腫瘍科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:174

根治療法前の高リスク前立腺がん患者を対象としたPSMA PET-CTの有用性:多施設前向きランダム化試験(解説:宮嶋哲氏)-1213

本研究は、2017年から2018年にオーストラリアの10施設において、高リスク前立腺がんに対して手術または放射線治療の根治療法を予定していた302症例を対象とし、従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)とPSMA PET-CTの有用性を比較したprospective randomized studyである。cT3以上高リスク前立腺がんと診断された302症例をランダム化して、半数が従来の画像検査(CTと骨シンチグラフィ)を、残りの半数がPET-CTを施行された。その2週間後に、同じ両患者群を対象に画像検査をクロスオーバーさせてセカンドラインとして画像検査を行い比較検討している。

乳房全摘後の即時再建術、術後合併症が再発率に影響か

 乳房切除術後の即時乳房再建において、術後合併症の発症率が比較的高い。今回、韓国・成均館大学のK-T Lee氏らの研究から、術後合併症発症が即時再建後の生存と再発に悪影響を与える可能性が示唆された。British Journal of Surgery誌オンライン版2020年4月4日号に掲載。  本研究では、2008~13年に乳房全摘術と即時再建を実施した乳がん患者438例を5年以上追跡し、術後合併症の腫瘍学的転帰に及ぼす影響について多変量Cox回帰分析を用いて評価した。

「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」公開/日本乳癌学会

 4月から遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)の既発症者に対する、リスク低減乳房切除術(RRM)、乳房再建術ならびにリスク低減卵管卵巣摘出術(RRSO)が保険収載となった。これを受けて日本乳癌学会では、4月1日にホームページ上で「遺伝性乳がん卵巣がん症候群の保険診療に関する手引き」を公開している。なお、手引きの冒頭では、本手引きがガイドラインあるいはガイダンスではなく、エビデンスが蓄積していない内容も含まれると説明。そのため、HBOC診療に当たっては施設内で医療者のコンセンサスと患者・家族への十分な説明を求めるとともに、手引きについては今後もバージョンアップを図っていくと記されている。

ペムブロリズマブによるMSI-H大腸がん1次治療、無増悪生存期間を改善/Merck

 Merck社は、2020年4月2日、切除不能または転移を有するMSI-H/dMMRの結腸直腸がんに対するキートルーダの1次治療を評価する第III相 KEYNOTE-177試験において、2つの主要評価項目の1つ無増悪生存期間(PFS)を達成したと発表。  独立データ監視委員会(DMC)による中間解析では、化学療法(mFOLFOX6またはFOLFIRI ±ベバシズマブまたはセツキシマブ)と比較し、ペムブロリズマブ単剤療法は統計的に有意で臨床的に意味のあるPFSの改善を示した。

デュルバルマブの小細胞肺がん、FDA承認/アストラゼネカ

 アストラゼネカは、3月30日、抗PD-L1抗体デュルバルマブ(一般名:イミフィンジ)が、成人の進展型小細胞肺がんに対する1次治療として標準治療である化学療法(エトポシド+カルボプラチンまたはシスプラチン)との併用療法で、米国において承認されたことを発表した。  今回の米国食品医薬品局による承認は、第III相CASPIAN試験の結果に基づくもの。 CASPIAN試験では2つの主要評価項目を設定し、デュルバルマブと化学療法の併用療法群と化学療法群を比較した。

血漿TMBはペムブロリズマブの肺がん治療の効果予測因子となるか/Clin Cancer Res

 進行非小細胞肺がん(NSCLC)に対するペムブロリズマブの標準1次治療としての効果の予測に、血漿中の腫瘍遺伝子変異量(pTMB)が有用である可能性が示された。米国・ペンシルベニア大学のCharu Aggarwal氏らによる、転移のあるNSCLC患者を対象としたパイロット試験の結果、pTMB値≧16mut/Mbと無増悪生存(PFS)期間改善の関連が示されたという。また、そのような高pTMB患者のうち、持続的臨床効果(DCB)が期待できない患者の特定に、STK11、KEAP1、PTENおよびERBB2変異の情報が役立つ可能性も示された。著者は「今回の結果は、大規模な前向き研究で検証する必要がある」とまとめている。Clinical Cancer Research誌オンライン版2020年2月26日号掲載の報告。

3次医療機関でのがん患者の新型コロナ感染率/JAMA Oncol

 がん患者は治療やモニタリングのために通院機会が多いことから、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に感染するリスクが高い。さらに化学療法や放射線療法は免疫を抑制する。今回、中国・武漢大学中南病院のJing Yu氏らが、武漢の3次医療機関のがん患者においてSARS-CoV-2感染率と転帰を調査した結果、がん患者の入院および通院がSARS-CoV-2感染の潜在的なリスク因子であることが示唆された。とくに高齢患者(60歳以上)と非小細胞肺がん(NSCLC)患者に感染者が多かったという。JAMA Oncology誌オンライン版2020年3月25日号に掲載。

早期トリプルネガティブ乳がんに対するペムブロリズマブ+術前化学療法:pCR率が13.6%増加(解説:下村昭彦氏)-1209

本試験は、臨床病期IIからIIIの早期トリプルネガティブ乳がん(triple negative breast cancer:TNBC)に対して術前化学療法にペムブロリズマブを追加する効果を病理学的完全奏効(pathological complete response:pCR)率と無イベント生存期間を用いて評価した第III相試験であり、ペムブロリズマブ群でpCR率64.3%(95%CI:59.9~69.5)、プラセボ群で51.2%(95%CI:44.1~58.4)と、ペムブロリズマブ群で有意に良好であった。メラノーマで最初に有効性が示された免疫チェックポイント阻害薬も、あっという間にさまざまながん種で有効性が示され、他がん種ではすでに日常臨床で多く使われるようになった。乳がんにおいてもその有効性が期待されていたが、昨年の欧州臨床腫瘍学会で発表されたKEYNOTE-119が示すように、免疫原性が高いとされるTNBCであっても単剤での有効性は示せていない。転移TNBCにおいてはすでに抗PD-L1抗体であるアテゾリズマブとアルブミン結合パクリタキセルの有効性が示され、国内でも承認されている。また、転移TNBCに対するペムブロリズマブと化学療法併用の有効性もプレスリリースされており、転移TNBCにおいては免疫チェックポイント阻害薬と化学療法の併用は重要な選択肢の1つとなっている。

固形がんに対するリキッドバイオプシー、「FoundationOne Liquid CDx」の国内申請/中外

 中外製薬は、2020年03月31日、固形がんに関連する包括的ゲノムプロファイリングを提供するリキットバイオプシー検査として、「FoundationOne Liquid CDx(海外製品名)」に対する製造販売承認申請を厚生労働省に行ったと発表。  「FoundationOne Liquid CDx」は米国・ケンブリッジに拠点を置くファウンデーションメディシン社が開発した次世代シークエンサーを用いた包括的ながん関連遺伝子解析システム。進行固形がんの患者を対象とし、血液中の循環腫瘍DNA(ctDNA: circulating tumor DNA)を用いることで、がんの遺伝子変異を検出するリキットバイオプシー検査である。米国では、2018年4月に米国食品医薬品局(FDA)よりBreakthrough Device指定を受けている。

ニボルマブ+イピリムマブ、化学療法との併用で非小細胞肺がんに承認申請/小野・BMS

 小野薬品工業とブリストル・マイヤーズ スクイブは、2020年3月26日、抗PD-L1抗体ニボルマブ(商品名:オプジーボ)と抗CTLA-4抗体イピリムマブ(商品名:ヤーボイ)について、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん(NSCLC)に対する、プラチナ製剤を含む 2 剤化学療法(プラチナ・ダブレット)との併用療法に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表。  今回の承認申請は、小野薬品とブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が、PD-L1発現レベルおよび腫瘍の組織型にかかわらず、化学療法未治療の進行・再発のNSCLC患者を対象に、ニボルマブとイピリムマブの併用療法にプラチナ・ダブレット化学療法を追加した併用療法を、プラチナ・ダブレット化学療法と比較評価した多施設国際共同無作為化非盲検第III相臨床試験(CheckMate-9LA試験)の結果に基づいている。