整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:10

仲間と行う運動は認知機能低下を抑制する/筑波大学・山口県立大学

 高齢者にとって運動習慣を維持することは、フレイルやサルコペニアの予防に重要な役割を果たすとともに、認知症予防に有効であることが知られている。ただ、近年では孤立しがちな高齢者も多く、こうした高齢者が1人で運動した場合とそうでない場合では、認知機能の障害に違いはあるのであろうか。  大藏 倫博氏(筑波大学体育系 教授)らの研究グループは、高齢者4,358人を対象に「1人で行う運動や仲間と行う運動は、どの程度実践されているのか」および「どちらの運動が認知機能障害の抑制に効果があるのか」について、4年間にわたる追跡調査を行った。  その結果、高齢者の多くが実践しているのは、1人で行う運動であり、週2回以上の実践者が40%を超える一方で、仲間と行う運動の週2回以上の実践者は20%未満にとどまることがわかった。また、認知機能障害の抑制効果については、どちらの運動についても週2回以上の実践では、統計的な抑制効果が認められたが、1人で行う運動(22%のリスク減)よりも、仲間と行う運動(34%のリスク減)の方がより強い抑制効果を示すことが判明した。Archives of Gerontology and Geriatrics誌2022年12月23日号(オンライン先行)からの報告。

人工知能は、放射線科専門医試験に合格できるのか?/BMJ

 英国の放射線科医は、研修を修了する前にFRCR(Fellowship of the Royal College of Radiologists)試験に合格する必要がある。英国・Great Ormond Street Hospital for ChildrenのSusan C. Shelmerdine氏によると、人工知能(AI)が、この試験の3つの構成要素のうち迅速報告と呼ばれる試験に合格できるかを検討した「FRCR-AI試験」の結果、AIは人間と同様の厳しい基準で採点された場合は10回の模擬試験のいずれにも合格できなかったが、訓練を受けていないため読影不能な画像を除外すると、全体の平均正答率は79.5%で、10回中2回の模擬試験に合格したという。研究の詳細は、BMJ誌2022年12月21日号で報告された。

職場での粉じんなどの吸入で関節リウマチのリスクが増大

 職場で吸入する空気により、関節リウマチ(RA)の発症リスクが高まることがあるようだ。カロリンスカ研究所(スウェーデン)のBowen Tang氏らが実施した研究で、職場で蒸気やガス、溶剤などから生じる粉じんやヒューム(物質の加熱や昇華により生じる粉じんや煙霧、揮発性粒子など)に曝されることで、RAの発症リスクが増大することが明らかにされた。そればかりか、そのような物質への曝露は、喫煙や遺伝的にRAになりやすい傾向の悪影響を増長する可能性のあることも示唆されたという。この研究の詳細は、「Annals of the Rheumatic Diseases」に12月6日掲載された。

首・腰痛、姿勢療法は医療費増大/JAMA

 急性または亜急性の頸部痛/腰痛を有する患者において、集学的な生物心理社会的介入または個別化姿勢療法は、いずれも経過観察と比較して3ヵ月後の疼痛関連障害スコアをわずかではあるが統計学的に有意に改善した。ただし、個別化姿勢療法では1年間の脊椎関連医療費が経過観察より有意に増加した。米国・ブリガム&ウィメンズ病院・ハーバード大学医学大学院のNiteesh K. Choudhry氏らが、米国の33施設で実施した3群の実用的非盲検クラスター無作為化試験「SPINE CARE試験」の結果を報告した。JAMA誌2022年12月20日号掲載の報告。  SPINE CARE試験の対象は、持続期間が3ヵ月以内の頸部痛または腰痛を主訴に来院した18歳以上の患者であった。過去3ヵ月間に、連続して7日以上麻薬を服用、あるいは6回以上の理学療法・カイロプラクティック治療・鍼治療・姿勢療法などを受けたことがある患者、過去6ヵ月以内に脊椎の手術・注射または神経根切断術を受けたことがある患者などは除外した。

過体重・肥満の膝OA疼痛、食事・運動療法は有効か/JAMA

 過体重または肥満の変形性膝関節症患者では、18ヵ月間の食事療法と運動療法を組み合わせたプログラムは生活指導のみの場合と比較して、わずかだが統計学的に有意な膝痛の改善をもたらしたものの、この改善の臨床的な意義は不明であることが、米国・ウェイクフォレスト大学のStephen P. Messier氏らが実施した「WE-CAN試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌2022年12月13日号に掲載された。  WE-CAN試験は、米国ノースカロライナ州の3つの郡(都市部1郡、農村部2郡)で行われた無作為化臨床試験であり、2016年5月~2019年8月の期間に参加者の登録が行われた(米国国立関節炎・骨格筋/皮膚疾患研究所[NIAMS]の助成を受けた)。

コロナ感染後の手術、間隔が長いほど術後の心血管疾患リスク減

 SARS-CoV-2感染から手術までの間隔が長くなるほど、術後の主要心血管イベント複合転帰のリスクが低くなることを、米国・ヴァンダービルト大学医療センターのJohn M. Bryant氏らが単一施設の後ろ向きコホート研究によって明らかにした。JAMA Netw Open誌2022年12月14日号掲載の報告。  これまで、複数の研究によってSARS-CoV-2感染と手術後の死亡率増加の関連が報告されているが、手術までの期間と死亡率の関連性についてはまだ不十分であった。そこで研究グループは、SARS-CoV-2感染から手術までの期間が短いほど、術後の心血管イベントの発生率が上がると仮説を立て、手術後30日以内の心血管イベントリスクを評価することにした。

ビメキズマブ、乾癬性関節炎の症状を改善/Lancet

 腫瘍壊死因子α(TNFα)阻害薬の効果が不十分または不耐の乾癬性関節炎患者の治療において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週の時点での関節および皮膚の症状の改善効果が有意に優れ、安全性も良好であることが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが実施した「BE COMPLETE試験」で示された。ビメキズマブは、インターロイキン(IL)-17FとIL-17Aの双方を選択的に阻害するヒト化モノクローナルIgG1抗体。IL-17FまたはIL-17Aのいずれかの単独阻害と比較して、in vitroでの炎症性サイトカインの反応をより効果的に抑制することが知られている。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2022年12月5日号で報告された。

bDMARD未治療の乾癬性関節炎、ビメキズマブの有効性は?/Lancet

 生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(bDMARD)による治療歴がない乾癬性関節炎患者において、ビメキズマブはプラセボと比較して、16週時の関節、皮膚、画像的な有効性アウトカムについて有意な改善が認められた。真菌感染の発現を含むビメキズマブの安全性プロファイルは、尋常性乾癬患者を対象にしたIL-17A阻害薬のこれまでの第III相試験結果と一致していた。英国・グラスゴー大学のIain B. Mclnnes氏らが、14ヵ国135施設で実施された52週間の第III相無作為化二重盲検プラセボ対照実薬(アダリムマブ)参照試験「BE OPTIMAL試験」の結果を報告した。ビメキズマブは、IL-17AおよびIL-17Fを選択的に阻害するモノクローナルIgG1抗体で、ビメキズマブの有効性と安全性は並行して実施されたBE OPTIMAL試験とBE COMPLETE試験の2つの第III相試験で検証された。Lancet誌オンライン版2022年12月6日号掲載の報告。

鎮痛薬のNSAIDで膝関節症が悪化?

 変形性膝関節症に対し、一般用医薬品(OTC医薬品)としても販売されているアスピリンやナプロキセン、イブプロフェンといった鎮痛薬を使用しても、進行を遅らせる効果がないばかりか、むしろ悪化させる可能性もあることが、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)のJohanna Luitjens氏らの研究で示された。この研究結果は、北米放射線学会年次学術集会(RSNA 2022、11月27~12月1日、米シカゴ)で発表された。  非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)には炎症を惹起する体内の化学物質の産生を抑制する作用がある。NSAIDの中で最も広く使用されているのが、アスピリンやイブプロフェン、ナプロキセンである。これらの薬剤は、薬局や食料品店でもOTC医薬品として購入できる。NSAIDは関節炎の痛みを短期的に緩和するために広く使用されているが、長期的な効果については明確にされていない。

除脂肪量指数でサルコペニアをスクリーニング

 比較的簡便な体組成の評価方法である、生体インピーダンス(BIA)法で測定した除脂肪量指数〔FFMI(除脂肪量(kg)を身長(m)の二乗で除した値)〕が、サルコペニアの低筋肉量スクリーニングに利用できる可能性を示唆するデータが報告された。早稲田大学スポーツ科学研究センター招聘研究員・明治安田厚生事業団体力医学研究所の川上諒子氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Medical Directors Association」に9月27日掲載された。  サルコペニアは筋肉量や筋力が低下した状態のことで、要介護などのリスクが上昇するため、早期介入による是正が重要。サルコペニア診断の低筋肉量判定には、二重X線エネルギー吸収測定(DXA)法または生体インピーダンス法による四肢筋肉量(ASM)の測定が必要とされる。このうち特に前者のDXA法は、測定機器が大型で可動性が乏しく健診会場などへ移動が困難なことや、コストや被曝の懸念があることが、現場での利用のハードルとなっている。後者のBIA法は機器に可動性があり、比較的低コストで被曝の懸念もないものの、ASMの測定が可能な機器はあまり普及していない。その一方で、除脂肪量指数(FFMI)であれば家庭用に普及している体組成計でも評価可能である。