第8回 買わないほうが“御法度”な医学書【Dr.倉原の“俺の本棚”】

  • 公開日:2018/08/15
企画・制作ケアネット

ほかのドクターがどんな本を読んでいるのか、気になりませんか?CareNet.com “おどろき”医学論文が好評の呼吸器内科医 倉原優氏が、自身の本棚から「これは!」とウナる本を毎月1冊ピックアップ。思わず読みたくなる“医書”を紹介します。

※紹介する書籍は倉原氏個人の選書です。ケアネットが推薦するものではありません。

【第8回】買わないほうが“御法度”な医学書

この本、実は研修医に教えてもらいました。「絶対読んでほしい本があるんですよ」とグイグイ腕を引っ張られまして。「なんだ、寺澤先生の赤本じゃないか」と言いかけましたが、『御法度』のタイトルはあれど、表紙の色が違う! 赤でも青でもない、黄色だ!

『話すことあり、聞くことあり-研修医当直御法度外伝』

寺澤 秀一/著. シービーアール. 2018

寺澤 秀一先生は『研修医当直御法度』(三輪書店)、いわゆる「赤本」と呼ばれている、ベストセラーの本の著者です。私が研修医のころに流行った本だと思っていたら、どんどん改訂されて今でも研修医にとって聖書のような存在になっているとのこと。バケモノロングセラー作品ですね。「赤本」を読んだことがない研修医はいないでしょうし、これを読んでいない研修医はもはや研修医でないと思うくらいの良書でもあります。

さて、この御法度外伝。目次には「次代に残す教訓と知恵の詰まった60のエピソード集」と書かれていますが、まさにそのとおりの内容です。しかし、あの有名な寺澤 秀一先生がこういう経験をされてきたのかというのが垣間見えて、『当直御法度』ファンとしてはとてもうれしい一冊に仕上がっています。

ずいぶん昔になりますが、寺澤先生のお話を観客席から何度か聞いたことがあります。彼は、時折脱線して余談を話されることがあります。本書は「そういったちょっと横道にそれるけどとても重要な何か」に主眼を置いて書かれているのです。かといって、小難しい救急症例集というわけではなく、思い出を語るような感じでエピソードがちりばめられています。印象症例だったり、感動する話だったり、勉強になる症例だったり、さまざまです。長らく救急医をやっていないと、こんな珠玉のエピソードは出てこないでしょうね。

私の胸ににグサっと刺さったのは、次の言葉です。

「守られていない新人が、患者さんを守れるはずがない」

働き方改革が叫ばれる中、医療スタッフも大事にするやさしさも兼ね備えた寺澤先生の仏っぷりが心に染みます。

この本の価格は、たった1,500円(税別)ですよ。全員マストバイでしょうよ。むしろ、買わないことのほうが、御法度ですぞ!

  • 寺澤先生は、一部で「仏の寺澤」と呼ばれていると聞いたことがあります。
    とても優しそうなドクターです。

『話すことあり、聞くことあり-研修医当直御法度外伝』

寺澤 秀一/著
出版社名
シービーアール
定価
本体1,500円+税
サイズ
4/6判
刊行年
2018年

倉原 優 ( くらはら ゆう ) 氏近畿中央呼吸器センター

[略歴]

2006年滋賀医大卒業。洛和会音羽病院を経て08年から現職。

自身のブログ「呼吸器内科医」では医学論文の和訳や医療エッセーを執筆。

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