4種配合降圧薬Quadpill、初回治療で有効性示す/Lancet

提供元:ケアネット

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公開日:2017/02/24

 

 4種の降圧薬(イルベサルタン、アムロジピン、ヒドロクロロチアジド、アテノロール)を標準用量の4分の1ずつ、1つのカプセルに配合したQuadpillによる降圧療法は、降圧薬のクラスを超えて相加的な効果を発揮し、臨床的に重要な血圧の低下をもたらす可能性があることが明らかとなった。オーストラリア・シドニー大学のClara K Chow氏らが、有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験(Quadpill試験)の結果を報告した。世界的に高血圧治療はほとんど単剤で行われているが、コントロール率は低く、単剤療法では平均してわずか9/5mmHg程度しか低下しない。そのため、新たな血圧コントロール戦略の開発が喫緊の課題となっている。低用量での併用療法は、副作用は少なく効果は維持されることが示唆されていたが、超低用量での有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2017年2月9日号掲載の報告。

無作為化二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験で検討
 研究グループは、2014年11月~2015年12月の間に、オーストラリアのニューサウスウェールズ州、シドニー西部地域の一般診療所4施設において、スクリーニングした未治療高血圧患者55例のうち21例を、イルベサルタン37.5mg、アムロジピン1.25mg、ヒドロクロロチアジド6.25mg、アテノロール12.5mg(いずれも標準用量の4分の1)を含有するカプセル製剤Quadpillを投与する群と、プラセボを投与する群にコンピュータで無作為に割り付け、それぞれ4週間投与した。その後、2週間の休薬期間を置き、それぞれもう一方の治験薬(プラセボまたはQuadpill)を投与した。試験スタッフ、被験者は治療割り付けを知らされなかった。治験薬はいずれも、中身が見えない同一のカプセルが用いられた。

 主要アウトカムは、4週間後のプラセボで補正した24時間自由行動下収縮期血圧の低下で、intention-to-treat解析とした。また、標準用量の4分の1用量での降圧療法の有効性と安全性をプラセボと比較検討した臨床試験について、システマティックレビューも行った。

Quadpillにより24時間自由行動下収縮期血圧と外来血圧が有意に低下
 被験者21例の患者背景は、平均年齢58歳(SD±11)、平均外来血圧154(±14)/90(±11)mmHg、平均24時間収縮期/拡張期血圧140(±9)/87(±8)mmHgであった。

 21例中、1例は割り付け後に試験への参加を辞退し、2例は管理上の理由で脱落したため、18例が主要評価項目の解析対象となった。

 結果、Quadpill投与により、プラセボ補正後24時間自由行動下収縮期血圧は19mmHg(95%CI:14~23)、外来血圧は22/13mmHg低下した(p<0.0001)。Quadpill投与時は18例全例(100%)が外来血圧140/90mmHg未満を達成したのに対して、プラセボ投与時は18例中6例(33%)であった(p=0.0013)。重篤な有害事象は認められず、全例がQuadpillは服用しやすいと報告した。

 システマティックレビューでは、4分の1用量の降圧薬1種をプラセボと比較した臨床試験が36件(4,721例)、4分の1用量の降圧薬2種に関する試験が6件(312例)特定された。プラセボで補正した降圧効果は、それぞれ5/2mmHgおよび7/5mmHg(いずれもp<0.0001)で、いずれのレジメンでも副作用はみられなかった。

 著者は研究の限界として症例数の少なさ、追跡期間の短さなどを挙げつつ、今回の結果を踏まえて「標準的な治療と比較した場合の有効性や、長期安全性についてさらに調査する必要がある」とまとめている。

(医学ライター 吉尾 幸恵)

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コメンテーター : 桑島 巖( くわじま いわお ) 氏

J-CLEAR理事長

東都クリニック 高血圧専門外来