呼吸器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:342

CT検出の肺動脈拡張、COPDの重度増悪と関連

 CTによって検出される肺動脈拡張(PA:A比>1)は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)重度増悪のリスク因子であることが、米国・アラバマ大学バーミングハム校のJ. Michael Wells氏らによる多施設共同観察試験の結果、明らかにされた。COPDの増悪は、肺機能の急激な低下および死亡と関連し、それらイベントリスクのある、とくに入院を要するような患者を同定することは重要とされる。急性増悪の予測として重度肺高血圧症があるが、これは進行したCOPDの重大な合併症である。一方で、肺血管の異常はCOPD早期に発生する。そこで研究グループは、CTで検出した肺血管疾患とCOPDの重度増悪との関連について検討した。NEJM誌2012年9月6日号(オンライン版2012年9月3日号)掲載報告より。

肺移植、喫煙ドナー肺はレシピエントの予後を改善するか?

 喫煙ドナー肺の移植を受けた患者の移植後3年間の生存率は、非喫煙ドナー肺の移植を受けた患者に比べ不良だが、非喫煙ドナー肺の提供を待ち続けるよりは良好なことが、英国・バーミンガム大学病院のRobert S Bonser氏らの検討で示された。肺移植の臓器選択基準では、当初、ガス交換機能がほぼ完全な若いドナー肺のみが適応とされたが、移植治療の進歩に伴い基準が見直され、喫煙歴のあるドナー肺の移植も行われている。喫煙ドナー肺はレシピエントの生存に有害な影響を及ぼすことが懸念されるが、喫煙ドナーを除外するとドナー数が減り、移植を待つ患者の生命を脅かす可能性があるため、喫煙ドナー肺のリスクの正確な評価が求められている。Lancet誌2012年8月25日号(オンライン版5月29日号)掲載の報告。

低・中所得国は男性喫煙率が高く、女性の開始年齢が若年化:30億人の解析

 低・中所得国は英米に比べ、男性の喫煙率が高く、女性の喫煙開始時期が男性と同じ年齢に若年化しつつあり、禁煙率も低いことが、米国・ニューヨーク州立大学バッファロー校のGary A Giovino氏らGATS Collaborative Groupの調査で明らかとなった。現在、喫煙に起因する死亡率は高所得国が18%、中所得国が11%、低所得国は4%だが、喫煙率は高所得国で低下傾向にあるのに対し、低・中所得国では増加し死亡率も上昇している。WHOによれば、毎年約600万人が喫煙関連の原因で死亡しており、このままでは21世紀中に世界で約10億人が喫煙が原因で若年死するとされるが、低・中所得国の喫煙状況に関する信頼性の高いデータはないという。Lancet誌2012年8月18日号掲載の報告。

アジスロマイシン、非嚢胞性線維症性気管支拡張症の増悪を抑制:EMBRACE試験

 アジスロマイシン(商品名:ジスロマック)は、嚢胞性線維症を原因としない気管支拡張症におけるイベントベースの増悪の予防治療として有効なことが、ニュージーランド・Middlemore病院(マヌカウ市)のConroy Wong氏らが実施したEMBRACE試験で示唆された。気管支拡張症は好中球性の気道炎症、慢性的な細菌感染、繰り返す肺の病態の増悪で特徴づけられ、大量の喀痰を伴う重篤な咳嗽や進行性の肺機能低下、QOL低下をきたし、死亡率の上昇をもたらす可能性がある。アジスロマイシンは抗炎症作用および免疫調節作用を有するマクロライド系抗菌薬で、嚢胞性線維症の病態の増悪を抑制することが示されている。Lancet誌2012年8月18日号掲載の報告。

うつ病はCOPD増悪・入院の独立した危険因子:久留米大学

 慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者はうつ病や睡眠障害を合併することが多いと言われている。そして、合併することで健康関連QOL(HRQOL)に悪影響を及ぼす。久留米大学 伊藤氏らはCOPD患者におけるうつ病および睡眠障害の影響を検討した。Respirology誌2012年8月号の報告。  40歳以上のCOPD患者85名とコントロール群46名のうつ病および睡眠障害に関して12ヵ月間調査を行った。COPDの診断にはスパイロメトリー、動脈血ガス分析を実施。HRQOLの評価尺度であるSGRQ(St. George's Respiratory Questionnaire)、うつ病自己評価尺度(CES-D: Center for Epidemiologic Studies Depression)、ピッツバーグ睡眠質問票(PSQI:Pittsburgh Sleep Quality Index)により評価した。