マンモグラフィ読影順は乳がん検出率に影響するのか/JAMA

提供元:ケアネット

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公開日:2016/05/19

 

 マンモグラフィによる乳がん検診の画像読影を2人の読影者が行う際、一度に読影する一まとまり(バッチ)の画像を、2人が同じ順番で読影した場合と、それぞれ逆の順番で読影した場合の乳がん検出率を比較したが、同程度であったという。また、再診勧奨や読影者間の意見相違の発生率も、同等だった。英国・ウォーリック大学のSian Taylor-Phillips氏らが、乳がん検診を受けた約120万人について行った試験で明らかにした。JAMA誌2016年5月10日号で発表した。

46ヵ所の乳がん検診センターで試験
 Taylor-Phillips氏らは、英国国民保健サービス(National Health Service:NHS)の乳がん検診プログラムを受診した女性について、46ヵ所の乳がん検診センターを通じ、1年間の無作為化二重盲検試験を行った(試験全期間は2012年12月20日~2014年11月3日)。2人の読影者による画像読影の際、各バッチの画像について2人とも同じ順番で読んだ場合と、1人が逆の順番で読んだ場合で、乳がん検出率に増減が認められるかどうかを検証した。

 画像読影者は360人、1センター当たり平均7.8人で、全員がNHS乳がん検診プログラムの読影者としての基準を満たしていた。

 主要評価項目は、乳がんの検出率で、副次評価項目は再受診の勧奨、読影者間の意見の相違などだった。

乳がん検出率、再診勧奨率、読影者間の意見相違率のいずれも同等
 被験者総数は119万4,147例で、平均年齢は59.3(SD 7.49)歳だった。このうち、2人の読影者が異なる順番で画像読影を行った介入群は59万6,642例、同一の順番で読んだ対照群は59万7,505例だった。画像のバッチ数は3万7,688件で、1バッチの画像数中央値は35(四分位範囲[IQR]:16~46)、それぞれの読影者が読んだバッチ数中央値は176(IQR:96~278)だった。

 同検診で検出された乳がんは1万484件(0.88%)だった。

 介入群の乳がん検出率は0.88%(5,272例)、対照群は0.87%(5,212例)と、両群で同等だった(群間差:0.01%、95%信頼区間[CI]:-0.02~0.04)。

 再受診勧奨率もそれぞれ4.14%と4.17%(差:-0.03%、95%CI:-0.10~0.04)、読影者間の意見相違率も3.43%と3.48%であり(同:-0.05%、-0.11~0.02)、いずれも同等だった。

(医療ジャーナリスト 當麻 あづさ)

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コメンテーター : 矢形 寛( やがた ひろし ) 氏

埼玉医科大学 総合医療センター ブレストケア科 教授