メアリー校のChloe Orkin氏らによる第III相無作為化実薬対照非盲検非劣性試験で示された。すべての国際ガイドラインでは、INSTIを含むレジメンが第1選択薬として推奨されているが、INSTI耐性の出現を示すWHOのデータが示されたことから懸念が生じている。ドラビリン/islatravir配合錠は、2つの強力な抗ウイルス薬からなる開発中の1日1回投与の配合錠で、相補的な作用機序および耐性プロファイルを有する。

男性アスリート、競技前の禁欲はパフォーマンスに影響するか

 運動前の性的活動が運動パフォーマンスに及ぼす影響については、いまだに議論がされている。このテーマについて、スペインのバリャドリッド大学医学部神経生物学研究グループのDiego Fernandez-Lazaro氏の研究グループは、男性アスリートを対象に運動前のマスターベーションが、その後の運動に影響するかどうかを検討した。その結果、運動前のマスターベーションは、運動パフォーマンスにネガティブな影響を及ぼさないことがわかった。この結果は、Physiology&Behavior誌2026年4月号に掲載された。

泌尿器科ロボット支援手術、遠隔手術が現地手術に非劣性/BMJ

 泌尿器科領域のロボット支援手術(根治的前立腺全摘除術、腎部分切除術)では、遠隔手術は現地手術に対し成功率に関して非劣性であり、遠隔手術システムは1,000~2,800kmの距離で安定して稼働し、合併症や早期回復、腫瘍学的アウトカム、医療チームの作業負担などにも有意差を認めないことが、中国・Chinese PLA General HospitalのYe Wang氏らTeleS Research Groupが実施した「TeleS研究」で示された。研究の成果は、BMJ誌2026年1月28日号で報告された。

前立腺肥大症はうつ病および不安症のリスクと関連

 前立腺肥大症(BPH)はうつ病および不安症のリスク上昇と関連しており、うつ病に対する因果関係が遺伝的根拠によって支持されるとする研究結果が、「International Journal of Psychiatry in Clinical Practice」に11月5日掲載された。  中南大学湘雅第三医院(中国)のJinjing Guo氏らは、UKバイオバンクから得られた横断的・縦断的・遺伝的データを用いて、22万9,001人を対象にBPHとメンタルヘルスとの関連を検討した。ベースラインでの関連を評価したうえで、7年間追跡した5万1,805人および14.9年間追跡した17万1,228人における前向きリスク(ハザード)も評価した。因果関係の特定にはメンデルランダム化解析を用いた。

睡眠データから130種類の疾患リスクを予測可能か

 眠っている間に体はさまざまな「メッセージ」を発しており、それを読み取ることで将来の重大な病気のリスクを予測できる可能性のあることが、新たな研究で示された。「SleepFM」と呼ばれる人工知能(AI)を用いた実験的な睡眠基盤モデルは、ポリソムノグラフィー(PSG)データを用いて、約130種類の疾患・健康状態の将来のリスクを予測できるという。米スタンフォード大学医学部生物医学データサイエンス分野のJames Zou氏らによるこの研究の詳細は、「Nature Medicine」に1月6日掲載された。研究グループは、「SleepFMは、がん、妊娠合併症、心疾患、精神疾患など、非常に幅広い疾患の予測において高い性能を示した。また、全死亡リスクの予測も可能だった」と述べている。

日本人既婚男性の性機能が顕著に低下~30年前と比較

 本邦の男性不妊を対象とした研究では、勃起機能不全による不妊の増加が報告されている。そこで、佐藤 嘉一氏(三樹会泌尿器科病院)らの研究グループは、日本人男性を対象として1991年と2023年に実施された調査のデータを用いて、性機能、性交頻度の変化を検討した。その結果、2023年調査では、1991年調査と比較して既婚男性の勃起硬度、早朝勃起の頻度、性交頻度が低下していることが示された。とくに若年・中年層での性機能の低下が顕著であった。本研究結果はInternational Journal of Urology誌2026年1月号で報告された。  研究グループは、日本性機能学会が2023年に実施した全国調査(性機能障害全国実態調査:2023年調査)と、札幌医科大学泌尿器科が1991年に実施した調査(1991年調査)のデータを比較した。

加工食品、がん罹患リスクと関連する保存料は?/BMJ

 フランス・ソルボンヌ・パリ・ノール大学のAnais Hasenbohler氏らは大規模前向きコホート研究において、加工食品で広く使用されている保存料の摂取と、がん(全体、乳がん、前立腺がん)罹患率上昇に、複数の正の関連が観察されたことを報告した。保存料は、微生物や酸化による劣化を防ぐことで保存可能期間を延長する、包装食品に添加される物質。それら保存料については、in vivoおよびin vitroの実験的研究において、終末糖化産物(AGE)ならびに変異原性および潜在的発がん活性に関与する負の影響が示唆されていた。BMJ誌2026年1月7日号掲載の報告。

重度男性不妊、顕微授精時の着床前染色体検査は有益か?/BMJ

 重度男性不妊症で顕微授精(ICSI)を受けるカップルにおいて、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)の実施は非実施の場合と比べて、出生率を改善させなかったが、妊娠喪失率の低下は認められた。中国・Zhejiang University School of MedicineのXianhua Lin氏らが多施設共同非盲検無作為化対照試験の結果を報告した。PGT-Aは、生殖補助医療における移植胚の選択法として世界中で利用が増加している。これまでに後ろ向き研究で、出生率の改善が認められないことが報告されているが、前向き研究のエビデンスは不足していた。本検討の結果を踏まえて著者は、「コストの高さや母体および新生児へのリスクといった観点から、ICSIを受ける患者におけるPGT-Aの実施は慎重に検討すべきである」と述べている。BMJ誌2025年12月23日号掲載の報告。

単純性淋菌感染症、単回投与の新規抗菌薬zoliflodacinが有効/Lancet

 単純性淋菌感染症の治療において、zoliflodacinはセフトリアキソン+アジスロマイシンの併用療法に対して非劣性であり、安全性プロファイルは同等であることが、スイス・Global Antibiotic Research & Development PartnershipのAlison Luckey氏らZoliflodacin Phase 3 Study Groupが行った海外第III相無作為化非盲検非劣性試験の結果で示された。淋菌(N. gonorrhoeae)は複数の第1選択薬および第2選択薬に対して耐性を獲得しており、新たな治療薬の開発が世界的な公衆衛生上の最優先事項となっている。zoliflodacinは、新規作用機序で細菌のDNA複製を阻害するファーストインクラスの経口スピロピリミジントリオン系抗菌薬で、新たな標的(GyrB)を有し、多剤耐性菌株を含む淋菌に対して強力なin vitro活性を有することが示されていた。著者は、「本検討で示されたデータは、zoliflodacinが単純性淋菌感染症に有効な経口治療選択肢の1つとなりうる可能性を示唆するものである」とまとめている。Lancet誌オンライン版2025年12月11日号掲載の報告。