〔CLEAR! ジャーナル四天王(33)〕 末梢動脈疾患(PAD)も、喫煙とリスク因子の重複が大きく関与 米国男性では、冠動脈疾患と同様に末梢動脈疾患(PAD)の発現率が喫煙、高血圧、脂質異常症、2型糖尿病といった4大リスク因子の重複(clustering)によって増加することを約4万5千人での25年間の前向き追跡調査での結果で示した報告である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(32)〕 心臓手術における抗線溶薬アプロチニンは安全性に懸念が残る:メタ解析 心臓手術では人工心肺離脱後の止血が重要である。止血剤としては従来からトラネキサム酸(商品名:トランサミンほか)やイプシロンアミノカプロン酸が使用されている。アプロチニンも以前は頻用されていたが、安全性の理由から2008年以降、市場供給が停止されていた。しかし最近、ヨーロッパとカナダで再上市されている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(31)〕 リウマトイド因子高力価陽性の健常者は10年以内に関節リウマチを発症する可能性がある 健常者におけるリウマトイド因子陽性の病的意義は不明であったが、関節リウマチと診断されていない20代から70代の9,712人のコペンハーゲン住民の健常者を28年間追跡した前向きコホート研究の結果、リウマトイド因子の値が高いほど10年以内に関節リウマチを発症するリスクが高まることが示された。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(30)〕 自己拡張型ステント式の血栓回収デバイスの安全性と有効性を確認 rt-PA静注療法は、発症から4.5時間以内の急性期脳梗塞に対する有効な治療法としてすでに確立しているが、脳主幹動脈の急性閉塞に対する血流再開治療としては、その有効性に限界があることが明らかにされている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(29)〕 抗血栓薬やスタチン薬時代においてβ遮断薬の有用性は証明されず 心筋梗塞後の症例に対するβ遮断薬処方は、すでに標準治療として定着している。これは多数のエビデンスに基づいているが、その多くはすでに10年以上以前のものである。はたして、今日のようにPCIが一般的になり、かつスタチン薬や抗血小板薬治療などが普及した今日においてもなお、β遮断薬の有用性はあるのであろうか。またβ遮断薬は、冠動脈疾患症例や高リスク症例に対しても有用と思われがちだが、その有用性は必ずしも証明されている訳ではない。それが本論文におけるメタ解析のアンチテーゼである。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(28)〕 大動脈バルーン・パンピングは心原性ショックを合併した急性心筋梗塞患者の30日生存率を改善させない 心原性ショックを合併した急性心筋梗塞患者の予後は不良であり、いかに生存率を向上させるかは循環器救急医療の大きな課題である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(27)〕 Consectiveに患者を研究に組み入れる プライマリケア医の重症疾患を予測する直感を、16歳未満の小児の患者を対象に、重症感染症による入院をアウトカムとして検討した前向き研究である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(26)〕 集中治療室(ICU)における入院患者の厳格な血糖管理はいかにあるべきか 集中治療室に入室する重症患者においては、ストレスによる内因性のカテコラミンやコルチゾール、炎症性サイトカインの増加、さらには治療薬剤として用いられる外因性のステロイド薬やカテコラミンなどの影響により、糖尿病の有無にかかわらず、高血糖を示すことが多い。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(25)〕 糖尿病患者の降圧目標値:エビデンスの質を見極める 糖尿病患者における降圧目標値に関しての議論が盛んになっている。わが国のガイドラインでは、糖尿病患者の降圧目標は130/80mmHgと厳格な降圧を推奨している。その根拠となったトライアルはUKPDS試験とHOT試験であるが、前者では厳格治療群とはいっても144/82mmHgであり、後者のHOT試験ではサブ解析で拡張期血圧が80mmHgまでの降圧達成群が85mmHg群や90mmHg群よりも心血管イベントが少なかったというものである。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(24)〕 安定狭心症に対する最適治療法の決定に冠血流予備量比(FFR)は有用な検査法である 経皮的冠動脈インターベンション治療(PCI)が、急性冠症候群の予後改善に有効な治療法であることについては異論のないところである。しかしながら、安定狭心症に対するPCIの適用に関しては未解決な問題が多い。歴史的には選択的冠動脈造影手技が確立されたことにより、冠動脈疾患の診断・治療が長足の進歩を遂げたことは周知の事実である。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(23)〕 STEMIにプライマリPCIが有効、秋の夜長に想うこと 循環器内科医がもっとも達成感を感じる場面はいかなるものであろうか? おそらく多くの医師の答えは次の場面であろう。急性心筋梗塞、それも激しい胸の痛みに苦悶しているSTEMI患者に、緊急冠動脈造影から引き続きプライマリPCIを施行し、無事に再開通療法に成功した場面である。先ほどとは別人のように落ち着いた表情の患者を前にして、深夜に病院に駆けつけた苦労もふっとんでしまう充実感がある。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(22)〕 苦悩のない人生なんて 今回は精神科医という立場からあえて批判的に検討してみよう。BMJは素晴らしいジャーナルであるが、ご存知の通りしばしば英国式ジョークが掲載される。(今でも載っているのだろうか?私はそれほど熱心な読者ではないので、間違っていたらごめんなさい)
〔CLEAR! ジャーナル四天王(21)〕 心臓MRI(CMR)で無症候のハイリスク患者を見分けることができる! これまで高齢者、あるいは糖尿病患者で無症候性心筋梗塞の頻度は高く、かつ、その患者群の予後は不良であることが知られていた。しかし、無症候性心筋梗塞患者を検出するスクリーニング法として、最も広く用いられているのが心電図であった。一方、最近の技術の進歩に伴い、微小な心筋梗塞を顕出することが可能となった。1つはトロポニンなどに代表されるバイオマーカーである。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(20)〕 冠動脈カルシウムは冠動脈疾患予測の精度を顕著に改善するため実臨床で真に有用なリス評価マーカーとして認知されるべきか? 冠動脈カルシウムが冠動脈疾患リスクの予測を改善するとの報告はこれまで散見されているが、単一のコホート研究で複数の冠動脈リスク因子を直接比較した研究は皆無である。これまでの研究では比較対照となるコホートが異なっており、一次エンドポイントも微妙に異なっているため正確な直接的比較は困難であった。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(19)〕 CKDは糖尿病に匹敵する心筋梗塞のリスク 糖尿病が心筋梗塞発症の重大なリスクであるとの報告は枚挙にいとまがないが、なかでも有名なものは1998年にN Engl J Medに発表されたFinnish研究である(Haffner SM et al. N Engl J Med. 1998 ; 339: 229-234.)。7年間の心筋梗塞の発症頻度が、非糖尿病の3.5%に対して、糖尿病患者では20.2%と心筋梗塞既往例の再発率の18.8%に匹敵するリスクと報告された。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(18)〕 安全な内視鏡的大伏在静脈グラフト(SVG)採取には熟練した内視鏡術者が不可欠である 冠動脈バイパス手術(CABG)で内視鏡を用いた大伏在静脈グラフト(SVG)採取は、米国では一般的な術式である。2009年に報告されたPREVENT IV Trialでは、グラフト1年開存率で内視鏡的SVG採取は外科的採取よりも劣り、3年生存率でより高い死亡率を示した。内視鏡的採取は技術依存性が高く、非熟練者による採取ではグラフト内膜損傷などグラフトの質が落ちるのは明らかである。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(17)〕 200万人を超える観察研究をどう解釈するか 200万人以上を解析した観察研究のメタ分析である。日本人の研究も含まれている。200万人という大規模をどう評価すればいいのか。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(16)〕 早期介入の効果:真実は中庸にあり 初期認知症の患者に対する社会心理的介入は大変有意義であり、社会的にも注目されている。この報告を見て、なんだか釈然としない結果だな、認知症なら「認知機能の回復」をアウトカムにしてガツンと結果が出ないのか…と思われる方も多いかと思う。しかし専門外来をしている者としては、現時点では認知機能の回復では有意な結果はおそらく出ないため、本論文は臨床的には妥当な結果であると考える。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(15)〕 軍配はあがった、DES対BMSの大一番、STEMIの土俵で! 急性冠症候群の代表的な病態であるST上昇型心筋梗塞(STEMI)で再開通療法時に使用するステントに関して、ベアメタルステント(BMS)を使用するか薬剤溶出性ステント(DES)を使用するかについては議論が続いている。
〔CLEAR! ジャーナル四天王(14)〕 喫煙率0%の世の中は幸福か? この論文をざっくり要約すれば、喫煙率は国ごとで大きな差があり、男性では、低い国で20%、高い国では60%。女性では0.5%から24.4%である。