陣痛緩和にレミフェンタニル自己調節鎮痛法が有用/Lancet

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 陣痛時の疼痛緩和において、静脈内レミフェンタニル自己調節鎮痛法(PCA)は、ペチジンの筋肉内投与に比べ、硬膜外麻酔への変更を要する女性が少ないことが、英国・シェフィールド大学のMatthew J. A. Wilson氏らの検討「RESPITE試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌2018年8月25日号に掲載された。陣痛の緩和のためにペチジン筋注を受けた女性の約3分の1が、その後に硬膜外麻酔を要し、良好な疼痛緩和が得られるものの、器械的経膣分娩のリスクが増加する。陣痛時のレミフェンタニルPCAはペチジンの代替法とされるが、十分には普及していないという。

英国の14施設で401例を登録
 本研究は、英国の14の産科病棟が参加した多施設共同非盲検無作為化対照比較試験(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。

 対象は、妊娠期間37週以上、胎児が単胎・頭位で陣痛がみられ、オピオイドによる疼痛緩和を希望する16歳以上の女性であった。被験者は、レミフェンタニルPCA(必要に応じて40μgをボーラス投与、次回投与までのロックアウト時間は2分)またはペチジン筋注(4時間ごとに100mgを投与、24時間で最大400mg)を行う群に無作為に割り付けられた。

 主要評価項目は、試験登録後に硬膜外麻酔を受けた女性の割合とした。また、視覚アナログスケール(VAS、0点:痛みなし、100点:最も強い痛み)を用いて、30分ごとに疼痛緩和効果を評価した。
 2014年5月13日~2016年9月2日の期間に401例の女性が登録され、レミフェンタニルPCA群に201例、ペチジン筋注群には200例が割り付けられた。

硬膜外麻酔への変更が半減、緩和効果も良好
 実際に試験薬の投与を受けたのは、レミフェンタニルPCA群が186例(93%)、ペチジン筋注群は154例(77%)であった。投与を受けない主な理由は、投与が可能になる前に出産(レミフェンタニルPCA群12例、ペチジン筋注群17例)、無作為化直後のオピオイド投与前に、母親が硬膜外麻酔を要すると決断(ペチジン筋注群22例)などであった。同意を取り消したペチジン筋注群の1例を除く400例がintention-to-treat解析の対象となった。

 無作為化時の平均年齢は、レミフェンタニルPCA群が29.4歳(SD 6.1)、ペチジン筋注群は29.3歳(6.1)、白人がそれぞれ73%、79%で、未経産婦が60%、59%だった。

 硬膜外麻酔への変更の割合は、レミフェンタニルPCA群が19%(39/201例)と、ペチジン筋注群の41%(81/199例)に比べ有意に低かった(リスク比[RR]:0.48、95%信頼区間[CI]:0.34~0.66、p<0.0001)。

 VAS疼痛スコア中央値は、レミフェンタニルPCA群がペチジン筋注群よりも13.91点(95%CI:-21.40~-6.43)低下し、有意な差が認められた(p=0.0003)。VAS疼痛スコアの最高点の差には、有意差はなかった(平均差:-4.44点、95%CI:-10.93~2.05、p=0.18)。

 分娩様式には、両群間に有意な差が認められた(p=0.02)。鉗子、吸引による器械的分娩の割合は、レミフェンタニルPCA群が15%と、ペチジン筋注群の26%に比べ有意に低かった(RR:0.59、95%CI:0.40~0.88、p=0.008)。帝王切開の割合は両群とも21%だった。呼吸抑制および過鎮静は両群間に差はなく、いずれもまれだった。

 新生児はすべて、出生後5分時のApgarスコアが4点以上であった。蘇生を要する新生児の割合にも差はみられなかった(レミフェンタニルPCA群:10%、ペチジン筋注群:11%)。

 母親の満足度は、9項目中2項目でレミフェンタニルPCA群のほうが有意に良好で(「陣痛中の疼痛緩和は有効だった」:p=0.0003、「陣痛の疼痛緩和に満足した」:p=0.0003)、他の項目には差がなかった。また、試験薬に直接起因する重篤な有害事象や薬物反応は認めなかった。

 著者は、「本試験で得られたエビデンスは、分娩時の女性の標準治療としてのペチジンに疑問を呈し、陣痛時のオピオイドベースの疼痛緩和に関して、根本的な再評価を迫るものである」と指摘している。

(医学ライター 菅野 守)

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