呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:60

コロナ感染、繰り返すほど重症化・後遺症リスク増

 新型コロナウイルスへの複数回の感染により、死亡と後遺症リスクは2倍超、入院リスクは3倍超になることが、米国・VAセントルイス・ヘルスケアシステムのBenjamin Bowe氏らによるコホート研究で明らかになった。新型コロナウイルスの感染による死亡や後遺症のリスクは知られているが、1回感染後の再感染によってそれらのリスクが高くなるかどうかは不明であった。Nature Medicine誌2022年11月10日掲載の報告。  調査は、2020年3月1日~2022年4月6日の米国退役軍人省の医療データベースを利用し、コロナ1回感染者44万3,588例、2回以上の複数回感染者4万947例(2回感染者3万7,997例[92.8%]、3回感染者2,572例[6.3%]、4回以上感染者378例[0.9%])、対照群として1回も感染していない未感染者533万4,729例を抽出し、死亡率、入院率、後遺症発現率を解析した。

肺がんの放射線治療期間の延長は患者の死亡リスクを上げる

 肺がん患者が放射線療法を予定通りに受けなかった場合、治療の延長期間が長くなるほど早期死亡リスクが高まるが、一部の患者では、放射線量を上げて治療することでそれを埋め合わせることができる可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。米フォックスチェイスがんセンターのPeter Lee氏らによるこの研究結果は、米国放射線腫瘍学会年次総会(ASTRO Annual Meeting 2022、10月23〜26日、米サンアントニオ)で発表された。  この研究では、2004年から2017年の間に化学療法と標準的な線量(59.4〜66.6Gy)での放射線療法を同時に受けたステージIIIの非小細胞肺がん患者2万6,101人のデータが解析された。患者は、全治療期間(OTT)の延長日数によって、延長なし、1〜3日、4〜6日、7〜9日、10〜12日、13〜15日、16日以上に分類された。

COVID-19入院患者におけるパキロビッド禁忌の割合は?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬のニルマトレルビル/リトナビル(商品名:パキロビッドパック、ファイザー)は、経口投与の利便性と、入院または死亡に対する高い有効性のため、多くのハイリスク患者にとって好ましい治療薬とされている。しかし、本剤は併用禁忌の薬剤が多数あるため、使用できる患者は限られる。フランス・Assistance Publique-Hopitaux de ParisのNicolas Hoertel氏らの研究グループは、重症化リスクの高いCOVID-19患者において、ニルマトレルビル/リトナビルが禁忌である割合について調査した。本結果は、JAMA Network Open誌2022年11月15日号のリサーチレターに掲載された。  本剤の禁忌については、リトナビルはチトクロームP450 3A(CYP3A)酵素を阻害し、CYP3Aの薬物代謝に高度に依存する薬剤の濃度を上昇させることで、重篤な副作用を引き起こす可能性がある。また、強力なCYP3A誘導薬との併用により、ニルマトレルビルの濃度が著しく低下し、抗ウイルス効果が失われる可能性がある。重度の腎機能障害もしくは肝機能障害を有する患者も本剤の禁忌とされた。これらの医学的禁忌は、重症化リスクが高いCOVID-19患者に広くみられる可能性がある。

塩野義のコロナ治療薬ゾコーバを緊急承認/厚生労働省

 厚生労働省は11月22日、塩野義製薬と北海道大学の共同研究から創製された3CLプロテアーゼ阻害薬の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬エンシトレルビル フマル酸(商品名:ゾコーバ錠125mg)を、医薬品医療機器等法第14条の2の2に基づき緊急承認した。緊急承認制度は2022年5月に新たに創設された制度で、薬剤の安全性の「確認」は前提とする一方で、有効性が「推定」できれば承認することができる。今回、本制度が初めて適用となった。同日開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会と医薬品第二部会の合同会議で、塩野義製薬が提出した第III相試験(第II/III相試験Phase 3 Part)の速報データに基づき緊急承認された。

コロナワクチン接種率の違いで死亡率に大きな差/JAMA

 2021年から2022 年にかけて、全世界で新型コロナワクチン接種が普及した一方、デルタ株とオミクロン株が流行した。米国・Brown School of Public HealthのAlyssa Bilinski氏らは、この期間におけるOECD加盟国中20ヵ国のワクチン接種率とCOVID-19死亡率、超過全死亡率を調査し報告した。米国については、ワクチン接種率上位10州と下位10州についても調査したところ、下位10州のCOVID-19死亡率は上位10州のほぼ倍だった。JAMA誌オンライン版2022年11月18日号のリサーチレターに掲載。  本研究では、ワクチン接種率は2022年1月時点で2回以上接種した人の割合とし、死亡率は2021年6月27日~2022年3月26日の死亡データを比較した。米国のデータはCDCから、その他の国のデータについては、COVID-19死亡率はWHO、全死亡率はOECD データベース、ワクチン接種率はOur World in Dataからそれぞれ入手した。  主な結果は以下のとおり。

喫煙と乾癬は因果関係にある

 乾癬は、喫煙とは因果関係にあるが、アルコールの摂取とは関連しないという研究結果が、「British Journal of Dermatology」に6月28日掲載された。  アルコール摂取と喫煙は乾癬リスクと関連することが報告されている。しかし、それらの因果関係に関する質の高いエビデンスを示して結論を導き出すことは、通常行われているような観察研究では困難である。  杭州医学院(中国)のJiahe Wei氏らは今回、アルコールの摂取や喫煙と乾癬の関連性を調べた。GSCANコンソーシアム(Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)が発表した大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)から、アルコール摂取(N=94万1,280)、喫煙開始(N=123万2,091)、1日当たりの喫煙量(N=33万7,334)、禁煙(N=54万7,219)に関する遺伝子多型のデータを抽出した。生涯の喫煙量(N=46万2,690)に関するGWASの結果は、UKバイオバンクから入手した。乾癬の要約統計は、乾癬患者1万9,032人と対照28万6,769人から成る8つのコホートを対象にした最近のGWASメタアナリシス、および乾癬患者4,510人と対照21万2,242人から成るFinnGenから得た。アルコール摂取、喫煙と、乾癬との遺伝的相関をLDスコア回帰(linkage disequilibrium score regression)で検討した。また、ゲノムワイド有意水準(P<5×10−8)に達した、独立した遺伝的バリアントを用いて、双方向メンデルランダム化(MR)解析により因果の方向性の評価を行った。

マスク要請解除で学校のコロナ感染増、職員で顕著/NEJM

 米国マサチューセッツ州のグレーターボストン地域の学区で、州全体のマスク着用方策の撤回から15週の期間に、マスク着用要請を解除した学区の小中学校はこれに応じずに着用要請を続けた学区の学校と比較して、生徒と学校職員における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の罹患者が1,000人当たり44.9人多かったことが、米国・ハーバード公衆衛生大学院のTori L. Cowger氏らの調査で明らかとなった。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2022年11月9日号で報告された。  2022年2月28日、マサチューセッツ州は、公立学校におけるユニバーサルマスキング方策を州全体で撤回し、その後の数週間に多くの学区で生徒や職員へのマスク着用要請が解除された。グレーターボストン地域では、ボストン地区と近隣のチェルシー地区の2つの学区だけが、2022年6月までマスク着用要請を続けた。  研究グループは、この変更された方策の実施の時間差に関して差分の差分分析を行い、グレーターボストン地域で2021~22年の学年度中にマスク着用要請を解除した地区と、この要請を継続した地区で、生徒と職員におけるCOVID-19の罹患率を比較した。  グレーターボストン地域の72学区(生徒29万4,084人、学校職員4万6,530人)が解析の対象となった。方策撤回後1週目は、要請解除が46学区、継続は26学区で、2週目にはそれぞれ63学区および9学区に、その後は70学区および2学区となった。

AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネル、KRAS G12C変異肺がんのコンパニオン診断薬として承認/理研ジェネシス

 理研ジェネシスは、2022年11月14日、AmoyDx肺癌マルチ遺伝子PCRパネルが、KRAS G12C変異陽性に適応する薬剤のコンパニオン診断薬の承認を取得したと発表した。  これにより同製品は、がん化学療法後に増悪したKRAS G12C変異陽性の切除不能進行・再発非小細胞肺がん患者に対するソトラシブ(商品名:ルマケラス)の適応判定の補助に使用可能となる。

コロナで日本の未成年者の自殺率とその理由が変化

 新型コロナウイルス感染症のパンデミック中に、日本の若年者(10~19歳)の自殺率はパンデミック前と比較して増加し、家族問題や人間関係の問題に起因する自殺が増加していたことを、東京大学医学部附属病院の後藤 隆之介氏らが明らかにした。パンデミックにより学校閉鎖などの前例のない感染防止対策が講じられ、若年者に多くのメンタルヘルスの課題をもたらしたが、これまでパンデミック中の若年者の自殺の傾向やその理由を調査した研究はほとんどなかった。The Lancet regional health. Western Pacific誌2022年8月10日掲載の報告。