整形外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:3

肥満の変形性関節症患者での減量は「ゆるやかに」が重要

 肥満症治療薬を使って体重を徐々に落とすことは変形性関節症(osteoarthritis;OA)患者の延命に役立つことが、新たな研究で明らかになった。ただし、急速な減量は、生存率の改善には寄与しないばかりか、場合によっては心血管疾患のリスクをわずかに上昇させる可能性も示された。中南大学(中国)のJie Wei氏らによるこの研究の詳細は、「Arthritis & Rheumatology」に12月6日掲載された。  肥満は関節炎の悪化要因である上に、早期死亡のリスク因子でもある。現行のガイドラインでは、過体重や肥満の変形性膝関節症/変形性股関節症の患者に対しては減量が推奨されているが、OA患者での減量と死亡との関連に関するデータは少ない。

性腺機能低下症のテストステロン補充、骨折リスクを増大/NEJM

 性腺機能低下症の中年以上の男性において、テストステロン補充療法はプラセボと比較し臨床的骨折の発生率を低下させることはなく、むしろ同発生率は数値的には増加していた。米国・ペンシルベニア大学のPeter J. Snyder氏らが、テストステロン補充療法の心血管安全性を評価した無作為化二重盲検プラセボ対照試験「TRAVERSE試験」のサブ試験の結果を報告した。性腺機能低下症の男性におけるテストステロン補充療法は、骨密度や骨質を改善することが報告されているが、骨折リスクを減少させるかどうかの判断には十分な症例数と期間による試験が必要であることから、TRAVERSE試験のサブ試験として検討が行われていた。NEJM誌2024年1月18日号掲載の報告。

過去1年に転倒、骨折リスクがより高いのは男性?女性?

 転倒するとその後の骨折リスクが上昇することはよく知られている。今回、オーストラリア・Australian Catholic UniversityのLiesbeth Vandenput氏らが、日本のコホートを含む46の前向きコホートにおけるデータの国際的なメタ解析で、転倒歴とその後の骨折リスクとの関連、性別、年齢、追跡期間、骨密度との関連について評価した。その結果、男女とも骨密度にかかわらず、過去1年間の転倒歴が骨折リスクを上昇させ、また女性より男性のほうがリスクが高まることが示唆された。Osteoporosis International誌オンライン版2024年1月17日号に掲載。

顎関節症による慢性疼痛に有効な介入とは/BMJ

 顎関節症(TMD)に伴う慢性疼痛の管理では、エビデンスの確実性が「中」または「高」の臨床試験に限定すると、バイオフィードバック療法またはリラクゼーション療法で補強した認知行動療法(CBT)や、顎関節のモビライゼーションなどの、対処を促す介入や、顎関節の可動を促進する介入が最も効果的であることが、中国・蘭州大学のLiang Yao氏らの検討で示された。研究の成果は、BMJ誌2023年12月15日号に掲載された。  研究グループは、顎関節症に伴う慢性疼痛に対する種々の治療法の有効性を比較検討する目的で、無作為化臨床試験(RCT)の系統的レビューとネットワークメタ解析を行った(Chronic Pain Centre of Excellence for Canadian Veteransの助成を受けた)。

動物病院での猫の不安を軽減する薬を米FDAが承認

 猫を飼っている人なら、猫を獣医師のもとへ連れていくことが猫と飼い主の双方にとっていかにストレスとなるかを経験的によく知っているだろう。米食品医薬品局(FDA)は11月17日、このような猫の不安を軽減する新薬を承認したことを発表した。FDAは、Bonqatと呼ばれるこの抗不安薬は、「移動中や動物病院での診察時に猫が感じる不安や恐怖を和らげるように設計されている」とニュースリリースで説明している。  Bonqatは、過活動状態にある神経を鎮める薬物であるプレガバリンを含む、初のFDA承認薬だ。FDAの説明によると、同薬は、猫を連れて移動するか、または動物病院で診察を受ける1時間半ほど前に経口投与すればよい。投与は2日間連続で可能である。

好きな音楽が痛みを軽減する可能性を示す新研究

 好きな音楽を聴くと痛みが和らぐ可能性のあることが、新たな研究で示唆された。これまでにも、音楽が鎮痛薬の代わりになる可能性については研究されてきたが、今回、音楽を聴いているときの感情的反応が痛みの緩和に大きな役割を果たすことが示されたという。マギル大学(カナダ)のDarius Valevicius氏らによるこの研究の詳細は、「Frontiers in Pain Research」に10月25日掲載された。

ステロイド処方医は知っておきたい、グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症のガイドライン改訂

 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』が8月に発刊。本書は、ステロイド薬処方医が服用患者の骨折前/骨密度低下前の管理を担う際に役立ててもらう目的で作成された。また、ステロイド性骨粗鬆症の表現にはエストロゲン由来の病態も含まれ、海外ではステロイド性骨粗鬆症と表現しなくなったこともあり、“合成グルココルチコイド(GC)服用による骨粗鬆症”を明確にするため、本改訂からグルココルチコイド誘発性骨粗鬆症(GIOP)と表記が変更されたのも重要なポイントだ。9年の時を経て治療薬に関する膨大なエビデンスが蓄積された今回、ガイドライン作成委員会の委員長を務めた田中 良哉氏(産業医科大学第一内科学講座 教授)に、GIOPにおける治療薬の処方タイミングや薬剤選択の方法などについて話を聞いた。

地中海食と運動の組み合わせは脂肪の燃焼と筋肉量の増加に有効

 色とりどりの野菜や果物、健康的な脂質、脂肪分の少ないタンパク質が豊富な地中海食と、定期的な運動およびカロリー制限の組み合わせは、高齢者の腹部の脂肪(内臓脂肪)の減少と筋肉量の増加に役立つことが、スペインで実施された研究で明らかにされた。バレアレス諸島保健研究所(スペイン)のDora Romaguera氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に10月18日掲載された。  内臓脂肪は炎症の原因となることが知られており、心疾患や脳卒中、糖尿病、特定のがんと関連することも示されている。一方、筋肉量は加齢とともに減少することが知られており、筋肉量が減少すると、筋力低下や運動能力の低下、転倒の可能性が高くなる。

20分強の身体活動でも座位時間の悪影響を相殺できる可能性

 座位時間が長い人では死亡リスクが高まるが、1日にわずか20分強の中強度から高強度の身体活動(moderate-to-vigorous physical activity;MVPA)を行うことで、そのリスクを相殺できる可能性が、新たな研究で示唆された。ノルウェー北極大学(UiT)のEdvard Sagelv氏らによるこの研究の詳細は、「British Journal of Sports Medicine」に10月24日掲載された。Sagelv氏は、「何らかの理由で1日の大半を座位で過ごす人でも、少量の身体活動を行うことで死亡リスクは大幅に低減し得る」と述べている。

マウンテンバイクはそんなに危険でない

 一見けがのリスクが高そうに思えるマウンテンバイクは、実はそれほど危険な乗り物ではないとする研究結果が報告された。カーティン大学(オーストラリア)のPaul Braybrook氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に8月30日掲載された。マウンテンバイク利用に伴うけがの大半は軽度の切り傷や打撲などにとどまることから、健康のためのスポーツの良い選択肢の一つと言えるという。  近年、自然環境でのサイクリングやジョギング、ハイキングなどの「トレイル」と呼ばれるアウトドアスポーツの人気が、世界的に高まっている。Braybrook氏は、「それらのスポーツ中に発生する傷害に対する医療体制を整えるために、傷害のリスクやタイプを把握する必要があった」と、この研究の背景を述べている。そこで同氏らは、既報研究を対象とするシステマティックレビューにより、その実態の把握を試みた。